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異世界だろうとのんびりと  作者: ダルマ787
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー第三巻ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
70/243

第7話 後で後悔することってありません?

2021/8/13文章をたしました。

第一回編集(2022/3/23)

誤字脱字の修正、文章の修正、文章の追加、ふりがなの追加、言い回しなど編集しました。



次は誰が口火を切るのかとドキドキの心臓を密かに隠し、(けん)へと入る。

これは、完全なる防御策だ。

万が一俺が口火をきって、嫌な展開になっても人の所為にできない。

だから、臆病者の俺はただじっと待つのが正解なのである。これで俺は俺の心臓を守ってきた。


そして、こういう展開になればだいたいイケメンが空気を壊していくのである。


「おおっ、君がレナンさんに推薦された少年ですね!」


なぜか鼻息高く騎士姿の青年が目の前の少年を無視する形で、俺の方へとやってきた。

少年は少年で、ため息交じりで、どこか仕方ないかといった様子で静観に入る。


それに俺は困惑したじろいだ。


「おっと、名乗り遅れました。僕は、アバレン・アレクと申す者です」


にこやかに名乗り、少年にも名乗るように目配せで要求する。


少年もため息を吐かないまでも礼儀として、身体を向けて名乗り始めた。


「ハイ・アルフォナイン、それだけで十分だろ?」


少年の名乗りを十分に理解できない俺は、愛想笑いを一つ。


「は?」


その様子に思っていた反応ではなかったのだろう。


妙な気配が部屋に蔓延した。


「なぁ?」


「それはおごりだよ」


なにやら妙なやり取りをしている。


そう感じたのは、目の前のアレクという青年とアルフォナイン少年、その二人以外にも学園長らしき人の後ろにいる二人も不思議な反応していたからだ。


「常識はずれだとは聞いていましたが、これほどとは」


「演技と一言で片づけてしまうのは簡単ですが、あのレナンが推薦するほどです。まぁ、あの子の場合はどこか変わっていますし、妙な人材を送り込んでも不思議ではありませんが。それに彼女の方はアン・クラナディアの推薦ですし、なにか思うとこがあるのでしょう」


ますますわけのわからなくなり、アイミを横目で見る。

こういうとき本当に一人じゃなくてよかったと感じてしまう。


「もしかしてだけど――」


アイミは何か思い当たる節があるようで、それを口にしようとした。


それを、


「そうですね、少し急ぎ脚が過ぎたようです、お客様に先に名乗らせてしまいました」


そう老女が口にすると、はっとした表情を四名がする。


「これは、失礼しましたっ!」

「あー、すいません」

「私としたことが大変無礼なことを」

「一生の不覚です。大変申し訳ありません」


多種多様の謝罪がされるが、俺にはさっぱり理解できない。


これは誰に対しての謝罪なんだ?


「ふふ、ごめんなさいね」


そう俺とアイミに対して謝罪がされた。


どこかおいてけぼりの俺とアイミはポカンと互いの顔を見合わせ、はー、とだけ返す。


すると、


「では、改めまして、聖騎士団国家(セントクロス)最高責任者であり、学園長のクライブ・イェールです」


椅子に着座したままで挨拶がされた。

それを失礼だと思わないのは、立場が上であり、元の世界を考えても目上の人だからだろう。


と、ここで俺は不意に余計な事に気が付いてしまった。


「(俺が名乗るのはどのタイミングなんだ⁉)」


さっきの謝罪はどう考えても名乗るタイミングがあるから起きた事だ。だ

としたら、俺はこの世界の礼儀作法はもとより、もとの世界だって知らない。


(おもむろ)に助けを求めてカミラさんの方を見る。

だって、アイミも知らないだろう。

がちがちに硬直しているんだもの。


ってカミラさんはなんで目を瞑ってるの⁉ 

ねぇっ、どうしてっ⁉


そんな俺の心の悲鳴を無視するかのように話は展開していく。


「おほん、先ほどは失礼、私は副学園長のアスコル・フェノールと申します。源素の精錬などの教員も担当しております」


止めてくれっ、これ以上知らない単語を出すのは!


