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白ドラゴンの決意と司令官コウの大チョンボ




小高い山の麓にフェニックスが住む屋敷がある、そこで彼らは籠る、

この世界のフェニックスは人間姿になれるが戦闘力は上級程度らしい、

先般初級エニウェアが言っていた通り死者蘇生は出来るらしいが・・



条件がかなり厳しいので実質出来ないレベルに等しい。



● 死者蘇生はその生物一体につき蘇生は一度だけ。



● 死後2時間以内で身体が行動可能な状態であること。



● 寿命での死は蘇生できない。



● フェニックスの住処内でないと蘇生魔法が使えない。



● 死者蘇生の確率は30%位、魔法が効かない事もある。



このためサユミやタケシの両親は蘇生出来ないので完全な死となった。



そのフェニックス達は相当パニックになっていた。



自慢の結界を砕かれさらに島民たちが根こそぎ俺達に攫われ村は攻撃を受ける、

冷静に見れば幻覚だとわかるはずなのに・・パニックのせいか真に受ける、

戦いのない結界の中で過ごしていたせいか戦いに対して相当臆病になっていた。



そこに白いドラゴン・・党首のフェニックスの娘が急ぎ帰ってきた。



「お父様!住民たちを取り返しにいきましょう!」



「む・・無茶言うな・・あいつらは特級の塊なんだぞ!勝てるわけない」



「彼ら彼女達は話が通じます、誠意を見せれば戦いは止められます!」



「そ・・そうなのか?」



「そうです!みんなで一緒に行きましょう!」



白いドラゴンは必死に訴えフェニックス達に出陣を促すが皆は消極的、

どうやらこの世界のフェニックスはほとんど男性だが相当なビビりらしい、

それなのにしたたかで・・弱みを見せたら徹底的に狙ってくる。



昔スノードラゴンの女性陣が重傷で駆け込んだ時の対応は最悪だった、

皆の治療をする代償として自分達の嫁になれとしつこく迫ったそうだ、

切羽詰まった彼女達はそれを受け入れ・・嫁となり子供を授かった。



ちなみにフェニックス達も本体は異空間に収納でき普段は人間姿のようだ、

これは体力の消耗と危険を最小限に抑えるため、島には食糧はあるが余裕はない、

さらに労働等を嫌がるのでほとんど屋敷に籠って日々を過ごしている。



嫁いだスノードラゴン達も普段は人間姿で家事や雑用、夫の相手で日々を過ごす、

同胞を見捨てたことを極度に悔いており・・意気消沈して夫のいいなりとなっていた、

その中で白ドラゴンの彼女はじめ数人が産まれたのだ。



その子供達は母親のところで震えて籠っていた。



彼女は必死に島の危機を訴える、だが父親たちは何かと理由をつけ反対ばかり、

そんな父親たちの対応を見て・・イリュージョンフェラリー達を思い出した、

勝てない相手にも必死で挑んだ彼女達の方が何百倍もまともに見えた。



白ドラゴンは・・決意をする!



「わかりました!お父様たちはここで籠っていて下さい、私が出向きます」



「馬鹿言うな、ここで籠るのが最善なんだ、死ににいく気なのか?」



「ここにいても・・来るのは死だけです!!!」



・・・



白ドラゴンは親達を睨み・・ドラゴン姿となり屋敷から飛び立った。



その頃・・・



安全地帯で目を覚ました島民たちは仲間との再会を喜んでいた、

そしてミア達が経緯を説明、それを聞いた島民たちは安堵の表情となる、

子供達も全員眼を覚まして親との再会を喜んでいた。



ただイリュージョンフェアリー達は疲労が大きいのかまだ眠っていた。



グゥゥゥゥゥゥ・・・・



安堵の影響か島民たちのお腹の虫があたりに鳴り響く、

それを聞いたミア達が島から持ってきた野菜などを返したが・・



・・・



なぜか島民たちはそれらを一切食べようとはしなかった。



そして・・・



つぶらな瞳で俺達を見つめている・・・



・・・



見つめている・・・



・・・



そうしていると白ドラゴンがこちらへやってきた。



「こっちこっち~~~!」



子供達が一斉に手を振り白ドラゴンを呼んでいる。



白ドラゴンはそれを見て方向転換、親達も手招きして白ドラゴンを呼ぶ、

監視のカレン達は銃を下げ白ドラゴンをそのまま迎え入れた。



白ドラゴンは皆の無事な姿を見て安堵の顔となり、人間姿に戻った。




「あなた達の代表者とお話があります!」




なぜか強気の姿勢の白ドラゴン、カレンは微笑みながら俺を呼ぶ、

俺は大和にいたが・・なぜかホリーたちに抱えられ安全地帯に運ばれた、

そして白ドラゴンと対談、いきなり白ドラゴンはどアップで訴えてきた。



「責任取ってくださいね!」



なにがだよ!



