誘拐犯の意味深な行動と北東の海に向かう伊勢と日向
戦艦モンタナの艦長室でティータイムの俺とデーヴィドとその妻達、
俺達は気になる・・ブラックエンジェル達との交渉を模索していた、
ブラック達の経緯を考えれば・・武力での対立は避けたいからだ。
クリスティーナやジセル、ルミナ達が語る!
「出来れば・・ブラックエンジェル達とは戦いたくないですね」
「でも・・このまま放置も問題よ、突然攻めてくるかもしれないし」
「彼女達かなり好戦的らしいからね、エニウェアとも戦うぐらいだもの」
「ああそうだな、あの結界はブラック達が展開してるんだろう?」
「アリエノールさんからそう聞いています」
「となると・・俺達は通れないがあちらは往来自由ということか・・」
「それだとまずいわね、奇襲かけられて結界に逃げられたら・・」
「ああ俺達には打つ手が無いな、あの結界は相当厄介だ」
「なら狙撃手を結界付近に隠して待機させるか?」
「無理だろう、あれだけの広大な結界だと対応するにも限界がある」
その時アズミから緊急連絡が入る、俺はスピーカーモードに切り替えた、
隣にいるデーヴィド達にも会話を聞かせるためだ、すると・・
「コウ大変よ!私の部下の事務員が攫われたのよ!」
「なんだと?君は無事なのか?」
「私は大丈夫だけど・・だけど・・」
取り乱すアズミを宥める俺、何とか会話が出来る位まで落ち着かせる、
事務員が攫われるまでの経緯をゆっくり尋ねた、すると・・
まず直属の事務員3人が出店で集まっていたのを偶然アズミが発見、
彼女達は用事があるからとアズミから離れようとしたがアズミは・・
休日一人で暇だったから一緒に行こうとしていた。
すると・・
10人位の黒ずくめの男?達に囲まれ事務員3人は銃を出す・・
撃つ前にすぐに束縛された、アズミも銃を出そうとしたが・・
黒ずくめの男?達は事務員の銃を奪いアズミに銃口を向けた。
すると・・・
「こいつらは預かる、返してほしかったらありったけの金を用意しろ」
とアズミを脅し・・そのまま去って行った。
アズミは・・・
恐怖でその場に崩れ・・泣きながら俺に電話をしてきたと・・
・・・
クリスティーナが急ぎシェーヴル達に連絡、アズミを保護させた、
アズミにケガは無いが部下が目の前で攫われたのでショックを隠せない、
ラムがアズミに催眠魔法をかけ強制的に眠らせ落ち着かせた。
ここでデーヴィドが首をかしげる。
「なんかおかしいな・・」
「どうしたんだ?」
「金目当てなら・・なんでアズミを攫わないんだ?、おかしいだろ?
彼女はギルドの最高幹部だぞ?誘拐するならアズミの方が身代金取れる」
「それは・・確かにおかしいな」
「それと・・もう一つおかしなことがあるわね」
ルミナが意味深な想定を語り出した。
「北東の大陸では・・銃はまだアズミさん達しか持っていないわ、
なのにどうして誘拐犯は銃の使い方を知ってるのよ?おかしくない?」
「確かに・・だとしたら自作自演の可能性もあるな」
「事務員が絡んでいるのかしら?」
「可能性は高いな、事務員も誘拐犯の仲間かもしれない、たぶん・・
アズミが偶然来たことで予定を変えわざと攫われた・・とも見える」
「ということは・・」
「ああ・・ブラックエンジェルに銃が渡った可能性が高そうだ」
「ならベアトリスさん達に伝える必要があるわね」
「ああ急いで連絡しよう」
ジセルがベアトリス達に緊急連絡、彼女達は首都で新店舗を見学中、
知らせを聞き急ぎ高速列車に乗りコスモスステーションへ移動した、
そこから翼を広げ6人は沖合いにいた戦艦モンタナまで飛んできた。
・・・
どうして転移魔法を使わないんだろう?
