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巧妙なベアトリスと天然石を使った囮作戦





白の大陸の首都を調べに侵入したタケシ達が全員帰ってきた、

特に戦闘の準備はしていないようで民は普段の生活を送っている、

今迄の都市とは比較にならない位落ち着いた雰囲気だそうだ。



・・・



ある意味一番攻めにくい状況かもしれない・・



これだと俺達が都市を攻めたら・・思いっきり悪人扱いとなる、

だがおかしい、ベアトリスはどうやって民の財を横取りしているんだ?

今迄に聞いた話だと・・相当のわがままで子供にも容赦ないのだろう?



暴力で支配していたのではなかったのか?



・・・



俺の疑問に答えてくれたのはアリエノールだった。



「ベアトリスは今は表には出ていません、すでに追放された天使族、

そのため税金の徴収員に紛れ税を横流しして自分の懐に入れてます、

首都民はそれを知りませんので騒ぎにはなっていません」



なるほどな・・



「元々我侭わがままな性格ではありますが追放されて用心深くなってます、

6天王が集まる時も自身で周辺調査するなど他人を信じません、

ただ各部の要人たちにはその正体を明かし陰で操っています」



掴み処が難しい相手だな・・



「それで?君達はどうやってベアトリスと会っているんだ?」



「我々からの要請は無視です、あちらかの要望の時だけ集まります」



「君達はなぜそんな一方通行の要請に応じるんだ?」



「共通の敵の話だと集まらざるを得ません」



まあ・・確かにそうだが・・



「ベアトリスがどこにいるのかはわかるのか?」



「いいえ、その都度住処を変えてます、なので私達も知りません、

集まる時はベアトリス指定の酒場の奥とか食事処など様々です」



「君達はベアトリスを捕獲しようとは思わなかったのか?

首都が魅力なら・・力ずくでも獲ろうとは思わなかったのか?」



「ベアトリスは私達を集める時手土産を山ほど用意しますので・・

それに目がくらんだ私達は彼女を見て見ぬふりをしていました、

ただレティシアには一切連絡せず手土産もありませんでしたが・・」



「なるほどな、君達にとっても美味しい存在だったのか・・」



「今思うと・・恥ずかしい限りです!」



「まあそれはしょうがない、未来を変えればいいことだ!」



この言葉を聞いたアリエノール達は罪悪感が消えた気がした、

そして今後は皆が笑えるよう努力すると心に誓っていた。



さて・・どうするか・・



民衆たちは騙されてはいるが・・生活に支障が出てはいない、

おそらく税は以前の扱いに比べたら大した額ではないのだろう、

余裕はないが反乱を起こすほど生活は行き詰ってはいない。



ベアトリスはその辺も考えて額を調整しているようだ。



しかしこのまま放置しておくと・・どこかで本性を現すだろう、

その時は既に首都を制圧して民衆の財産を根こそぎ奪うはずだ、

そうなると止めようがない、以前よりひどくなるだろう。



・・・



悩んでいる俺に・・



ソネットがある提案をしてきた。



「ベアトリス様をおびき出すのはどうでしょう?」



「それが一番いいんだが・・当てはあるのか?」



「そうですね、一案としては漁船などに財宝を捕獲させます、

漁をしそうな海底にあらかじめ仕掛けておき網にかけるのです、

それを見た漁民は喜んで港に持ち帰るでしょう」



「なるほどな・・そういうことか・・」



「はい、ベアトリス様はその知らせを聞いたら必ず動きます、

財宝を確認するため要人の誰かと必ず接触するはずです、

そのためにタケシさん達には各要人を監視してもらうのです」



「わかった、それで・・財宝はなにが一番効果があるんだ?」



「一番効果があるのが天然石です、白の大陸ではほとんど取れません、

特に攻撃魔法が得意なベアトリス様は喉から手が出るほど欲しいはず、

ある程度の量があれば間違いなく出てきます・・が・・」



「どうした?」



「その天然石があればいいのですが・・」



俺は武蔵の魔法増幅装置の横にある大量の天然石を見せた。



「これでは足りないか?」



アンパン口開けて驚くソネットが・・なんか可愛いかった。


 

「えっ・・ええ・・十分すぎます!」



「よかった、では早速皆を集めて作戦会議といこうか!」



「はい!」



俺は信濃の会議室に皆を集めて作戦会議を開いた、ただ・・

なぜかエリーナが来ていない、なんでも気分が悪いそうだ、

俺は心配して行こうと・・エマとソニアから遠慮しろと言われた。



・・・



俺には作戦会議がんばってね!と・・励ましの言葉だけ、

なんかエマとソニアの眼つきが怖いので任せることにした。



その後エマとソニアも欠席した中での会議が始まった。



まずベアトリスを誘き出す財宝として天然石100kg程用意、

これを漁が盛んな海底に沈めて地引網などで引き上げてもらう、

これだけの天然石の塊が見つかれば大騒ぎ間違いないそうだ。



次に他の6天王が知っている首都の要人たちの監視にタケシ達、

なぜかサユミとレイミ、ショウも希望したので監視は任せた、

ベアトリスを見かけたら各艦に報告、可能なら捕獲するそうだ。



ここで・・なぜかクリスティーナ達まで席を外す、サユミ達もだ、

女性陣は天使族とその配下以外皆席を外し一気に静かになった。



・・・



一体どうしたんだろう?



