島民たちの決意と置き去りにされたフェニックス達
島民たちは俺達が用意した食事に群がり喜びながら食べている、
ただ彼らの島から持ってきた食材は・・無視されほったらかし状態、
勿体ないからと料理人ライアン達がそれで料理を造り出した。
タケノコのような独特の味の野菜が多かったのでしっかりと下ごしらえ、
これで八宝菜や餃子、野菜スープなどを造り島民にも出してみた。
すると・・・
「嘘だろ?あのマズイ野菜がこんなに美味くなるのか?」
「美味しい~~これなら毎日でも食べられる~~」
「美味いよ~~ぜひこれの作り方を教えてくれ!」
島民たちはすっかり俺達に慣れたようで積極的に声をかけてくる、
結界の外の世界の質問が多かったので急ぎモニターを複数用意した、
そしてプロモーションビデオを再生してそれを見てもらった。
プロモーションビデオは更新されて天使族達も出演してはいるが・・
所々流れを無視してどアップで出てくるので皆が驚いていた。
・・・
俺は関係ないぞ!
さて・・
俺は島民の代表数人と白ドラゴン、それとイリュージョンフェアリー達と相席、
イリュージョンフェアリー達は先ほど目覚めて子供達との再会を喜ぶ・・
・・・
子供達はイリュージョンフェアリー達を無視してサッカーに夢中だった。
いじけるイリュージョンフェアリー達をカレン達が慰めていたんだが・・
俺達を見つけたカレンが仲間に入れてと言うので椅子を用意した。
最初は戸惑っていたが・・
イリュージョンフェアリー達も俺達が敵ではないと悟ったようだ、
今では白ドラゴンと一緒にカレーとアイス入りサイダーを飲んでいる、
余程美味しいようで感激しながらおかわりを連発していた。
白ドラゴンも人間姿でおかわり・・
もう特盛で5杯目だけど?
白ドラゴンの人間姿は18歳位の体操選手のような細身の身体だが・・
その細い体のどこに入るんだろう?
・・・
俺が見ていると・・白ドラゴンは目線を逸らすが食べるスピードは落ちない、
さらにデザートのプリンパフェを見つけると目の色変えて大急ぎで取りに行く、
イリュージョンフェアリー達もそれに習い大急ぎでパフェをGETしていた。
・・・
各艦の倉庫に入っていた食糧の3割が一気に消えたが・・
「あ~~美味しかった~~!」
みんなに喜んでもらえたようだ。
すっかり日が暮れ・・・
島民たちは眠そうにしていたが・・なぜか全員村には帰りたくないらしい、
しょうがないので非常用のテントと寝袋を用意、子供は大和の会議室で眠る、
結界が消えたので大和以外の軍艦はエニウェアに備え沖合いで待機している。
便乗してエニウェアが攻めてくるかと思ったが・・
意外とエニウェアは大人しくルーム国はじめ各大陸にも影形はないそうだ、
なにか理由があるのかもしれないが・・攻めてこないならこちらも攻撃しない、
だが静かすぎるのも妙だ、戦闘好きな彼らが大人しくしているとは思えない。
落ち着いたら・・調べてみる必要はありそうだ。
「あの~~お話よろしいですか?」
白ドラゴンと島民が俺に問いかけてきた。
「いいですよ、どうしたのですか?」
「今後のことなんですが・・」
白ドラゴンと島民たちが真剣な顔をして・・まず自分達の状況を話す、
フェニックスに対してかなり鬱憤が溜まっていて怒りながら訴えてくる。
簡単にまとめると・・
島には人間やエルフをはじめ多種多様な魔物が村の中で共同生活をしている、
各種族は基本農業と漁業で生活していてその大半をフェニックスに捧げている、
結界で守る代わりに上質な作物を大量によこせと頻繁に催促してくるそうだ。
ちなみにフェニックス達もドラゴンに匹敵する大食いらしい。
そのこともあり村人達はなんとか日々を過ごすことで精一杯だった、
弱みに付け込み丹精込めて育てた作物をその都度横取りされるので・・
島民たちは皆怒りで毎晩悔し涙を流していたそうだ。
不満はそれだけではない。
その昔スノードラゴンの女性達が結界の近くで重傷を負い倒れていた、
たまたま漁で近くを通った島民が見つけ急ぎ治療を施し一命を取り留めた、
だが彼女達は同胞を見捨てた後悔で錯乱しており冷静な判断が出来なかった。
フェニックス達が食糧を取りに来たとき彼女達を見つけ・・
その美しさに惹かれ無理やり花嫁として屋敷に連れていった。
仲間を失い錯乱状態の彼女達をあの手この手の口車でいいなりにしていた、
さすがに暴力はなかったが・・望まぬ結婚をさせられたと島民たちは嘆く、
以降スノードラゴンの女性達は屋敷の家事全般も担当することとなった。
それまではイリュージョンフェアリーが担当していたがお払い箱に・・
結界の外のヒドラの監視を命令され日々お腹をすかせた生活を送っていた、
あまりに可哀想だからと子供達が頻繁に食料を差し入れしていたそうだ。
このこともあり・・・
イリュージョンフェアリーは恩ある子供達を守ろうと心に決めていた。
以降白ドラゴン達が生まれ・・・白ドラゴンにも結界の外を監視させていた、
彼女が選ばれた理由は島民とイリュージョンフェアリーに好かれていたから、
さらに自分達への怒りの矛先をかわすために彼女を窓口にしていたらしい。
・・・
聞けば聞くほどフェニックス達の性格は最悪のようだな・・
島民たちはそんなフェニックス達をものすごく憎んでいた、
白ドラゴンも屁理屈ばかりの父親たちに愛想を尽かしていた。
「大体の経緯は理解できた、それで君達はこの先どうする気なんだ?」
俺がこう尋ねると・・・
「私達も一緒に連れて行ってください!!!!!!!!!!!」
・・・
え~っと・・
もう一度言ってもらえるかな?
