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アズミの大粒の涙と覚悟を決めた笑顔の事務員たち




俺は戦艦伊勢の艦長室にいた、向かいには6天王とソネットたち、

それとアズミとラム、シルヴィとソフィアも同席している、そして・・

アズミが俺に向かって・・あるお願いをしてきた。



俺は・・



ある程度この展開は予測していたが・・



・・・



正直ブラック達の情報は欲しい、それを知る捕虜を現在捕らえてはいる、

だがアズミは・・彼女達に一切手をつけずに開放することをお願いしてきた、

それには天使族全員とラムも頷いている、そしてもう一つ・・



俺は頷き・・急ぎ手紙を書く、その内容を見た6天王達は・・



羽根を一枚取り・・自分のサインを書いて封筒に入れた。



2時間後・・



俺達はブラック達を戦艦伊勢にまとめ・・伊勢と日向は動き出す、

しばらく巡航したら結界が見えてきた、おおよそ1km離れて止まる、

そしてブラック達を甲板に挙げる、彼女達は極刑になると思ったようだ。



「今から君達を開放する、自分達の領地に戻るがいい」



この言葉に・・ブラック達と事務員は極度に驚いていた。



すぐにジェニー達が彼女達の縄をほどき剣などの武器を返す、

さすがに銃は返せないので・・それは説明してブラック達も頷いた、

リーダーらしきブラックエンジェルに俺の手紙を渡した。



「君達の代表にその手紙を渡してほしい、途中で見てもらっても構わない」



リーダーは頷き・・気が変わらぬうちにと急ぎ翼を展開し飛び立っていく、

だが・・事務員の3人はまだ甲板の上だ、その目線はアズミを見ている。



アズミは・・・



「さ・・さようなら・・・・・・」



大粒の涙を流しながら・・別れの言葉を言っていた。



「・・・」



事務員たちの背中から美しい黒の翼が展開され、顔がのっぺらぼうになる、

どうやら今までの顔は一時的なもので正体を明かしたから消えたようだ、

そして・・ゆっくりと飛び立ち結界の中に消えていった。




「ウァァァァァァァァァァ~~~~ン!!!」




アズミは膝をつき号泣、ラムが宥めながら部屋に連れて行った、

あとから聞いた話だが・・アズミと事務員たちは親友とも言える仲、

アズミが召喚された時から一緒に過ごしたのがあの3人だそうだ。



召喚当時・・北東の大陸は貧しい大陸で食糧も乏しかった、

アズミは彼女達と苦労しながら共に生き抜きギルドを結成した、

結成後も付き合いは続き姉妹以上の仲だと皆が認めるほどだった。



・・・



今はそっとしておこう



俺は艦橋に上がり指示を出す。



「伊勢日向反転!ストロベリーステーションのある港まで戻るぞ」



戦艦伊勢と日向は反転、結界から離れストロベリーステーションに急ぐ、

追手に備えて戦闘機を上空護衛させていたがブラック達は来なかった、

首都付近にいるモンタナにも連絡したが敵影は一切なかったそうだ。



このまま北東の大陸まで行こうと考えたが・・それはラムが反対した、

今は裏世界の人間にこの艦は見せない方がいいと言われたからだ、

とりあえず伊勢と日向はストロベリーステーションの港に戻った。



そのころ・・



俺達を襲ったブラックエンジェルと事務員達は本拠地の大広間にいた、

そこには最高幹部はじめ同格の4人、それと各拠点の重鎮たちが集う、

彼女達は帰還した部下の・・リーダーの報告を聞いていた。



「経緯を詳しく話しなさい」



「はい、ゴブリンの村でギルドの幹部をおびき寄せることは成功しました、

ただその中に・・特級ガルーダ―2人と・・謎の男とその部下がいました、

謎の男に関しては・・人間ですが強さは特級クラスかと思われます」



「人間が特級クラスだと?」



「はい、お恥ずかしい話ですが・・私は彼の蹴り一発で気絶しました、

おそらく本気を出せばガルーダ達にも引けは取らないと思います、

それから・・その男から手紙を預かっております」



「そうか・・読みなさい」



「いいのですか?」



「構わないわ、皆に聞こえるように大きな声でね」



「はい・・わかりました」



リーダーのブラックが俺の手紙を読む、まず俺達が異世界人ということ、

各艦はその昔の戦争で沈んだ艦がこの世界で蘇って活動していること、

そしてルーム国はじめ各種族と時には戦ったが後日同盟を結んだこと。



彼女達が一番気になるホワイトエンジェルに関しては・・



激戦後レティシアを除く悪事三昧の全員を捕らえた事等を書いている、

だが俺のわがままで彼女達の極刑は避け生きて罪を償わせていること、

彼女達も猛反省し本名を封印して配下達に賠償していることを述べた。



その証拠として・・レティシアも含む6天王の羽根に名前が書いてあった、

それらが同封されていたのでリーダが皆にその羽根を見せた。



最後に・・



出来るなら・・一度話し合いの場を設けて君達と本音で話をしたい!