天使族とその配下達はエリーナ達の異変の原因を察していた、

だが今は首都に潜んでいるベアトリスを探し出すのが最優先、

俺達男性陣には落ち着いた頃説明するつもりらしい。



翌日・・



忍びの部隊が天然石を海底に沈めて漁船の地引網を待つ、

数時間後天然石は大きめの漁船が引き上げ港に運んで行った、

漁船もそうだが・・港では予期せぬ宝の発見に大騒ぎとなった。



港を含む各地の状況はタケシ達が身に着けている小型カメラで撮影、

タケシ達は透明や擬態等の魔法を使いまくり各地を偵察していた、

さらに都市の街灯等にカメラを設置、各艦のモニターで確認していた。



天然石はその後漁師から買い取ったギルドらしき組織が手に入れる、

今迄こういう異世界にありがちな組織を見たのは・・初めてだ、

俺も驚いたが・・それより驚いていたのがアリエノール達だった。



「驚きました、彼らは北東の洞窟大陸にいるはずなんですが・・、

ここで活動してる姿は初めて見ます、ベアトリスが呼んだのかも・・」



「えっ?それはどういう所なんだ?」



アリエノールはソネットに指示、ソネットが地図を出してきた、

俺達がいる白の大陸の半分は結界がありそこは黒の天使たちの領域、

その結界から北東方向に大きな島・・いや大陸があった。



「この大陸にはその昔ドラゴンを始め様々な種族が住んでいました、

ここには巨大な洞窟が数多くあったのでそこを住処にしていたのです、

ですが大噴火が起こって各種族は急ぎその地から逃げました」



「その後はどうなったんだ?」



「久しく無人だったのですが100年程前から人間が集まりました、

大陸が冷めたのと逃げた種族が置いた様々な財宝を狙ったのです、

それが次々と発掘され人間達の一大都市と化しました」



「他の種族も集まったのか?」



「一部は集まりましたが・・ほとんどがまた去りましたね」



「それはどうしてだ?」



「まず大噴火の影響で洞窟が狭くなったのと食糧事情です、

人間サイズでやっと通れて食糧となる動植物も絶滅しました、

既に他の大陸に移住してるので無理して戻る必要がないのです」



「なぜ人間はそこに一大都市を築けたんだ?」



「まず天敵がいなくなったのが大きいですね、次に財宝です、

他の種族が置いていた財宝には強大な力を持つ物も数多くあります、

今はこれらを駆使して外敵を追い払っているのです」



「食料はどうしてるんだ?」



「洞窟を開拓して多種多様な栽培をしているようですね、

他にも海での漁や養殖などもしているようです、それと・・

各地からの貿易も盛んで様々な食糧が出入りしてるようです」



「君達はここを攻めようとは思わなかったのか?」



・・・



何故か2人とも俺から目を逸らす・・



「どうしたんだ?教えてくれ!」



・・・



何かあると思い・・俺はジェニー達にあるものを頼んだ!

それは数少ない苺とメロンとブドウのミックスキャンディ!

それを2人の目の前で食べようと・・2人は俺に詰め寄る!



そしてアリエノールが語る!



「コウさんズルいです!食べ物で釣ろうなんて最低です!」



続いてソネットが語る!



「コウさん私をあれだけ弄んでおいて・・まだ足りないのですか?

私の身体をあれだけ求めておいて・・ひどすぎます!」



・・・



どうやらソネットは漫画の内容を自分と照らし合わせているようだ、

そして俺が彼女を金で売春した男に見立てているらしい・・



・・・



腹が立ったので俺は急ぎキャンディを食べようと・・



「イャアアアアアアアアア!!」



「ダメェェェェェェェェ!!」



2人は俺に抱きつき・・キャンディを横取りして食べた!



・・・



幸せそうな2人に再質問、満足したのか2人とも笑顔で答えてくれた。



「実は・・あそこには私達が召喚した異世界の人間も数多くいます、

ただ子供など戦闘には不向きな人間で正直役立たずばかりでした、

それで・・目障りなのであの大陸のギルドに売り飛ばしたのです!」



「あちらでは人手がほしかったらしく喜んで買い取りました、

結構な額になったので調子に乗って召喚しては売り飛ばしました、

ある意味大事な取引先なので攻める必要は無かったのです・・」



・・・



俺は・・



しばらく言葉が出なかった・・



































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