「配下達に私達の魔法を察知させないように配慮したからよ!」
俺の疑問にツッコミを入れるサマンヌ達だったが・・
・・・
彼女達の・・
その口にはしっかりと・・
高速列車限定販売のミルフィーユケーキのクリームがついていた。
・・・
見なかったことにしよう。
「なにがあったの?詳しく教えて」
クリスティーナが今までの経緯を6天王達に話した、すると・・
「そう・・その話が本当なら・・ヤバいわね」
「ああ・・おそらく拳銃はブラック達に渡ったと見ていいだろう」
「そうなると厄介ね、私達の結界も貫通されるかもしれないわ」
「どうする?」
「出来れば戦いたくないわ、何とか和解したいんだけど・・」
「じゃ連絡してみる?」
「はぁ?誰と?
「アズミさんなら何か知ってるかもしれないわ」
ルミナがアズミにスマホで連絡、アズミは目覚めていたが・・
「ウワァァァァァァァ~~~~ン!!!」
大号泣していた。
話にならないのでルミナは一旦電話を切った、その後デーヴィドが尋ねる。
「ルミナ説明しろ!どういうことだ?」
ルミナの考えは・・こうだった。
攫われた事務員たちは・・相当アズミを慕っていたのだと思われる、
そのため・・アズミに危険に晒したくないから距離を置こうとした、
だがついてきたので予定変更、わざと攫われて仲間たちと合流した。
おそらく事務員たちは・・
またアズミと一緒に働きたいはず、そのため正体を絶対隠そうとした、
それなら・・アズミが身代金を用意できたと誘拐犯に連絡すれば・・
囚われたフリのまま身代金と引き換えに解放され再び戻る・・と。
「そんなこと・・あり得るの?」
「そうでないと・・アズミさんを真っ先に攫うはずよ!」
「なるほど・・普通は幹部を置いて事務員を攫うことはしない」
「そういうこと!」
ルミナはアズミと会話、身代金・・に加え大きめの金庫を用意させた、
その中にある程度のお金と発信機を入れて準備完了、事務員に電話した、
事務員は電話に出て・・・
「助けてアズミさん・・私達身代金が無いと殺されるの・・」
と涙ながらに訴える、すると誘拐犯が電話に出てアズミを脅す。
「事務員を返してほしくは・・この場所まで金を持ってこい!」
そこはレティシアの領土の端、ブラックエンジェル達の結界がある所だ、
ここは以前手付かずの自然地帯の為高速列車の線路を断念した一帯だ、
さすがに距離があるので2日後に持ってこいと言われたらしい。
これを聞いた俺は・・
シルヴィとソフィアに緊急連絡、戦艦伊勢と日向を北東方面に向かわせた、
この2隻は人工衛星運搬の護衛としてモンタナと共に白の大陸に来ていた、
モンタナやアリゾナ等は空母の護衛の為動かせない、だがこの2隻は・・
垂直戦闘機を複数搭載して・・
なおかつ強力な主砲を持つ「航空戦艦」だ!
俺は念の為この2隻を北東の海に緊急派遣した。
この2隻なら大概の戦局に対応できる、そのため北東の海に向かわせた、
首都から北東の海までの川を渡らせブラック達の奇襲に備えさせた。
伊勢と日向は最大船速で北東の海に向かう、従来の駆逐艦以上の速さだ、
異世界での改造に加え特級ガルーダのシルヴィとソフィアの力も大きい、
彼女達の魔力も加わり伊勢と日向は猛スピードで巡航していた。
その中で・・
戦艦日向に乗っている一人のライアン・・元艦長がいた。
彼は戦争末期日向を指揮していたが、燃料不足の為日向は浮砲台となる、
その後滞在地の呉で波状攻撃を受け・・無念の死を遂げ日向も大破着水した、
呉は焼かれ多数の民が犠牲になったことが・・守れなかった事が悔しかった。
無念の中息絶えて・・気がついたらこの異世界に召喚されていた。
彼は・・
今度こそこの日向の力で・・
種族問わず民を守ると心に決め・・
その時に備え日向の手入れや雑用を黙々とこなしていた。
そんな彼を日向艦長のソフィアは高く評価していた。
そして・・
形式上は副艦長だが・・
ソフィアは彼を実質の艦長と認め艦の総指揮を任せていた。
先行する戦艦日向は伊勢と共に・・
彼の指揮の元・・
猛スピードで北東の海へと急いでいた。