悟りを開いたアリエノールとエリーナ達の出産
アリエノールとシャーロットが闘技場に上がる、そして互いに軽く礼、
事務員たちの裏切りに怒りを隠せないシャーロットの気迫が凄かった、
対するアリエノールは・・シャーロットを見て複雑な心境だった。
というのも・・
彼女は以前俺達との戦いで部下を囮とし生贄にする作戦を実行していた、
強大な敵が相手とはいえ・・いま考えると・・とても愚かな行為だった、
仮にそれで勝っても自分も含め皆の蟠りが心に残り後悔していただろう。
幸い俺達が共存の考えを持ち殺戮を好まなかったことで事なきを得た、
それ以降は猛省し自身の財産を全て迷惑かけた部下や配下に配っている、
それで罪が消えるとは思ってなかったが・・事務員の言葉で救われた。
「アリエノール様達は改心されています!」
自分たちの気持ちを理解してくれた事務員の言葉がとても嬉しかった、
それ故に今のシャーロット達が・・以前の自分と重なって見えていた、
彼女達の心を改善するには・・自分達しかいないと意識していた。
「大将戦はじめ!」
シャーロットは銃は使わず腰の剣を振りかざし攻めてきた、おそらく・・
銃は相手に引きずり込まれた時に使う切り札として温存するようだ、
互いに剣を抜き乱打戦、剣に関してはアリエノールの方が一枚上手のようだ。
「これなら・・どうだ!」
シャーロットは宙返りを繰り返し距離を取り特級魔法を仕掛けてきた、
アリエノールは・・一度剣を鞘に納め・・気合いを溜め目をつぶる。
「抜刀術!」
ズパーーーーン!!!
日本武術の居合切りのように瞬時に剣を抜き・・そして即座に鞘に納める、
剣は刃挽きをしてはいるが・・アリエノールの気合いで魔法は真っ二つ、
そのまま左右に飛んでいき・・壁に激突し大爆発を起こす。
「ドグァ~~~~~ン!!!」
「ウォォォォォォォォォォ~~~!!!!!」
これには会場が大いに沸いた!
「なにあれ?居合切りなの?」
「漫画では知っていたが・・実物を見るのは初めてだ」
「あの剣刃挽きしてあるんでしょ?それで魔法を斬るなんて・・」
会場の観客、スマホやモニターで閲覧している各種族も驚いたが・・
一番驚いていたのが対戦相手のシャーロットだった。
「う・・嘘?剣で魔法を斬るなんて・・」
驚きを隠せないシャーロットだったが・・
すぐに気持ちを切り替える。
「まぐれよまぐれ、次はこうはいかないから!」
シャーロットは特級魔法を乱発してきた、あたりは爆発で煙が充満、
これでもかと魔法を乱発して・・肩で息するシャーロットだったが・・
・・・
煙が晴れてきた・・その中には・・それを見て震えるシャーロット。
「えっ?・・あれだけの特級魔法を受けて無傷なの?」
魔法を全部斬り・・無傷のアリエノールが立っていた。
それを信濃の艦橋モニターで閲覧していたサユミとタケシが呟く、
サユミは以前アリエノールとの戦いに圧勝していたが・・
「アリエノールさん覚醒したみたいね」
「ああ驚異的な強さだ、まともに戦うと俺でも危ないな」
「悟りを開くって・・こういう事なのかしら?」
「そうだな、今のアリエノールさんには迷いはない」
特級でも上位のサユミとタケシでもアリエノールの強さに驚いていた、
そのアリエノールは・・
「今度はこちらから行きますよ!」
剣を抜きシャーロットに襲いかかる、なんとか攻撃を回避したが・・
このままでは勝てないことを悟り・・切り札の銃を構えた。
「どう?これなら・・いくらあなたでもかわせないでしょう?」
アリエノールはため息・・
「いいですよ、撃ってきなさい!」
「この銃は特注品よ!いくらあなたでもかわせないわ!それでもいいの?」
「構いませんよ、どうぞ」
銃を向けられても表情一つ変えないアリエノールにシャーロットが怒る。
「なら撃ってあげるわ~~死ね~」
ドキューン・・・・・・
シャーロットは銃を3発、ほぼ同時に撃ってきた。
会場は静まるが・・
・・・
銃弾は・・アリエノールの手前1m位の所で・・なぜか止まっていた、
そして弾は2つに割れ地面に落下、超高速の居合切りで斬ったようだ。
「えっ?銃弾を斬ったというの?それも3発同時に撃ったのに?」
驚愕するシャーロットに向かって語るアリエノール。
「こんな銃弾・・ライアンさん達の銃に比べたらおもちゃですよ」
いや今の銃弾の威力は遜色ないと思うぞ?
