亀甲縛りの弱点とアヤカの新たな戦い方
アリエノールとアヤカの挑発に。。乗らざるを得なかったシャーロット、
仮にシャーロットかミアどちらかが1勝すればブラック達の勝ちとなる、
追い込まれた状況からの一発逆転・・断るわけにはいかなかった。
念の為シャーロットがアヤカ達に条件の有無を尋ねた。
「なにか条件はあるの?」
「特にないわ、今迄通りでもいいしタッグマッチでもいいわよ!」
「少し考える時間をちょうだい!」
「いいわよ、5分待ってあげる」
「ありがとう!!」
シャーロットとミアはヒソヒソ話、タッグにするか迷っているようだ、
ミアはタッグを推奨するが・・シャーロットの考えは逆のようだ、
仮にどちらかが抑えられ2対1で戦う事を恐れたらしい。
シャーロットもミアも戦いには自信あるが・・
さすがに6天王2人を1人で倒せるほど強くは無いようだ。
ミアは逆に自分達2人がアヤカかアリエノールを集中攻撃する案を出す、
だがシャーロットは・・そんなに甘い相手ではないと思ったようだ、
むしろ1対1の方が集中できると言い切り・・ミアはやむなく頷いた。
「待たせたわね、戦いは今迄通り1対1でいいわ!」
「そう、わかったわ!」
アリエノールとアヤカは余裕の顔をしているが・・
内心・・個人戦でよかったと思っていた。
というのも・・
あの技は相手を縛ってる間無防備となり別からの攻撃に弱いからだ、
戦いの最中に敵のパートナーが上級以上の魔法を乱射すると危ない、
訓練でかなり早く縛れてはいるが・・それでも複数の魔法は防げない。
シャーロット達が仲間の治療を渋んだことが・・
やられた仲間から亀甲縛りの情報を聞いていたら・・
迷わずタッグマッチにしていただろう!
だが・・
この時点では・・
シャーロットもミアもそのことはわからないので無理はない。
「お待たせしました!これより第4試合を始めます」
「じゃ行ってくるわね!」
「アヤカ油断しちゃダメよ、あの娘かなり強そうだわ」
「そうね、気を引き締めるわ!」
闘技場に上がるアヤカの手には・・恒例の太い縄があった。
対するブラックのミア、相当気合いを入れて挑むようだ。
ブラックのミアは・・戦闘力だけならシャーロットより上らしい、
ただ単純明快で深く考える心理戦は苦手のようだ、そのため・・
心理戦が得意なシャーロットを慕い意見は素直に受け入れている。
だが・・
今回はそれが仇となったようだ。
「第4試合!はじめ!」
「ハァァァァァァァァ!!!」
ミアの右手には熊の爪を伸ばしたような金属の武器が装着されている、
意表を突かれたアヤカは人型ゴーレムを出し防御させる、だが・・
ゴーレムはミアの爪攻撃により切り刻まれゴナゴナに砕けた。
「まだまだ~~!」
ミアの波状攻撃が続く、アヤカはゴーレムを無数に出し視界を遮る、
崩しても崩してもキリがないゴーレムにイラつきを隠せないミア、
面倒だからと・・翼を広げ上空に飛び・・特級魔法を仕掛ける。
「全部吹き飛べ~~!」
ミアの強烈な特級魔法が闘技場に叩きこまれる!
「待ってたわよ!」
スガガガガガガガガガ・・・・ドカーン!
闘技場にいたゴーレムは全部砕け辺りには・・何もない?
