誘拐犯たちの捕獲とゴブリン達への誤解説明
のっぺらぼうのブラックエンジェル達は俺達を村ごと囲んでいた、
大半は上級レベルらしく特級のシルヴィとソフィアを見て怯んでいた、
種族が異なっても強さのレベル単位は共通らしい。
それに加え・・
戦闘機隊が俺達の援護に来た、その上にはソネット達が乗っている、
まるで戦闘機を馬のように扱いブラック達をけん制している、そして・・
垂直戦闘機隊は・・俺の指示を待っていた。
俺は迷わず指示を出す!
「誘拐犯と事務員はグルだ、こいつらを蹴散らせ!」
「了解!!!!!!!!!!!!!」
垂直戦闘機隊は村を囲みホバークラフトのようにその場に浮いている、
その騒音でゴブリン達は怯え・・親は子供達を抱きかかえ急ぎ逃げる、
ゴブリンが森に逃げたのを確認した天使族は・・攻撃を開始する。
「小型ミサイルの発射お願いします」
「了解!!!」
シュパパパパパパパパ・・・
戦闘機から一斉に小型ミサイルが放たれブラック達を襲う、すぐに結界・・
バシュュュュ・・
・・・
パァァァァァァァァァァ~~ン!!!!
ブラック達の結界が・・次々と破裂していく。
「えっ?なんで?」
「結界を破ったのは大きな砲のはずよ?なぜ結界が破られたの?」
何故か結界増幅弾を知っていたブラック達が・・驚いている!
正直俺も驚いた!
だがなんで?
確か結界増幅弾は主砲弾程度の大きさでないと展開出来ないはずだ、
それが何で?その疑問は後日ジェニー達が教えてくれた。
「まとめるから弾が大きくなるんです、爆発の時だけ絡めればいいのです」
・・・
要するに・・
分散して発射した魔法増幅弾を爆発の時だけまとめればいい・・なのか?
ジェニー達は・・大きく頷いていた。
「これなら戦闘機にも搭載できますから!」
ジェニー達は鼻高々で・・自慢そうな顔だった。
・・・
とにかく・・今は戦闘に集中しよう!
結界を破られた上級ブラック達は慌てて銃を取り出し撃ってきた、
何故か俺達から離れ戦闘機の上に乗っているソネット達を攻撃、
ブラック達の魔力を込めた銃弾は・・
ブシュ・・・ブシュ・・
「あぅ・・・」
ブラック達が持っていた銃は隠密用らしくサイレント機能があるようだ、
ソネット達は結界を複数展開し顔などは守ったが身体に銃弾を受けた、
苦しんでる姿を見てブラック達が笑みを浮かべているが・・
「フフフ・・効きませんよ?」
身体に複数銃弾を受けているのに・・ソネット達はお構いなしと攻める。
「え?ええ?どうして?」
取り乱すブラック達をあざ笑うかのようにソネット達は剣を抜く、
そして翼を広げ戦闘機から飛び立ち・・
「ハァァァァァァァァァ!!!!」
大きく剣を振りかざし上級ブラックに襲い掛かる、相手も剣を抜く、
そして剣がぶつかり合う・・
「キィィィ・・ビビビビビ・・」
「ぎゃああああああああ??」
猛烈な電流を受けた上級ブラックはそのまま気を失い落下していく、
同じように他のブラック達もソネットの仲間と交戦し・・堕ちていく、
その下では・・俺とシルヴィ・ソフィアが忙しく受け止めていた。
「これのおかげで命拾いしました」
ソネット達が上着を脱ぐ、その中には新たな防弾チョッキを着こんでいた、
チョッキは見事銃弾を抑えたのに加えブラック達に電撃ショックを浴びせた、
これのおかげで一部だけの結界展開で済んだと大喜びしていた。
上級ブラック10人程度と誘拐犯、事務員含め約20人を捕まえた、
その後ヘリが迎えに来た、まず半分を戦艦伊勢に運ばせ残りは日向に、
そして俺達が帰ろうとした時・・ゴブリン達が謝りに来た。
どうやら垂直戦闘機に猛ビビったようで震えが止まらないゴブリンが多数、
代表らしきゴブリンが震えながら俺に謝りまくる・・
「ごめんなさい・・ゴメンナサイ・・だからもう攻めないで・・」
余程垂直戦闘機が怖かったようで・・
ブラック達に加担し俺達を窮地に陥れたことを泣きながら謝るゴブリン、
だが不思議なことにヘリに関しては子供達がはしゃぎ喜んでいる・・
?
