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異世界だろうとのんびりと  作者: ダルマ787
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー第三巻ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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第23話 影

第一回編集(2022/3/24)

誤字脱字の修正、文章の修正、文章の追加、ふりがなの追加、言い回しなど編集しました。

どこから聞こえて来る破壊音は聖騎士団国家(セントクロス)全域にまで響き渡っていた。


それを合図と捉えるかのように、イェールは学園長室で珍しい人物に視線を向ける。


「あなたが、質問だけの為にここへくるのは珍しいですね、ナナカミラさん」


ナナカミラは普段、イェールの依頼の時のみ姿を現し、余計なことへ口を出さない。

それを指摘しているのだろうが、その理由を知っているだろうと、ナナカミラは最初の質問以降再び口を閉ざしている。


二人しかいない空間に何度と静寂が過ぎる。


「やはり気になりますか?」


ナナカミラは頷くことすらしない。


「自称異世界人……、そして、レナンさんの推薦と……。ナカムラタダシが何者なのか。一応、私なりに気を使い、案内をあなたに頼んだのですけどね。それでもあなたの目からは何も得られなかった」


イェールは、それは私も同じですよ、と言いたげに微笑んで見せる。


確かに、イェール自身、タダシに関して何かを知っているとは到底言えない。

なぜなら、異世界人であるということも、情報としてもってきたのはナナカミラ自身だったからだ。

加えて、学園に到着してからも、タダシの行動や言動から情報という情報は何も聞いてすらいない。


ならばと、ナナカミラは二つ目の問いかけをする。


「イェール様からみて、ナカムラタダシはどう見えているのですか?」


端的な質問。


「そうですねぇー、」


小さなうなり声をあげ、難しい質問をされたかのように考えるイェール。


それを、見ながらナナカミラは、いくつかの疑問を持っていた。


意味を持たない入園試験。


確かに、不合格の結果を出した理由は正当なものだ。

しかし、それは推薦人がレナンでなければの話だ。

尚且つ、試験の内容自体は合格の判定には取るに足りていた。


それでも不合格にし、さらに新たな試験を与えている。


入れる気がない、入る気がない、という両者の思考からは、完全に的を外している。

にも拘わらず、再試験を行っているのには、他に理由がある。


それはきっと、ジャンオル・レナンが魅入られた理由を探ろうとしている。

そうすることで、ナカムラタダシが聖騎士団国家(セントクロス)に影響を与えると考えているからに違いない。


「そうね、聖騎士でも冒険者向けでもないかしらね。小心者のようでしたし、あの緊張ぶりは中々なかったものだったわ」


ナナカミラはまともな返答を期待していなかった。


タダシ以上にイェールという存在を理解できない。

その真意を知ることなど誰にもできるわけがない。


「お時間を取らせました」


気づいた時には掌で動かされている。


だとしたら、ナナカミラは自身で判断するしかないとその場を後にしようとした。


「わかっているとは思いますが、この件に関して生徒以外の関与は禁止していますよ」


ナナカミラは最後に深く頭を下げ、学園長室から姿を消した。


再び静かになった学園長室でイェールは、自身が与えた試験会場を遠く眺める。


「ごめんなさいね、レナンさん。要望に応えられなくて」


そう呟き、一人の少年はイェールの計画に落とされる。


ぎりぎり今年最後の更新になります。

相変わらず、詳しいことは活動報告に書いておきます。


今年一年お付き合いいただき本当にありがとうございました。


来年もまた引き続きお付き合いいただけると幸いです。


短くなりなりますが、それでは、よいお年を!

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