結界を通る高架橋と天使族からの涙の請求書
ドラゴン達のわがままのおかげで各駅がバージョンアップしていた、
しかし・・なんのための高速列車なのか・・わからなくなってきた、
だが・・彼ら彼女達は・・肝心なことを忘れているぞ!
ふっふっふ・・
これを聞いたら・・さぞかし驚くだろう・・
ふっふっふ・・
この言葉を聞いて驚くがよい!
ふっふっふ・・
俺は・・ドラゴン達が集合している方向に向かって一言!
「みなさま~~~!!!」
「高速列車は有料なんですよ~~!」
俺の言葉を聞いた・・良い子の子供ドラゴン達が爽やかな返事!
「知ってるよ~~~~!」
あれ?
・・・
呆れ顔のシュメールが急いで俺の傍に来て説明する。
「コウ・・あなた何当たり前の事を言ってるの?、寝ぼけてるの?
通貨を流通させるための・・第一弾としての列車の有料化でしょ?
みんなベアトリスさんとギルドの紙幣と金銀銅・銭貨を持ってるのよ?」
えっ?
・・・
どういうこと?
「あなた言ってたじゃない!これからギルド達と貿易するんでしょ?
みんなそのために通貨の勉強をしていたのよ、準備は出来てるわ!」
・・・
俺はシュメールに引っ張られ各駅の高速列車の改札口に足を運んだ、
駅には既にきっぷ売り場や料金一覧表・時刻表や店まで用意してある、
ちなみに定期券や回数券・記念切符なども今後発売されるらしい。
各種族は早速駅のホームに集まり通貨を使ってきっぷを買っていた、
他にもお店でお土産や弁当、飲み物などを真剣な顔で買っている、
料金を払い・・お釣りの額が合ってるか細かく確認していた。
「どう?ちゃんとしてるでしょ!意気消沈するような言動は控えて!」
・・・
はい・・ごめんなさい・・
シュメールに怒られて意気消沈してる俺の元にソネットたちが来た。
「あら?コウさんどうして落ち込んでいるのですか?」
「ああ・・色々あってな・・」
「えっ?何ですか?教えて教えて!!」
俺はソネット達に今までの経緯を話した、すると・・
「アハハハハハハハハ・・それは当然ですよ~~」
「なに?どうしてだ?」
「コウさんの演説の後に・・各種族の方々が私達に連絡をしてきました、
通貨を導入するなら我らも使うから通貨を送ってほしいと言われました、
おかげで白の大陸の天使族は通貨を揃えるのに大忙しだったんです」
「えっ?そうなのか?」
「そうですよ~!みなさん自分達が通貨を使えないのは恥ずかしいと・・
これからは通貨が当たり前になるのなら・・早くしないと置いてかれる・・
そんな焦りでしょうか?特にルーム国から申し込みが殺到しました」
「なに?ルーム国が一番消極的だったはずだが・・」
「国王が一番焦ってましたよ?とにかく早く通貨を揃えてほしいと・・
一番先に電車導入してるのに通貨を使わないのは恥ずかしいそうです、
そのためか幹部の方々からも電話が殺到して寝る暇もありませんでした」
「ということは・・」
「そうです!すでに各地に通貨を送っています!」
「その対価はどうしたんだ?」
「一番近い東の大陸のドラゴンさん達から立て替えてもらっています、
具体的には野菜や果物、砂糖や塩などの調味料、それと洋服関連です、
これらは高値で取引されているので十分賄えます」
「それならいいんだが・・」
「何かご不安なことでもあるんですか?」
「いや・・武器の取引が無かったので安心したんだ」
「ご安心を、コウさん達の武器はギルドには流しません!」
「そうか・・それなら安心だ」
「私達天使族が独占しますから!!!」
・・・
別の意味で不安なんだが・・まあいいか。
「それでは・・失礼しますね!」
ソネットたちは俺と別れ・・じゃなく俺を一斉に抱きかかえた、
そのまま空を飛び・・アグニのフレイムドラゴン駅まで飛んできた、
ここから先に結界がある、すでに結界まで高架橋が開通していた。
ふと空を見ると・・
天使族と一緒にスカイドラゴンのアトラス、モカとココが飛んでいる、
そのまま結界に飛んでいき・・
「キラリ~~~ン!!!」
眩しく光が輝き・・
高架橋の先に結界のトンネルが出来ていた。
「ここからは・・わしらの出番だな」
いつの間にかいたヘイゾウお兄さまと大勢のライアンたち、
ヘイゾウお兄さまの合図と共にライアンたちが結界に走っていく、
そして土魔法、あっという間にトンネルを通る線路が出来上がった。
俺達は高速列車に乗り開通している線路のギリギリまで移動する、
その先には天使族の結界があるが・・
「ここからは私達の出番ね!」
いつの間にか俺の後ろにいる6天王達が気合いを入れる、
全員列車の外・・では無くなぜか食堂車に移動して椅子に座る、
そして・・何かを考えてるようで・・頭を抱えている。
どうしたんだろう?
