アイオワ級の謎と白の大陸への再出発。
サマンヌとアリーゼは目が覚めた後部下と共に武蔵に来た、
食堂で待つ俺達の前に立つと・・すぐに膝をつき土下座、
だがレティシア達がすぐに起こし椅子に座らせる。
「心配しないで!あなたたちを無下にする気はないわ」
「そういうことだ、普通に接してくれればいい」
この言葉で安心したのかサマンヌ達は力を抜いて深呼吸、
襟を正し姿勢を整えて・・なぜか俺に懇願してきた。
「あの・・私達の顔もレティシア達のように美しく・・」
・・・
そういえばレティシアやアヤカものっぺらぼうだったな・・
俺はジェニー達を呼び顔のコピーを頼んだが・・快諾してくれた、
サマンヌ達は沢山並ぶジェニー達を見て好みの組み合わせを決める、
そして・・のっぺらぼうだった顔が美しい顔に変貌していく。
新たな顔を鏡で見たサマンヌ達は・・・とても感激していた、
さらに新服を提供、食事も与え涙を流しながら喜んで食べていた、
食事の後に・・改めて向かい合い話し合いを始めた。
まずサマンヌが語る
「この度は寛大な処置を頂き大変うれしく思っています、
正直極刑を覚悟していましたが・・命を助けて頂き感謝します、
できれば私達もあなた達の配下、いえ奴隷で従属させてください」
この言葉を聞いた俺はすぐに一喝返答!
「それは断る!今後奴隷従属という言葉は口に出すな!」
「えっ?どうしてですか?」
「俺達は主従関係は求めない、公平で正当な共存を望んでいる、
当然君達にも同じように共存・同盟を求める、応じてくれるか?」
「そんな・・私達は・・」
予想外の展開に驚くサマンヌ達にレティシアとアヤカが説明する。
「私達も彼らと戦い敗れたのよ、でも彼らは私達を無下にはしない、
むしろ丁重に・・大切に接してくれてるわ、信じていいのよ」
ここで俺が彼女達の背中を押す!
「君達の今迄の行いは・・配下達を傷つけ今後も根深く残るだろう、
それを癒すのは大変だ、だが君達だけにその責を背負わせたくない、
俺達が望むのは・・皆が笑って日々を過ごすこと、当然君達ともだ」
そして・・
「今の君達なら今迄の行いを反省し俺達と共に共存できると思う、
そして各地の悲惨な状況を少しでも改善できるよう努力してほしい、
もちろん俺達も最善を尽くす、共に歩んでほしいと願う」
この言葉を聞いたサマンヌ達は・・号泣が止まらなかった。
「ありがとうございます。喜んで同盟に応じます」
俺達はサマンヌとアリーゼとその部下との同盟は・・
固い握手を交わし無事締結となった。
俺達は食堂の椅子に座り・・まずおやつを頂くことにした、
初めて食べるケーキの甘さにすっかり虜になったサマンヌ達、
すぐに食べ尽くし・・隣にいるレティシアからそっと横取り・・
・・・
醜い戦いが始まったので・・
俺が木人形コックにケーキの追加を指示、すると戦いが収まる、
何事もなかったかのようにレティシア達は笑顔で食べていた。
・・・
深く追求することはやめにした。
その後配下の魔物達も集め今後どうするかを話し合った、
まず子供がいる配下達は当面東の大陸での居住を希望した、
食事もそうだが学校で俺達の考えや技術を学びたいらしい。
一部の配下は俺達と共に行動を希望、各艦に振り分け働いてもらう、
天使族に関しては3班に分けレティシア達の部下の班を東の大陸、
一部をルーム国に派遣、残りは俺達と共に行動することとなった。
ちなみに仮の名前として使っていたサマンヌとアリーゼに経緯を説明、
2人ともこの名前が気に入ったらしくそのまま使う事となった
召喚士サマンヌが姉、具現士アリーゼが妹だそうだ。
ここで俺は具現士アリーゼに尋ねる。
「アリーゼ尋ねたいことがある、君の具現化能力に条件はあるのか?」
「はい、具現化に関してはまずな設計図等詳しい詳細が要ります、
あと現物を見て似た物を具現化出来ますが大きさに限度があります、
膨大な魔力を必要とするため日に1~2個しか具現化出来ません」
「魔力さえあれば戦艦でも具現化出来るのか?」
「それは無理です、私の能力では一度に1m程度の大きさが限度、
小さい物なら精密に具現化出来ますが一種類につき一個までです、
魔力があれば複数の種類を具現化出来ます」
「あの大量の帆船はどうやって具現化したんだ?」
「あれは一度の召喚でなぜか艦船と乗務員が固まって出てきました、
私はゾンビたちに不足部品を尋ねそれを与えたにすぎません」
「あのアイオワ級はどうやって具現化したんだ?」
「あれに関しても兵を召喚する際なぜか一緒に召喚された物です、
私は技術者たちの設計図を見て足りない部品を造ったにすぎません、
おそらく極秘に建造した艦が魂に絡まり召喚されたものかと・・」
そういえば・・
アイオワ級は2隻製造中止と聞いた、その2隻を隠して製造してたのか?