アヤカはどこ行ったんだ?とばかりにミアが周りをキョロキョロ・・
「ここですよ!」
砕けたゴーレムの粉が砂の嵐となってミアの周りを取り囲んでいく、
ミアは怒りながら爪で粉に攻撃するが・・手ごたえは全くないようだ、
すると・・爪の周りに大量の砂が舞い・・そこからアヤカが現れた。
「 水分吸収」
アヤカは覚えたての英語で技の名前を繰り出す・・
ゴーレムの粉・・いや砂かな?それと鉄粉も混ざっているようだ、
それらが空中で絡み合いミアの爪に吸い付いていく、
すると・・
「えっ・・嘘!どうして?」
ミアの爪は一気に錆びて粉々となり・・同時に腰の剣もゴナゴナになる、
どうやら大気中の水と酸素を鉄粉に付着させて錆を発生させたらしい、
それをミアの爪に付着させて・・一気に錆びを浸透させ粉々にしたようだ。
そういえば・・
彼女達は俺達と同盟を組んだ後・・暇を見ては図書館に通っていた、
木人形・・今のライアン達には各種専門家も多く様々な書籍を書いている、
それらを題材にした漫画から・・アヤカは化学反応の原理を知り応用した。
彼女が繰り出すゴーレムの材質は砂が多いが・・鉄のゴーレムも造れる、
この異世界にも鉄分は無数にあり・・アヤカはそれらも操ることが出来る、
様々な化学反応を参考に・・自分の能力と合わせた新たな技を完成させていた。
武器を砕かれたミアは・・
「こうなれば肉弾戦よ!」
翼を広げ拳を握りしめアヤカに襲い掛かるミア、だが・・
「 砂嵐(サンドストーム!)」
闘技場はアヤカの砂嵐によって外部からは全く見えなくなった、
ミアは危険を感じさらに上空へ・・身体が重い?
足を見ると・・
巨大化した鉄粉がミアの両足に絡んでる、200kg位ありそうだ、
さすがにこの重さでは飛べないミア、やむなく砂嵐の中に・・
「うふふ・・いらっしゃい・・」
「アァァァァァァァァァァ・・・!!!」
砂嵐の中で・・ミアの悶絶の声にも似た悲鳴が響いていた。
しばらくしたら砂嵐が消え視界が戻る、そこには・・
・・・
あらゆるものを出し痙攣を起こし気を失っているミアと・・
「うふふ・・楽しかったわよ~~!」
満足の笑顔で舌を打つアヤカがいた。
「そこまで!ミア戦闘不能につき勝者アヤカ!」
観客席から大歓声!それに右手を挙げて応えるアヤカだった。
「う・・嘘?あのミアまでがやられるなんて・・」
予想外の展開に・・焦りを隠せないシャーロットだった。
シャーロットがミアを治療する雰囲気は無いので急ぎ救護班が出動する、
ミアをタンカに乗せて一目散に救護室に連れて行く、これには理由がある、
救護もそうだが・・6天王からの要望でもある。
それは・・
彼女達が新たに編み出した様々な亀甲縛りは・・かなり強烈らしい。
そのため長時間放置すると身体に悪影響が起こる可能性があるからだ、
そのため封印しようとも考えたが・・シャーロット達には使うことにした、
それはシャーロットの・・元部下からの切実な願いがあったからだ!
事務員のジュリア・アイリス・エミリア。
この3人はもう少しでシャーロット達に処刑されそうになった、
さらに進言は無視され親友を馬鹿にされ俺達にも罵声を浴びせた、
それらの行動は・・自分達の保身だったことが許せないようだ。
自分達の立場だけ考えて・・
部下を捨て石のように考える上部たちを懲らしめてほしい、
そうアリエノール達に懇願していたのだ。
それを聞いたアリエノール達は・・
「耳が痛いわね、私達も似たようなものだから・・」
「むしろ・・私達の方がひどいと思うけどね・・」
躊躇しているアリエノール達にジュリアたちが一言!
「みなさまは・・きちんと謝罪と賠償をしています!」
「そうです!そこが違います!」
「アリエノール様達は改心しています、だから頼みたいのです!」
これを聞いたアリエノール達は・・
「そこまで言われたら・・」
「そうね、できることはするわ!」
「あっ・・ありがとうございます!」
ジュリア・アイリス・エミリアは・・
深く頭を下げ・・・それを何度も繰り返していたようだ。
そして・・
今この3人は観客席にいる、そして天使族を応援していた!
「アリエノール様がんばれ~~!」
・・・
これを聞いたシャーロットは・・3人を睨んでいた。
「これより大将戦です!代表者は闘技場におあがりください!」
怒りながら闘技場にあがるシャーロット、なんと銃を持っていた、
その銃は俺達の銃を真似て造ったブラック達のオリジナル仕様だ、
弾丸数は少ないが・・口径が大きいので破壊力はありそうだ。
対するアリエノールは・・
「じゃ行ってくるね!」
「気をつけてよ、相手は銃を持っているわ!」
「おっけ~まかせて!」
腰に剣を差し・・
背中には太めの縄を抱えていた。