俺は静観、ソネット達が何かワクワクした顔をしている、なんで?
すると・・6天王は立ち上がり円陣に並びお互いの手を掴む。
そして・・
「決まりね、これで行くわよ!」
「そうね、あれ意外には考えられないわ」
「そうと決まれば・・唱えるわよ!」
「ええ・・いつでもいいわ!」
「それじゃ行くわよ!」
「せ~~~~~の!」
ピッカーン~~~~~~~~~~~~~~~!
・・・
6天王の身体が眩しい位に光り輝いた!!!!!!
すると・・
高速列車に乗っていたメイドさんたちが次々と現れ・・
「お待たせいたしました!ご注文のプリンア・ラ・モードです」
6天王をはじめソネット達の席にもプリンアラモードを持ってきた。
「お待ちしてました~~!!!!!!!!!!!!!!!」
天使族達は至高の笑顔でプリンアラモードを食べている。
・・・
ピコ!
ピコ!
ピコ!
ピコ!
ピコ!
ピコ!
ついでにピコ~!
「まぎらわしいことをするな!!!!!!!!!」
俺は怒りながら6天王、ついでにソネットもピコピコハンマーで叩く!
「痛いわね!何するのよ!」
「ややこしいんだよ!さっさと結界のトンネルを造らんかい!」
「よく見なさいよ!もう造ってるわよ!」
「なんだと?」
前方を映すモニターを見ると・・確かに結界にトンネルが出来ていた、
既にヘイゾウお兄さまたちが線路を造り結界の外の高架橋を造ってる、
しばらくしたら列車が動きだし・・天使族の結界トンネルの出口が見えた。
そして・・
「白の大陸に上陸しました!」
メイドさんのアナウンスが流れ列車の窓から白の大陸の風景が見える、
しばらくしたら列車は停車、続きの高架橋が出来るまで待機するそうだ。
先では物凄い勢いで高架橋か建設されている、確かにこの勢いなら・・
一か月もすれば白の大陸を環状出来るだろう、新たな駅も複数建設される、
今後はギルドいる北東の大陸にも荷物が横断するだろう、とても楽しみだ。
俺がモニターを見つめていたら・・・
「うぅぅ・・コウさんひどいです・・」
大粒の涙を流すソネットがいた。
「私が何したんですか?なぜ私が叩かれないといけないのですか?
やっぱり・・私の身体だけが目当てだったんですね・・」
ピコピコハンマーで・・おふざけで叩いただけなんだが・・
「うぅぅ・・ひどいです~~!」
泣き止まないソネットに・・なんか企みを感じた俺だった、
だが関係のない彼女を叩いたのは事実だから・・
・・・
俺は小芝居をして乗り切ろうと考えた、そして・・
泣いているソネット優しく抱きしめる。
「すまなかった、君が6天王と同じ位身近に感じたから・・つい・・
おふざけをしてしまったんだ・・許してほしい」
それを聞いたソネットは・・
「そ・・それは本当なんですか?」
「ああ本当だ・・」
「そうすると・・私も6天王様と同格に扱ってくれるのですか?」
「ああもちろん・・」
俺はここで・・
「な~んちゃって!」
と笑い逃げようと考えてた、だがソネットが俺を強烈に抱きしめる。
「コウさん・・私嬉しいです・・」
どうやら機嫌は直ったようだ。
「それじゃ!これお願いしますね!」
ソネットは俺にある紙を渡して・・一目散に去って行った!
・・・
あれ?
俺が去るはずだったのに・・
紙を見ると・・
突然メイドさんたちが現れ・・俺を囲む。
「コウ様、それではお支払いをお願いします!」
・・・
ソネットから受け取った紙は・・プリンアラモードの請求書だった。
ふと周りを見ると・・
いつの間にか天使族全員が食堂から消えていた。
そして・・
「ご利用ありがとうございました!」
プリンアラモードの代金は・・
後日俺への支給額からしっかり天引きされていた。