「と書いてあります」



これを聞いた最高幹部は・・



「アハハハハハハハハハハハハハ・・・・」



お腹を抱えて笑っていた。



「なにこれ?こんな甘い奴が相手の総指揮官だと言うの?笑えるわ、

多少強い位でね~~自分の考えが通ると思ってるのか?この馬鹿は!

今更多少反省した位で私達の屈辱が消えると思っているのかしら?」



「ほんと拍子抜けしたわ、単なる間抜けじゃない!」



「ほんとほんと、無視よ無視!」



「それがいいわね」



「アハハハハハハハ・・」



他の幹部も全員笑っていたが・・



アズミの事務員だけは・・笑っていなかった。



そして・・言葉を発する。



「甘く見ない方がいいですよ・・」



「はあ?」



「コウさんに関しては・・確かに馬鹿みたいに優しい方です、

ですが・・彼の優しさは・・戦いばかりの各種族をまとめました、

彼には不思議な魅力があります、今のあなた達にはわからないでしょう・・」



「なんですって!今の言葉取り消しなさい!」



「取り消す必要はありません、事実ですから・・」



最高幹部はため息のあと・・



「そっか・・あなた達はずっと北東の大陸にいたのよね、

だから洗脳されたの?あのアズミとかいうギルドの幹部の悪影響ね、

どうせろくでもない事ばかり習ってたんでしょ?呆れたわ!」




「アズミさんはそんな人ではありません!!!」




「でもコウとか言う奴と同じ異世界人なんでしょ?同類じゃないの、

どうせ異世界のろくでもない知識で好き勝手してるんじゃないの?

私はいろんな異世界人見てきたけど・・最悪レベルにしか見えないわ」



「その言葉・・そっくりお返しします」



「言葉を慎みなさい、私はあなた達に命令する立場なのよ!」



・・・



「私達・・こんなのに仕えていたの?」



「ハァ・・もう・・ため息しか出ないわ」



「こんなことなら・・私達北東の大陸に残ればよかったね・・」



「なんですって!もう容赦しないわよ!!!」



この言葉で最高幹部は怒り・・彼女達を縛り足蹴りを繰り返した、

他の幹部も怒りながら事務員たちを蹴り飛ばし・・牢に叩きこむ、

重傷の事務員たちは・・なぜか3人とも牢の中で笑顔だった。



それを疑問に思ったリーダーのブラックエンジェルは・・



深夜にそっと1人で牢に行き・・笑顔の理由を尋ねる。



「呆れたわ、あなたたちなんで笑っているの?」



「アズミさんに教わったんです、「笑う門には福来る」って」



「なによそれ?」



「つらい時こそ笑顔で過ごすと幸せが来るって教わりました、でも・・

当時は大声で笑うと大概魔獣や盗賊が来たので逃げ回っていましたけど・・」



「それで笑っていたの???」



「はい・・そうです」



「あなたたち・・それとアズミも馬鹿じゃないの?」



「そうですね、私達すごく馬鹿だと思います」



「そんなアズミをなぜ庇うのよ?」



「アズミさんは・・本気で泣いてくれたからです」



「はあ?」



「私達の最高幹部は・・長年苦労した私達に労いの言葉すらないです、

でもアズミさんは・・今まで騙していた私達の為に泣いてくれました、

そんな大切な人を馬鹿にした最高幹部に・・一吹かせたかったのです」



「でも・・あなた達それで死刑にされるのよ」



「覚悟は出来ています、もう北東の大陸もここにも居場所無いですから・・

それなら・・せめて笑って残り時間を過ごそうと決めたのです」



「そ・・そんな・・」



「リーダー・・もうお帰り下さい、ここにいたら巻き添えになりますよ?

私達に気遣って頂きありがとうございます、どうかお元気で・・」



事務員たちは笑顔で・・そのまま牢の中で崩れ眠りについた。



・・・



リーダーは・・静かに牢を出た・・



・・・



「見捨てられる訳・・ないだろうが・・!」



リーダーのブラックエンジェルは・・



1人闇夜に飛んで行った。

















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