アレスからの決闘状と恐るべき死の魔法
俺達第7艦隊はホワイトデーモンの領地で王の妻たちや部下達と懇談中、
ホワイト達は俺達からの緊急物資を見て感激、大粒の涙を流す者もいた、
すぐさま緊急物資は民衆に配られ・・飢えた民衆は喜んで食べていた。
その後の流れはイエローと同じ、浄化槽など生活設備を整え作物を植える、
森からの腐葉土を蒔き俺達の世界の野菜などを育てそれらの料理を教える、
これによりホワイトの領地も食糧不足が解消し皆に笑顔が戻った。
ここまでは予定通りだったが・・
ホワイトとイエローの領地に攻めてくる艦隊があると偵察隊から連絡が来る、
100隻を超える石の艦隊が向かってきている、すぐさまイエローの防衛隊、
ホワイトの防衛隊が応戦したが・・全く歯が立たず囲まれてしまった。
「お前たち刃向うなら容赦しないぞ!すぐに降伏しろ!」
「は・・はい・・降伏します」
妙な不運を持つ息子だが・・腕は確かなようで見事な指揮だった。
ブルーデーモンの王の息子・・俺は仮の名として彼にアレスと名付けた、
アレスとはギリシャ神話に出てくる戦いを司る神、彼の活躍を見て思いつく、
見事な戦術でイエローとホワイトの防衛隊を根こそぎ抑え込み捕虜とした。
そうして・・
俺達宛にある手紙・・決闘状を持たされ一部が解放された。
決闘状の内容は以下の通り。
「我らは貴殿たちに決闘を申し込む、ただし条件がある!
貴殿たちは我が同胞たちと距離を置き単独で我らと戦う事、
それを確認したら捕らえた残りの同胞たちを開放すると約束する」
・・・
思ったより良識のある息子・・俺達はアレスに感激した。
それはさておき・・
信濃艦長のサユミが俺に進言する。
「あの程度の艦隊なら私一人で十分です!私に戦わせてください」
これに対して・・紀伊の艦長タケシが進言する。
「いえ俺一人で十分です、ここは俺に任せてください!」
サユミとタケシは・・お互いを睨み火花をちらせている。
・・・
君達婚姻届にサインしてるから・・もう夫婦だよね?
なんでライバル心むき出しで睨みあうんだ?
こういう時は夫婦で力を合わせて戦うのじゃないのか?
この言葉に反応したサユミとタケシが興奮しながら俺に一言!
「戦いに夫婦も恋人もありません!!」
・・・
一理あるような無いような・・
・・・
悩む俺を押しのけて武蔵艦長のエリーナが語る。
「わかったわ、ここは紀伊と信濃で戦いなさい!私達は静観するわ、
相手は2手に分かれてるからタケシは陸側、サユミは沖合い側を攻撃して!
でも万一危険と判断したら私達も参入するわ、それでいいでしょ?」
「わかりました!!」
サユミとタケシは睨みあいながら・・
「負けないわよ!私が敵の大将を捕らえるからね!」
「何を言う!俺の方が先だ!」
お互い牽制しながら大急ぎで自分の指揮する艦に戻った。
・・・
ドラゴンの本能なのか?
手柄を獲って目立とうとすることに関しては夫も妻も無いようだ。
考えこむ俺を皆は・・完全無視して戦闘準備、信濃と紀伊が出港した、
アレスはイエローの領地から約50km位離れたところで待機中、
民衆に被害が及ばないように洋上で2手に分かれ決戦準備をしていた。
まだ口論が絶えないサユミとタケシにエリーナが宥めながら指示を出す、
2手に分かれた敵、左洋上側を信濃、右陸地側を紀伊が担当し攻撃体制、
武蔵は信濃の後方に待機し・・万一の時は艦砲射撃で信濃を援護する。
俺の乗る大和は紀伊の後方で待機、念の為主砲はいつでも撃てる状態、
紀伊には極秘にセーラはじめその母親や子供達も乗り込んでいる、
絶縁はしたが・・気になるフェニックスの島を秘かに見に来たらしい。
デーモンの島も見たいと言うので・・タケシは一応反対したがついてきた、
今セーラー達は紀伊の来賓室に陣取りVIP気分で裏世界を見学していた、
紀伊は戦闘に出るから俺は降ろそうとしたが・・自分達も手伝うと言って残った。
その背景には・・
セーラー達はタケシの叔母の娘と息子・・タケシから見るといとこ達になる、
一線級で戦うタケシの姿を見て・・紀伊を指揮してる姿が誇らしく頼もしかった、
特に親父が肝心な時動かなかったのでタケシを頼れる理想の兄貴と思いこんでいる。
そのタケシも・・セーラーたちの期待に応えようと気合いを入れ過ぎていた、
やっと巡り会えた血族の期待に応えよう・・いい所を見せたいと考えていた、
そのため・・いつも以上に力が入っていた。
「タケシ!そんなに気を張らなくてもいいのよ?」
タケシの叔母・・にはなぜかセイアと皆が言っている。
「大丈夫だよ・・セイア叔母さん」
バシッ!
「セイアお姉さまと呼びなさい!」
セイアお姉さまに頭を叩かれたタケシは・・照れながら静かに頷いた。
「タケシお兄さん!」
笑いながらセーラーがタケシに抱きつく、腕を組んでご満悦な笑顔をしている、
他の子供達もタケシに抱きつく、頼もしい兄が出来たと子供達は喜んでいる、
タケシもすごく嬉しくて・・あまり笑わないタケシが満面の笑顔で応えている。
ちなみに・・
サユミがイライラしてるのは・・セーラーに嫉妬しているから!