「私達もうこの島に居たくないんです!一緒に連れて行ってください!」
・・・
それって・・村を捨てて移住・・俺達の所で生活する・・・
こう解釈していいのかな?
「もちろんです!それ以外ありません!」
・・・
俺は島民やイリュージョンフェアリー達の顔色を見る・・
・・・
連れて行ってくださいと・・全員目で訴えてくる・・・
・・・
俺はどうしたらいいんだろうか?
島民は大雑把に数えて約3000人ほどいる、今ある艦は24隻、
ほとんどが大型艦だから分乗すれば何とか全員乗れそうだ、だが・・
乗せるのはいいが・・島民たちをどこに連れていけばいいんだろう?
・・・
俺が考えていると・・
ブラックのシャーロット達がなぜか満面の笑顔でこっちに来た!
「ねえねえ島民たち移住希望ですって?なら私達が受け入れるわよ!」
「いいのか?かなりの大人数だぞ?」
「ええ大歓迎よ!ちょうど人手が欲しかったしね」
「わかった、各艦にそのように伝えよう」
俺は各艦に急ぎ連絡、全艦急ぎ移住民を乗せるための準備を始めた、
島民達の荷物は天使族達が運び各艦に移住民が次々と乗り込んでいく、
あと2時間ほどで全艦出港できそうだが・・
・・・
俺はどうしても気になることがあるので白ドラゴンに尋ねる。
「屋敷にいる君のお母さんや子供達はどうする気なんだ?」
「それは・・出来れば連れて行きたいのですが・・」
白ドラゴンは胸を締め付けられるような顔をしていた。
「なら俺達が攫ってきますよ!」
「ええ任せてください!」
この声は・・?
俺は驚き後ろを振り向くと・・サユミとタケシが忍び姿で立っていた。
「大丈夫なのか?」
「はいお騒がせしました、もう大丈夫です」
「コウさん御指示・・いえ命令をお願いします!」
「わかった!君達に命を出す、スノードラゴン達とその子供を攫ってこい!」
「忍!」
シュパ~~~~~~~!!!!!!!!
タケシとサユミの影に続き各種族の精鋭たちも屋敷に向かっていく、
ふと横を見ると・・白ドラゴンがなぜか顔を赤くしていた。
タケシ達は屋敷に到着すると・・すぐさま睡眠弾を屋敷中に放つ、
騒がれたら面倒なので屋敷にいる種族まとめて眠らせる方法をとる、
10分ほどしたら睡眠ガスは薄れ・・ガスマスクをつけて屋敷に侵入。
全員その場で眠っており・・サユミがスマホで顔を撮影して転送、
モニターの前にいる白ドラゴンに攫う種族と残す種族を選んでもらう。
「こいつはその場にのこしてください!」
「その方は大切な方です、丁寧に連れてきてください」
「その馬鹿は倉庫にでも放り込んでください!」
「その子はいい子なので連れてきてください」
「そいつの顔は見たくありません!袋でも被せてください!」
・・・
喜怒哀楽激しい白ドラゴンを見て・・俺は少し引いてしまった。
30分後・・
白ドラゴンの指示で連れてきたスノードラゴンと子供を休憩室で休ませる、、
出港の前に念の為広範囲に探索すると野良の子猫4匹が村外れで親を待っていた、
シャーロット達が調べたが・・どうやら親はどちらも天敵にやられたようだ。
シャーロット達が急ぎ子猫たちの所に飛んでいき回収、すぐに戻ってきた、
もう友好種族はいないのを確認したので各艦ゆっくりと海岸沿いを離れる。
「全艦出港せよ!白の大陸まで戻るんだ!」
「了解!!!!!!!!!!」
武蔵を先頭に各艦矢印の形の並びで白の大陸に向かっていく、
もぬけの空となった村は・・幻覚が消え元通りになっていた。
屋敷では俺達が出港して3時間後にフェニックス達が全員目覚めた、
だが彼ら以外は全員俺達の艦に乗っているので誰もいない、
驚いたフェニックスは急ぎ本体を呼び出し村を見に行くが・・
「・・だ・・だれもいない??」
フェニックス達は大慌てで各地を調べ始めたが・・当然誰もいない。
自分達が愛想つかされ置き去りにされたことに気付いたのは・・
・・・
翌日のことだった。