何でだろう?
「これですよ!」
ソネットが竹とんぼらしきおもちゃを俺に見せてくれた。
「ヘリは竹とんぼのような羽根があるので違和感が無いようです、
ただ垂直戦闘機に関しては・・あれだけの巨大な鳥が空中で止まった、
巨大な鳥はゴブリンの天敵なので・・それに見えたのでしょう」
なるほどな・・
まあ鳥はその場で浮いたりしない、高速で襲い掛かりすぐ離れる、
ただ垂直戦闘機はその場で浮いてるからな、ゴブリンにしてみたら・・
恐ろしい天敵がその場にずっと浮いていたら・・そりゃ怖いだろう。
ここで豆知識。
この異世界に住む大半の種族は「わかればいい」的な言動が多い、
例えば今までは艦載機を「音速機」「プロペラ機」と言っていたが・・
どちらも戦闘で使うんだからと「戦闘機」でほぼ統一している。
艦に対しても似たようなもので「戦艦」「重巡」「軽巡」ではなく・・
「大和」「最上」「矢矧」と艦名で呼び艦の種類に関しては無頓着、
専門知識を要する整備等が絡むときに「戦艦の部品」と言う程度だ。
垂直戦闘機も滑走せずに「上下に動くから」の理由でこう言っている、
時々ライアンやジェニー達が「VTOL機」と専門名を教えても無視、
興味が無い事には簡略言葉で済ますので拘るライアン達は不機嫌となる。
だが・・
自分の興味があること・・例えばケーキ等に関しては細かく記憶する、
あのケーキにはこのバニラエッセンスが至高の味とか・・結構うるさい、
それと漫画などで気になる知識を得ると・・すぐ実行しないと落ち着かない。
以前タケシが「忍」の知識を得たら・・すぐ同志を募り組織化していた、
サユミも後日「くの一」を覚えると似たような組織を立ち上げている、
とにかく興味を持ったら深夜でも尋ねてくるので落ち着かない事が多い。
厄介なのは・・
例えば俺が用意したピコピコハンマーは各種族の幹部がお仕置きで使っている、
それを自分達が考えたとばかり鼻高々に自慢するので腹が立つことも多い、
各種族もわかっていてのおふざけ行動が多いので俺は時々石を投げたくなる。
豆知識はここまで!
ソネットが俺の代わりに代表ゴブリンと会話、しばらくしたらお互い笑う、
そして俺に報告、今回はブラック達から野菜を貰いそのお礼として家を貸した、
ただ悪い奴らが来ると言われたので・・ゴブリン達は警戒していたそうだ。
なるほど。
ソネットが俺達の事を話したら・・納得したようで笑って謝ってくれた、
誤解が解けたので・・俺はお騒がせ料としてヘリで運ばせたスイカを寄贈、
最初は驚いていたが・・食べると甘いことを知り無我夢中で食べていた。
もっとほしいと言われたが・・
スイカはもう無いので代わりに梨やミカンなど甘い果物を寄贈した、
お供のライアンが許可を貰いそれらの種を植えて一気に成長させたが・・
ちと養分不足らしく成熟するのに3日程度かかると説明していた。
ゴブリン達は・・目をまん丸くして驚いていた!
そして・・
俺達と取引すると美味しい物が手に入ると本能が感じたらしい。
俺達が帰ろうとした時・・
俺達と取引がしたいと代表ゴブリンが言い出したので・・
この地から一番近いストロベリーステーションを紹介した、
あの辺は時々漁で行くそうで早速取引に行くと意気込んでいた、
だがお金はないそうなので・・物々交換でも応じると伝えておいた。
俺達はゴブリン達と別れ・・ヘリに乗り戦艦伊勢の甲板まで戻った。
捕虜としたブラック達と事務員は全員目を覚ましていて黙り込んでいる、
俺は・・天使族達がブラック達に亀甲縛りをしてないのが驚いた。
「さすがに今は・・彼女達にあれは出来ません」
相当いじめていたようで・・申し訳無さそうな顔をしていた。
ブラック達は・・
これから・・どうなるんだろうと・・
顔には出さないが・・
心の底で震えていた。