同級生との再会と予期せぬベアトリスからの返事
ギルドの代表は6人いる、その中の一人は今回欠席している、
その一人はベアトリスの担当の為こちらには来れないそうだ、
残りの5人・・いや4人が話し合いの前にそのことを詫びていた。
俺達はそれを了承、ギルド側はほっとした顔で自己紹介を始める、
ただ・・一人だけは俺とデーヴィドを見てニヤニヤしていた。
欠席の一人を含むギルド代表は皆異なる世界から召喚されたそうだ、
共通してるのは6人とも人型で全員身長2m未満で言語が喋れること、
男性が3人で女性が3人、今回欠席したのは男性だそうだ。
まずアリエノールの担当は男性で格闘家のようなたくましい体格、
見た目は俺達と同じだが掌と足にひれがあり泳ぎが専門のようだ、
彼の故郷は水の星らしく主に水中で生活していたらしい。
彼の名前は「リオ」、同胞も何人か召喚されたらしい。
次にサマンヌの担当は女性で見た感じフランス人の学生のようだ、
ただ頭に細めの羊のような角があり独特の雰囲気を漂わせる・・
彼女の故郷は牧草地らしく多種多様な動物がいたそうだ。
彼女の名前は「ラム」、彼女の仲間も複数召喚されたらしい。
続いてアリーゼの担当も女性で見た感じ・・なんかヤンキーっぽい、
なんか暴走族にいそうな風貌だが意外と大人しくおしとやからしい、
彼女の故郷は山脈地帯、よく見ると頭に小さなヤギのような角がある。
彼女の名前は「シェーヴル」なんでも同年代がまとめて召喚されたそうだ。
さらにアヤカの担当は男性で見た感じ細身のサッカー選手のような感じ、
ただ足は遅くどちらかといえば研究熱心のインテリで籠るのが好きらしい、
彼の故郷は・・俺達の世界で例えると中世ヨーロッパの感じらしい。
彼の名前は「ケイジ」、村にいた仲間丸ごと召喚されたそうだ。
今回欠席したベアトリス担当の男性は見た目人間だが耳が虎らしい、
召喚されたギルドのメンバーの中では一番戦闘力が高いそうだ、
彼の故郷はジャングルのような熱帯地帯で木の上で生活している。
彼の名前は「ティーグル」、一族ごと召喚されたようだ。
そしてレティシアとショウコの担当は・・・
・・・
「お久しぶりね、まさかこの異世界で会えるなんて・・」
・・・
俺とデーヴィドは・・思いっきり嫌な顔をしていた、
それを見ていたギルドの女性が自己紹介をはじめる。
「はじめまして!私の名前は「アズミ」です!
知ってるよ!!
彼女の本名は「桜井梓美」俺達の高校時代のクラスメイトだ、
可愛くて生真面目で優秀だが・・なんか人を小馬鹿にする癖がある、
例えば校則で「男性は黒髪を原則とする」とあったんだが・・
・・・
俺は日本とアメリカ人のハーフ、デーヴィドは思いっきりアメリカ人、
俺達の地毛は黒ではないので特例で認められていたが彼女は皮肉ばかり、
挙句の果ては「もう丸坊主にしたら?」と冷めた目で馬鹿にしていた。
こういう性格なので俺達は無視していたが彼女はなぜか頻繁に絡んできた、
その後3人とも複数の大学を受験したが彼女だけが有名大学に合格した、
俺達はしばらく浪人だったが親の勧めでアメリカ軍に入隊、日本を出た。
それ以降音沙汰が無かったので忘れていたが・・
・・・
まさかこの異世界で再会するとは・・夢にも思わなかった。
「アハハハハハハハハハハハ!!」
アズミは高笑いして俺達を見る、そして一言。
「まさかこの異世界で浪人のあなた達に会えるなんて笑えるわ、
まあしっかり私に奉仕してね、顔なじみだし悪いようにはしないわ、
これからは優秀な私が世話してあげるから感謝しなさい!」
俺とデーヴィドは・・
・・・
ブチ!
「この交渉は決裂だな!」
「ああ、この話は無かったことにしてもらおう! 」
俺とデーヴィドが怒りながら席を立ち城の外に出ようと・・
「この馬鹿たれ!!!!」
・・・
ギルドの他の4人の代表がアズミをボコボコにして縄で縛った!
さらに口にさるぐつわ、アズミは芋虫のように床に転がっている。
「ウ~・・ウゥ~~!」
「申し訳ありません、こいつは優秀なんですが口が悪いだけなんです、
御不愉快を与えたことは深くお詫びします、何卒ご容赦ください・・」
・・・
他の4人が深々と頭を下げる・・さすがにそれを無視は出来ない、
俺とデーヴィドは仕方なく席に戻る、ただアズミはそのままだ。
まずリオが話し出す、俺達はそれを静かに聞いていた。
「アリエノール様から貴方達が栽培している食料の見本を頂きました、
その味がとても素晴らしく・・我らが求めていた甘味までありました、
ぜひとも我らギルドとの貿易をお願いしたいのです」
続いてラムが話し出す。
「サマンヌ様から頂いた見本の中に・・桃という果実がありました、
私の故郷では似たような果実がありましたが・・味は遙かに勝ります、
是非とも私達との交流をお願いします・・もっと食べたいんです!」
続いてシェーヴルが話し出す。
「アリーゼ様からワインという飲み物を飲ませて頂きました!!