(わたくし)はクライブ・イェール学園長の秘書を務めさせていただいております、モデル・ミツナです。基本的に生徒の皆さんと関わる事はありませんが、お気軽に話しかけていただいて構いません」


そして、と続く、


「そうですね、この学園とは無関係とは言いませんが、お客様としていらしている、アバレン・アレクさんとハイ・アルフォナインさんです。現状、この学園の生徒といえ訪問は内々のものですので、ここだけの話に(とど)めてください」


イェール学園長は優雅に手のひらで促す。


「先ほどは失礼いたしました。改めまして、大帝国ネルギ=ヌートリション聖騎士が一人、アバレン・アレクと申します」


先ほどとは打って変わって物々しい出で立ちと、気品のある立ち振る舞いで青年は挨拶をした。


ただ、その大部分は俺の耳には入っていない。

それよりも重要なのは、俺がどのタイミングで名乗り出るかということだ!


まてよ、最初にイェール学園長が俺とアイミの名前を呼んでいたから、自己紹介してなくていいのか。

なんて思っていると、


「――士、ハイ・アルフォナイン、以後お見知りおきを」


少年の紹介が終わっていた。


心の中で、ごめん訊いてなかったと謝罪する。


と、小さな間が開いているのに俺はコンマの時間で気付く。


そう、俺が名乗るとすればこのタイミングで間違いない!


いざ、無難な自己紹介へ!


「お、――っ」


まて、早まるな! 

もう一人、現在の俺よりも年上で名乗っていない人物がいるじゃないか! 

なぜか目を瞑り一言も発していない人物。

実は内心でタイミングを謀っていたんだな! 

そうとわかれば、さぁ、名乗るがよい、カミラさんよ!


「……………………?」


「どうぞ」


そう言って、イェール学園長は、俺とアイミに向かって手を差し述べた。


「え、あ、はい。中村正です。よろしくお願いします」

「アイミケ・ゴースキーです」


とてもいたたまれない気持ちになりました。


とりあえずの、紹介が終わったところで、アルク青年から一歩後ろに下がり、距離を開ける。

特に考えがなかったわけでもないが、お客さんというポジションの相手がいるなら、一生徒よりも優先が高いだろう。


だから、自然と弁えたつもりだった。


ところが、アルク青年は不思議そうに首を傾げた。


それに同調するように、


「そうですね、こちらの意図とはしない状況ですが、せっかくですしご協力を願いましょうか」


イェール学園長は優しい微笑みを浮かべながら、提案を始める。


「我が校の入園テストとしてその実力を拝見させていただきましょう」


ん、テスト?


「おおっ、それはいい提案ですね! 協力を惜しみません!」


「勝手なことして、知らないぞオレは」


アレク青年の乗り気とは別に、アルフォ君は乗り気ではない様子だが、俺は尋ねる他ない。


「テストってなんでしょう?」


当然、その言葉は知っているし、お客さんである二人にそれを強いる事はないだろう。

加えて、協力を仰いでいるのはその二人に対してなわけで、そうなるとテストを受けるのは俺とアイミという流になる。


しかし、俺たちは推薦入園できるはずだったのではないだろうか。


そのつもりで尋ねた。


「まさか、何もなく推薦だけで我が校に入れるとでも?」


何かを察し、代弁するかのように秘書であるミツナさんがメガネを人差し指で持ち上げながら答える。


確かに元の世界でも最低限、面接やら小論文くらいは書く。

だが、この世界でそんなものがあるようには感じない。

そうなると、協力という部分が俺に嫌な予感を齎した(もたらした)


数か月前、アンさんが言っていた言葉、『聖騎士団国家はその名の通り、騎士を育てる機関。そうなると当然戦闘訓練が主になってくる』


「実力というのは……、戦闘……?」


俺の消え去りそうな声に誰も返事をしない。

さも当然だろうという表情をしたまま、小さく誰かが頷いた。


約一か月頑張りたいとは思います!

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