すぐにタケシに抱きつくセーラー、それを喜んで受け入れるタケシ、
その姿を見たサユミが・・セーラーにものすごい敵意を抱いていた。
・・・
俺は…当分距離を置くことにした。
紀伊と信濃は前進、その後ろに武蔵と大和が追従、約500m離れている、
しばらくしたらレーダーに反応あり、100隻を超える大艦隊を見つけた、
サユミはすぐさま戦闘機に発艦命令、ブルーシャーク隊が動き出した。
キィィィィィィィ・・・・ン
「レディ(発進準備)」
「各整備員はシェルターに入れ!」
「カタパルト準備完了」
「計器類確認・オールグリーン!」
戦闘機に乗るライアンパイロットが親指をたてOKの合図を送る。
「Good・Luck!」
「OK!ブルーシャーク隊出るぞ!」
「GO!」
キィイイイイイイイイイイイイ・・キューン!
信濃の甲板から戦闘機が次々と発艦、30機の戦闘機が上空を舞う、
戦闘機隊は大きく旋回して5機横並び6列となり信濃に向かう。
その後甲板に現れた30人の白黒天使族の精鋭たち、そして隊長が叫ぶ!
「出撃するわよ!」
「はい!!!!!!!!!!!!!」
天使族達は少し屈んで大ジャンプ、翼を広げ信濃の上空に舞い上がった、
そこに旋回してきた戦闘機隊が足元に飛んできた、そして全員背中に着地する、
戦闘機隊の背中には対艦用の大型ライフル・ランチャーが備えられていた。
「では行ってくるわね!」
「はい頼みます!お気をつけて!」
「ありがとう!」
天使族とパイロットライアン達は信濃と紀伊の艦橋に敬礼、サユミも応える、
タケシも敬礼、紀伊にいたセーラーたちはその姿を見て目を輝かせていた。
加速がついた戦闘機隊はそのまま飛んでいきブルーデーモン艦隊に向かう、
ライフルランチャーを構えた天使族達、約50隻の艦隊が見えてきた。
「全機散開!艦尾を攻撃して足止めするわ!」
「了解!」
戦闘機隊は散開してブルーデーモン艦隊に襲い掛かる、艦隊は対空砲火、
だが石や中・上級魔法はほとんど直線で飛んでくるのであっさりと避ける。
「遅いわよ!」
戦闘機のスピードに翻弄されるブルーデーモンの隙を突いて攻撃開始!
天使族が戦闘機の背中に備えていたライフル・ランチャーを構え放つ!
ドキュ~~~ン!ド~~~ン!
ズガガガーーーーン!!
天使族のランチャーから放たれた弾は艦尾に直撃、艦は大破し行動不能となる、
30隻の軍船は瞬く間に行動不能となりブルーデーモン達は大パニック、
残りの軍船が対空砲火を繰り返すが・・戦闘機のスピードに翻弄されていた。
そのころ・・
戦艦紀伊も行動開始、大勢の狙撃手が艦隊に向かって銃口を向けていた、
狙うは艦尾、推進機関を狙って行動不能にするため紀伊は大きく旋回した、
どうやらアレスはこちらの艦隊の旗艦に乗っているようだ。
「な・・なんだあれ?あんなデカい艦は初めて見るぞ?」
「ど・・どうするんだ?あんなのに攻撃されたらひとたまりもないぞ?」
うろたえる兵士たち、それを落ち着かせるためアレスが言葉を発する!
「皆の者うろたえるな!数はこちらの方が上だ、囲んで集中砲火しろ!」
その言葉を聞いた兵士たちは奮起、命令通りに艦を動かし紀伊を囲もうとする、
だが・・タケシは微笑みながら指示を出す!
「各砲発射準備!敵艦隊の艦尾を狙え!」
アレスは紀伊を囲めと指示したが・・それはタケシの思うツボだった、
大和型の紀伊は前後左右に複数の砲を装備、さらに天使族達もいる、
彼女達が構えるライフルランチャーの前に・・死角はない。
「各砲発射!」
スカーン!ドドドドド!ズキューン!!!
紀伊の副砲、高角砲、機銃、ライフルランチャーが火を噴き艦隊を攻撃、
さすがに主砲は威力がありすぎるので発射は自重した。
ズガガガガーーーーーン!!
紀伊の総攻撃を受けたアレス艦隊は総崩れ、艦尾を壊され航行不能となる、
艦尾を狙ったのは敵艦を航行不能にする目的もあるが・・死傷者を避けるため、
俺達は殺戮は望まないので動力機関だけを狙って戦闘不能にした。
動けなくなった艦隊を見て・・特殊部隊が焦り行動を起こす!
「全員あの大きな船に乗り込むのよ!急がないとアレス様達が危ないわ!」
近くを飛んでいた小鳥にとりつき紀伊の艦橋に向かう、そして窓から侵入、
タケシの後ろに一人のブルーデーモンが現れ・・禁断魔法を放つ!
それは死の魔法、ドラ●エで言うザラキのような即死魔法だ!
「喰らえ!「マジックデット!」!!」
「タケシ危ない~~~~!」
近くにいたセイアがタケシを庇うように正面に立ち・・魔法が直撃、
セイアは白目をむきながら・・
・・・
その場に倒れ込んだ。