魔物をボコる天使族達とエリーナ達の苦渋の願い
戦艦大和と航空母艦信濃は白黒天使族とメイドさん達を乗せ巡航中、
2隻だけなのは心細い・・特級天使たちが乗り込むこの2隻は無敵、
行く先々で出てきた魔物達は・・彼女らにボコられて急ぎ退散した。
魔物は自分の縄張りに勝手に入った俺達を追い出したいだけなのに・・
逆にボコられて・・住処で泣いているようだ。
・・・
すみませんでした!
普段通らない直線ルートを通っているせいか魔物との衝突が絶えない、
各部隊は魔物達のナワバリに配慮して普段は通らないのだが・・
なぜか血気盛んな天使族のお姉さまたちは無視して2隻を走らせる。
メイドさん達も・・なぜか天使族を熱狂に応援している。
そんな彼女達は・・
時々振り向いては・・
俺を見て怪しげな視線で興奮している・・
「うふふふ・・久しぶりの男・・男・・男ね~~」
・・・
生贄にされる巫女さんの気持ちがよくわかった。
俺骨と皮だけにされないかな?
生気を根こそぎ取られそうな気がする・・
「さあ~突き進むのよ~~!」
「オゥゥゥゥゥゥ!!!」
変な気合いを入れられ巡航する大和と信濃、どちらもまだ無発砲、
レティシア達が交代で上空に飛び先行して魔物と交戦しているからだ、
殺すことはしないが・・相当ボコるので魔物は涙を流していた。
「おりゃ~~~!!!!!!」
「ギェェェェェェェ!」
・・・
ほとほどに・・ほどほどにお願いします。
信濃の艦橋では・・
・・・
天使族のお姉さまの妙な気合いに呆れるサユミがいた。
・・・
深く考えるのはやめたようだ、俺もそうしよう。
翌日・・
無茶苦茶な行動が功を奏したのか最短時間で北の大陸が見えてきた、
しばらくしたら入口が見えてきた、ここからは氷の中に入っていく、
天使族のお姉さまたちは大和と信濃の艦橋に戻り休憩していた。
検問を抜けゆっくりと氷の中を巡航する信濃と大和、信濃が先行している、
しばらくしたら港が見えてきた、金剛など複数の艦が港で停泊している、
誘導灯が点灯して信濃は左、大和は右の堤防に寄せて停泊する。
「お疲れ様でした!北の大陸にようこそ!」
西の大陸に住む魔族と人間の女性達がメイド姿で出迎えてくれた、
着ているのは北の大陸専用のメイド服らしく華やかなデザインとなっていた、
それを見たメイドさんたちは対抗心・・ではなく専用服に着替えていた。
「うふふ・・新しいメイド服が手に入ったわね・・」
・・・
君達!
それは北の大陸専用のメイド服だからね!
ここから出る時はきちんと返却するように!
俺の言葉はかき消されメイドさんたちは笑って上陸していった。
「あ~~久しぶりね~~」
この地で過ごしてきたサユミが懐かしそうにあたりを見渡す。
「そんなに変わってないわね」
・・・
サユミ君!
君がいた時は氷と中心にあった城だけのはずだろ?
今は完全なリゾート地となって前の面影はほとんどないぞ!
俺のツッコミを完全無視してソネット達と笑いながら上陸するサユミ。
・・・
深く考えるのはやめることにした。
「きゃ~~なにここ?楽しい~~」
北の大陸内に新たに設けた遊園設備に夢中になる白黒天使族達、
早速水着に着替えて波乗りサーフィンや観覧車等に乗って遊んでいる、
水の中を突き進むジェットコースターが大人気で何度も乗っていた。
他にもカジノやゲーム等で遊びまくる天使族、エリーナの事は完全に忘れてる。
・・・
思い出した!
シャーロット達のことで忘れていた我が子たち、急ぎ探して抱きしめたい、
俺はエリーナ達を探した、どうやら高級温泉の専用室にいるらしい、
俺は我が子会いたさに必死で妻たちを探した、そして見つけた。
「こちらにいらっしゃいます、どうぞ・・の前にですね・・」
俺はメイドさん達に風呂に押し込まれしっかり洗うように言われた、
洗いましょうか?と言われたがそれはさすがに遠慮して自分で洗う、
断られたメイドさんたちは「チッ」と舌打ちをしていた。
・・・
俺はひたすら自分を洗い・・急ぎ出て我が子の元に向かう、
そして・・部屋の中に入るとエリーナ、エマ、ソニアがいた。
「あらお帰りなさい、今寝たところだから起こしちゃダメよ!」
横を見ると・・
3つのベビーベットで静かに眠る我が子たちがいた!俺は感無量!