「あなた達のあの美味しい食べ物のせいで島民の舌が肥えすぎました、

もうあの味を知ったら前の食事が不味すぎて非常に困っています、

あなた達は私達にあの味を教えたので提供する義務があるのです!」



実は・・・



カレンの渡したメモには俺の性格や島民の対応を細かく記載していた、

俺の性格からして絶対島民は殺さないこと、筋を通せば話は通じる事、

そして食糧の味を訴えれば島民も従い戦闘は避けられることだった。



カレン達は以前俺達との交戦の時・・



住民達が自分達の命を聞かずにさっさと俺達と友好を求めた経緯がある、

その根本理由は甘味、この異世界では甘い物は超貴重なため各種族が欲しがる、

自分達もその甘味の虜となりその後俺達との同盟を結んだ経緯がある。



ならば・・



以前俺が送った食料品の中に甘味があった、それを島民が食べてれば虜になる、

フェニックス達は気味悪がり島民に押し付けるだろうと・・島民も警戒していた、

だが子供があまりにも甘い匂いのキャンディの誘惑に負け食べた瞬間・・




「これ甘くてすごく美味しい~~~!」




甘味と聞いた瞬間大人たちも群がりあっという間に5つの箱は空になる、

白ドラゴンも少し食べて虜になり・・以降自分達の食糧消費量は大幅に減った、

一気に舌が肥えて空腹に耐えられない時だけ自分達の食糧をしぶしぶ食べると・・



そう予測していたカレン達の予想は・・ど真ん中に的中していた。



今迄は恐怖で忘れていた白ドラゴン、カレンのメモでそれを思い出した、

俺が送った食料のせいでこうなったと強気で訴え島民にその姿勢を見せる、

既に虜となっていた島民たちもそれに異議を唱えることは絶対に無いと・・



白ドラゴンはそう確信し・・



俺に強気で訴えてきた。



「いいですか?私達も戦いは望んでいません、でもあの味は反則すぎます!

あなた達があの味を今後も提供してくれるのなら話に応じてもいいです!

ここで約束してください!今後もあの味を提供してくれると・・」



なんだそれ?



俺達の方が力は上なんだぞ?



なんで上から目線で言われるんだ?



少しイラッとした俺にホリーが耳打ちをする。



「今回は司令官が彼女達に甘味を送ったのが大問題です、騒がせた詫びなら・・、

別に装飾品でもいいじゃないですか?どうして甘味を送ったのですか?

私達との経緯を忘れたのですか?こうなることは前にもありましたよね?」



・・・



「こうなった以上妥協して甘味・・私達の味を提供すれば戦いは避けられます、

島民たちもそれを望んでいます、司令官が寛大に妥協すればいいだけの話です、

ここは無駄な戦いを避けるため白ドラゴンの提案を受け入れるのが最善かと・・」



・・・



確かに・・騒がせた詫びなら装飾品でもいいよな?



なぜ俺は甘味を送ったのだろう?



この世界の住民は・・甘い物には特に敏感だ。



こうなることは何度も経験しているはずなのに・・



これは俺が招いた・・大チョンボとでも言うのだろうか?



・・・



ホリーの胸の谷間には高性能のピンマイクが挟まっていて・・

耳うちした内容は各艦の全乗務員がしっかり聞いていた。



・・・



はあ・・・・・・



皆の大きなため息の後・・



司令官らしいと割り切り急ぎ食事の準備を始めた。



そうして・・



急ぎ各艦から料理が安全地帯に運ばれる、島民は匂いに夢中、

あとは総司令官の命を待つだけ、皆の視線が俺に注がれる・・



・・・





そうだ!デーヴィドに命を出させよう!



俺はデーヴィドがいるモンタナの艦橋に視線を注ぐが・・



デーヴィドは任せるとばかりにモンタナの奥に逃げていった。



・・・



皆の視線に負けた俺は・・



「わかった!その提案を受け入れよう!」




ワァ~~~~~~~~~~!!!!!!!!




島民が喜び食事に群がった。


 


「ありがとうございます~~~!」


 


白ドラゴンは俺に抱きつき・・



ホッペにキスしてくれた。







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