切り札の銃も通用しないと悟ったシャーロットは暴走に走る、
特級魔法を混ぜ合わせ爆発力を増し闘技場ごと消して引き分けに持ち込む、
引き分けなら後日再試合、その間に自分だけ逃げようと考えたようだ。
だが・・・
「見苦しいですね!」
アリエノールが加速しシャーロットの懐に飛び込む、そして蹴り、
シャーロットは吹き飛ぶが・・体制を整え特級魔法を放ってきた、
アリエノールはその魔法を一刀両断、魔法は大爆発を起こし煙が充満する。
「悪い子には・・お仕置きしないとね・・うふふ・・」
真面目な顔から舌打ちする不気味な笑顔に変わったアリエノール、
そして・・煙の中であの・・とても強烈で刺激的な技を繰り出す。
「アァァァァァァァァァァ・・・!!!」
魔法の煙の中で・・シャーロットの悶絶の声にも似た悲鳴が響いていた。
しばらくしたら煙が消え視界が戻る、そこには・・
あらゆるものを出し痙攣を起こし気を失っているシャーロットと・・
「うふふ・・楽しかったわよ~~!」
充実の笑顔で舌を打つアリエノールがいた。
「そこまで!シャーロット戦闘不能につき勝者アリエノール!」
会場からは大歓声、それに笑顔で右手を挙げ応えるアリエノール、
そしてゆっくり闘技場から降りて他の6天王の祝福を受ける、だが・・
戦いに参加できなかったアリーゼだけは不満顔だった。
俺は・・どうしても気になることがあったので・・
サマンヌ達の元に駆け寄り・・
なぜ亀甲縛りを観衆に見せなかったのかを尋ねた。
すると・・
「当然ですよ、子供達が見ているかもしれないでしょ?」
「なに?どういうことだ?」
「親が見てるのを・・横から見てるかもしれないでしょ?」
「それか親のスマホをこっそり借りて見てるかもしれないでしょ?」
なるほどな・・
後からジェニー達が調べたが・・アヤカ達の予想通り何人かが見ていた、
亀甲縛りを見たくて親のスマホを勝手に借りて試合を見ていたらしい。
「思春期の子供がアレを見たら教育上まずいでしょ?」
「それは・・そうだな」
「それにブラック達の辱めを各種族に見せたくなかったからよ」
そこまで配慮していたのか・・
決闘は閉会し各種族はそれぞれの持ち場に戻り業務を遂行している、
俺と6天王はシャーロット達の状況を確認しに救護室に行ったが・・
既に5人とも元通りとなり・・心配で見に来た事務員たちに謝罪していた。
俺達に気付きたシャーロットたちは・・
「お話があります、お時間よろしいですか?」
「わかった、大和の艦橋で話を・・」
その時全員のスマホに緊急連絡のメールが来た。
「嬉しいお知らせです!本日朝にエリーナ様が無事男の子を出産されました!
その2時間後エマ様とソニア様がそれぞれ女の子を出産されました、
母子ともに無事であることをお伝えします!」
このメールを見て・・俺は驚いた。
「えっ?エマとソニアも妊娠していたの?」
皆は知っていたが・・驚かせようと思ったらしく俺には言わなかった、
それには少し腹が立ったが・・俺の子供が一気に3人も出来た!!!
俺は喜び急ぎルーム国に帰ろうとしたが・・
「チョット待って!ブラック達との同盟締結が先よ!」
・・・
我が子が見たい・・見たい・・見たい・・俺だったが・・
「お父さんはしっかり仕事しましょうね~~」
レティシア達に掴まれ逃げられない俺だった。
ちなみに我が子たちは急いで戻ったクリスティーナ達が抱いていた。
俺は・・・
我が子を抱いたのは一か月後のことだった。