とても美味しくてすぐ空になりました、ぜひとも売ってください、
あとキャンディですか?あれもぜひお願いします」
そしてケイジが話し出す。
「僕たちの世界には甘味はありましたが・・ここでは見当りません、
すっと探してたんですが・・やっと巡り会えました!感激です!
ぜひ取引を・・出来る限りの対価はご用意いたします」
モゴモゴモゴ・・
芋虫のように縛られてるアズミが何かを言いたそうだ・・
・・・
何が言いたいんだろう?
俺が縄をほどこうと・・その前にレティシアとショウコが遮る。
「ちょっとアズミさんと話があるので・・オホホホホ・・」
アズミは縛られたまま城の別室に連れて行かれた、なぜか・・
アリエノール達も続き・・悲鳴が聞こえたが聞こえないふりをした、
さらにうめき声・・俺達は・・何も聞いていないし見ていない。
20分後アズミが別室から出てきた・・
・・・
「先ほどは・・大変失礼いたし・・ました・・アズミです・・」
・・・
彼女の顔から出るものは全部出ていて体は汗だくで下半身は濡れている、
俺はレティシア達を見たが・・彼女達は笑いながら誤魔化していた。
おそらくアズミはレティシア達から亀甲縛りの罰を受けたのだろう・・
まあ当然だろう、ある意味俺は天使族の夫みたいな扱いを受けてるからな、
天使族にしてみたら夫を馬鹿にされた訳だからお仕置きも当然だ。
アズミは力を振り絞り交渉話を始めたが・・
「お・・お願いし・・ま・・す・・私達・・と貿易・・を・・」
・・・
アズミは「超」亀甲縛りの罰を受けたらしく目はうつろで身体が震えてる、
気の毒になったので俺はシェーヴル達に頼みアズミを別室で休ませる、
とりあえずアズミは無視して俺達は貿易のことで話し合った。
「あなた達の熱意はわかりました、ただ我らは交戦直前の状態です、
配下を苦しめた首都に隠れている天使族を捕まえるまで貿易は不可です、
それにあなた達に飛び火したら申し訳ないので・・」
「その天使族とは・・ティーグルが担当している天使族ですね」
「そうです、彼女を捕らえないと今後災いが振りかかるかもしれません、
それに苦しめられた配下達が捕獲を望んでいます、お・・我々としては・・
同盟関係にある配下達の希望ですから無視は出来ません!」
「それはわかります、・・ではこうはどうでしょう?一例として・・
私達ギルドが仲介役としてお互いの意見を交換し合うのです、もしも・・
争いではなく対話で解決出来ればお互い傷つかずに済みます」
「それは助かります、すぐに実行できますか?」
「ティーグルは今首都にいるはずです、もうじき帰ってくるでしょう、
戻ったらすぐに伝えますのでしばらくお時間頂けますか?」
「ええ構いません、ぜひとも宜しくお願いします」
俺達はギルドの代表達に複数の手土産を渡し急いで各艦に戻った、
その際にベアドリスにも手紙入りの手土産を渡すよう頼んでおいた、
艦に戻り各種族に経緯を説明、4隻は首都から10km程離れた。
エリーナ達は相変わらず俺達との面会を拒否、全員大和に移動している、
俺を始め男性陣と天使族とその配下は紀伊の会議室で話し合い。
「ねえ・・ベアトリス動くと思う?」
「可能性はあると思うわ、だけど無茶な要求が来るかもね」
「ああ~~それはあり得るかも、自分を党首にしろとか・・」
「まあそれはないでしょう・・そのために手紙を書いたから」
「そうね、無理難題言うと他の6天王が全員敵になるよ!ってね」
「そうなると・・今までのようにこちらの声を無視して隠れるとか・・
もしくは首都から逃げるかもしれないわね、配下達が怒ってるから」
「ねえコウさん、もしベアトリスが宣戦布告したら・・戦うの?」
「そうだな、その時はしょうがない、だが首都で戦うのは危険だ、
例えばベアトリスが魔法を乱射して俺達の攻撃だと市民に叫ぶと面倒だ、
市民の怒りは俺達に向けられる、それも想定に入れないとな」
「じゃあどうするの?」
「現時点はタケシ達忍びに探させて拠点を攻撃するのが無難かな?
その時は拠点以外を結界で覆いイージスミサイルを撃ち込む、
そうすればベアトリスは出てくるだろう、そこを全員で叩く!」
「大胆な作戦ね」
「まあ実現することはないだろう、ベアトリスも戦いは避けるはずだ、
おそらく何らかのゲームか自分の部下を代表者として戦わせるか・・」
「代理戦争を仕掛けてくると?」
「ああそう思う、俺がベアトリスならこの手を取る、なぜなら・・
用心深い彼女が直接・・未知の俺達と戦う危険は絶対避けるだろう、
仮に負けても自分は無事だからな、最悪転移魔法で逃げる事も出来る」
「それはあり得るわね、わかったわ!その備えもしておくわね」
「ああ頼む!」
2日後・・
ギルドから連絡があり・・
なんと!
ベアトリスが・・
「あなたたちに会いたいと言っています」
との返事!
・・・
「何か条件があるのか?」
「特にはありません、明日の昼ギルドの事務所でと言っています」
・・・
予想外の返事に驚く俺達だった。