俺はアメリカ技術者木人形たちを呼びその経緯を尋ねた。
「太平洋戦争が始まる前まではアメリカも対艦巨砲主義が主流でした、
戦争が始まり戦闘機が優先されたことで戦艦は製造中止が相次ぎました、
アイオワ級より巨大な艦も全艦製造中止になったと聞いています」
「一部の技術者達は大和クラスに匹敵する超弩級戦艦を熱望してました、
噂だと製造中止の艦の残骸を集めて極秘に開発していたそうです、
あのアイオワ級を見ましたが・・計画よりも大きい仕様になってます」
「ということは・・あれはアイオワ級じゃない可能性もあるのか?」
「見た目はアイオワ級ですが・・全体はアイオワ級よりも大きいです、
他にも見たこともない仕様が各部にありました、おそらく・・
アイオワ級をベースにした超弩級戦艦を秘かに建造したのだと思います」
なるほどな・・
「我々としてはあのアイオワ級を設計図通りに完成させることを希望します、
戦力の増強にもなりますし・・それと・・」
「それと?」
「我々アメリカ木人形も大和のような象徴となる艦が欲しいのです!」
その気持ちはよくわかる。
サマンヌとアリーゼの許可を貰いアイオワ級はルーム島で改造する、
レイナ達がこのあとルーム島に帰るので牽引してくれるそうだ、
ただ気になるエニウェアたちが・・今のとこと音沙汰ないそうだ。
それについてはサマンヌが調べてたらしく状況を話してくれた。
「密偵を黒の大陸付近に放ち調べましたがこう着状態のようです、
エニウェアドアゴンもブラックエンジェルたちも静観の構えです、
おそらくどちらも私達とあなた達を警戒して動けないのかと・・」
「それは・・俺達がエニウェアの抑止力になっていると?」
「密偵の報告では・・そう解釈してもいいと思います」
そういうことか・・
その後も話は進み・・レティシアとアヤカの部下の一部はルーム国へ、
サマンヌとアリーゼの部下の大半は東の大陸で警護にあたる、
レティシア・アヤカ・サマンヌ・アリーゼ・ショウコ達は・・
「一緒に連れて行ってください!」
俺達との同行を希望したので一部の部下と配下と共に白の大陸に向かう、
向かうのは大和・武蔵・信濃・紀伊の4隻でそれぞれ氷の船を牽引させる、
氷の船は主に食糧の貯蔵庫と弾薬を積み一部は居住できるようにした。
万一に備え氷の船は単独でも動かせるようにスクリュー等動力源を備える、
それと白の大陸の結界内では人工衛星の電波が届かないので中継器を追加、
半径10km以内ならはぐれてもスマホなどの通信機を使えるようにした。
それと・・
天使族と配下にスマホや銃等を提供し訓練や講義などを受けてもらった、
具体的にはそれらの操作や各艦の武装、暗号や連携などを教え込んだ、
重要機密を惜しげもなく教えてもらい気合いが入る各種族だった。
一週間後・・
用意が整った俺達は・・
「全艦出撃!白の大陸に向かう!」
「了解!!!!!!」
大和型4隻は・・
再び白の大陸に向かって動き出した。