第31話 見え行く先
時刻はすでに夜を迎え、外の喧噪も届かなくなっていた。
聖騎士団国家、学園長室。
クライブ・イェールはその座に座り、一つの影を迎え入れる。
「お疲れ様」
影は見てきた事実だけを述べる。
「あら。ふふ、面白い子達がくるのね」
イェールは椅子を回転させ、窓越しに見える学園を見渡す。
「あなたはどう思う?」
どこか楽しそうに質問してくるイェールに、影は感情を覗かせず淡々と答えた。
「ふふ、でもあの二人の推薦だもの。断れないわね。あなただってそうでしょ?」
明かりの届かない部屋の隅から影が姿を現した。
全身を黒い衣服で纏い、情報は何一つ得ることができない。
だが、
「元、戦場の戦姫部隊の隊員の一人としては?」
まるで影の感情をさらけ出させようとするかのように煽ってくる。
「もう違うので」
たった一言だけ述べると、
「ですが、興味がないといったら嘘になります」
思い通りの答えにイェールは微笑んだ。
「そうよねぇ」
信じるか信じないかは別の話。
現在もいるかいないかもまた別の話。
だが、それは間違いなく存在していた。
異世界人
遥か昔、この世界を救った勇者のおとぎ話。
窓越しに神々しく見える月はまんまると空高く存在していた。
ここまでお付き合いくださいありがとうございます。
そんなこんなで、二巻目が書き終わりました。
相変わらず、詳しくは活動報告の方に書かせていただくとして、興味のある方だけ覗いてみてください。
そんなわけで、まだ続く『異世界だろうとのんびりと』三巻目もお付き合いしていただけるとうれしい限りです。
ブックマーク登録されている方、評価してくださかった方、読んでくださっている方にはただただ感謝です!
それでは、梅雨にも負けずコロナにも負けず皆さんのご健康をお祈りしながら、〆させていただきます。
引き続き『異世界だろうとのんびりと』をよろしくお願いいたします!