ゆっくり近づき・・寝ている我が子を見て号泣した!
「ううう・・お父さんだよ~~~」
父親だと理解したのか3人の子供達は笑顔になり眠っている・・
そっと抱きしめようとしたが・・ソニアが俺の首根っこを掴む。
「起こしちゃダメよ、泣くとうるさいんだから」
俺は猫のように掴まれ・・そのまま空いている席に座らされた、
その目の前には真剣な顔をしているエマとエリーナ、そしてソニアが座る、
子供達は笑顔で寝ているが・・妻の3人は只ならぬ雰囲気を纏っている・・
そして・・エマが語る。
「コウさん大事なお話があります」
「ああ・・俺もだ」
「それでは隣の部屋に・・ここでは子供が寝てますから」
子供達はメイドさんに任せて俺達は隣の部屋に移動、対面で座る、
まず俺はエマとソニアに尋ねる、なぜ妊娠を黙っていたのか?を・・
「それに関しては申し訳ありません」
「それではわからない、詳しく理由を話してくれ」
「あなたが・・次の妻を娶るのを邪魔したくなかったからよ」
「どういう意味だ?」
「レティシアさん達を見ればわかるでしょ?彼女達も貴方を望んでるわ、
それにね・・あなたが大勢の子孫を残さないと私達困るのよ」
「訳わからないな・・」
「あなたがこの世界に召喚された時の事覚えてる?」
「ああ・・忘れるはずはない」
「あの時あなた達に支配魔法かけたでしょ、それで10万を超える・・
ライアンさん、ジェニーさん達が召喚されたことを思い出してちょうだい!
その魂を・・この異世界に繋ぎ止めてるものは何なの?」
「それは・・俺とデーヴィドの魂か?」
「そういうこと、デーヴィドは純粋なアメリカ人だけどあなたはハーフ、
もしデーヴィドが亡くなったらアメリカ人のライアンとジェニーが消える、
でもあなたがいれば・・どちらの血も持つあなたがいれば繋ぎとめられるの」
「そういえば・・そうなのか?」
「そうよ、でもあなたが死んだら8割近くのライアンとジェニーが消えるわ、
そうなったら各艦の整備もできなくなり膨大な食糧も育てることが出来ない、
それは・・私達の同盟も消える可能性もあるのよ、食べられなくなるからね」
・・・
「各種族は自分の食糧調達で精一杯になり他所との戦いも再発する可能性もある、
今はある程度整備されたからそうはならないと思うけどね・・私達の不安わかる?
何としてでもあなたの子孫を増やしてライアン達の消滅を食い止めたいのよ」
「それで・・俺に次の妻を娶れと?」
「そうよ、私達の本音はあなたが傍にいてほしいけど・・もう無理なのよ、
ここまで築いた同盟を・・皆の笑顔を消したくないのよ、もうわかるでしょ?
貴方の寿命には限りがあるわ、そのため大勢の子孫を残す必要があるのよ」
「だが・・君達が3人も生んでくれたじゃないか?」
「あの子たちがライアン達の魂を繋ぎ止めれるかは・・わからないわ、
もし外れなら取り返しがつかない・・そのために大勢の子孫が必要なのよ、
その中の誰かが魂を繋ぎとめられたら・・それに賭けるしかないのよ」
・・・
「それと・・レティシアさん達も貴方との子孫が欲しいのです、
彼女達は立場上格下の相手を選ぶことは出来ません、もちろん・・
純粋にあなたに惚れているからでもありますが・・」
・・・
「君達の言いたいことはわかった、少し考えさせてくれ」
「ええいいわよ、子供達も起きたようだし抱いてきたら?」
「ああ・・そうする」
俺は部屋を出て・・
「ダァダァ・・」
1人づつ我が子を抱きしめ・・
「アハァァァァァ・・」
複雑な気持ちだが・・子供の前では精一杯の笑顔を見せる。
「アハハハハ・・」
俺は・・
決意を固めた。