第6話 学園長室
第一回編集(2022/3/23)
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誰ともすれ違うこともなく聖騎士団国家の区画を超えていき、いよいよ俺たちが学の舎に入り込む。
絨毯が敷き詰められた廊下は裏道のような静寂さとは違い、厳かで、必要な会話以外を遮断する重々しさを醸し出していた。
すでに隠れて移動している様子はないことから、きっと、今歩いている廊下はまた学びの舎の中でも別の意味を持った場所へと続いているのだろう。
俺とアイミも道中の近況報告の交換を終え、黙って後をついていく。
そして、ついにその部屋の前へと辿り着くと、俺は唖然とした。
「いくらなんでも扉デカすぎだろ」
人の身長をはるかに超えた豪華絢爛な扉の前に、思わず俺は言わずにはいられなかった。
それに対し、カミラさんが質問に答えるように淡々と言う。
「禁の口令が付与された扉は世界でもそう多くない。形、大きさ共に選べるものではない」
「意味わからん」
そう零しアイミを見ると同様に分からないようだ。
カミラさんはそれをチラリと横目で見る。
「許可がない者はくぐれない扉だ」
感情もない説明が入り、カミラさんが扉の前に立つと重々しい扉が勝手に開き始めた。
それに驚きもしたが、俺の脳裏に一つの常識が入り込む。
「ノック文化ってあります?」
「あるよ」
アイミがすかさず解説し、その扉が開かれた。
扉が開かれると入室したと認識する間もなく吸い込まれるようにその部屋の中にいた。
想像とは違った立派な部屋だ。
いわいる学園長室というやつだろう。
部屋の中心にこれまた立派な机と椅子があり、そこに一人の女性の老人が着座している。
その後ろに厳格な出で立ちの男性と、メガネをしたスーツを着ている女性が立っている。
それに対面して、ザ・騎士といった甲冑鎧をまとった青年と、軽装ではあるが紋章のような飾りを肩に着けた同い年くらいの少年がいる。
何かを話していたようで、少年は青年に掴みかかるように体の方向を向けていたが、俺たちが来たことによって視線だけがこちらに向けられた。
これは入るタイミング間違えたんじゃないかと俺は思っていると、
「お待ちしていましたよ、ナカムラタダシさん、アイミケ・ゴースキーさん」
俺たちの登場によって静寂を迎えた中、聖騎士団国家で一番偉いであろう女性の老人が初対面にも関わらず俺たちの名前を口にした。
「どうも、こんにちは」
遅れてきた緊張で俺は震えた声で、挨拶を返すのが精一杯だった。
次回、更新に関して活動報告に書かせていただきました。




