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異世界だろうとのんびりと  作者: ダルマ787
ーーーーーーーーーーーーーーーーー 第二巻 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
53/243

第21話 問題が起きないためにルールは存在している

「お前、何した?」


そうジオラルに詰め寄られる理由はただ一つだった。ひた隠しにしていた、対戦相手である二人の本気度。

俺が口を滑らした提案により、二人のやる気が格段に上がっていることに相違ない。


「い、色々ありまして」


そう言いながら誤魔化しきれない。


だって、現れた二人の様子が明らかに変わっていた。


アンは、その表情は変わらず妖艶な微笑みを浮かべてはいるが、明らかに隣に歩くレナに意識を向けている。


そして、そのレナは無表情でいることが多かった数日とは違って、喜々としてやる気が溢れ返っている。


そんな二人の共通点、まるでアイミが暴走した時のように、源素が跳ね上がって溢れ出ている。

違いがあるとすれば、邪悪さがないだけの純粋な二人の桁外れの力の源。


「終わったね」

「しーらない」


その力にカルバンと、テトラも気付いている。


俺は助けを求めるようにアイミを見れば、どこか緊張した様子で、俺の助けにも気が付いていない。


そんな無情な世界に、俺は天を仰いだのだった。


それはそれとして、まとめられたルール説明から鬼ごっこは始まる。


「じゃあ、まとまったルールの説明を私から説明させてもらうね」


本来であればカルバンの方が適任ではあるが、今回テトラは救護の役割しかなく、誰かが傷つかない限り役割がないため立候補の形で、その任に着いた。


「まず、初めに――」


各々がそのルールに耳を傾け、集中していく。


「ええと、すでにいるから分かっているとは思うけど、場所はこの辺一体」


その辺が適任者ではない所以。

だが、すでにそこにいる俺たちが理解できてはいる。

もう少し詳しく説明するならば、ここは【テイルト】に到着する前に冒険者ギルドで討伐依頼を完遂した山の一角にあった小さな草原地帯だ。


今更、来た道を戻るのは抵抗があったが、すでに数日停滞しているのも考えると大した問題ではなく。

鬼ごっこのフィールドとして、候補に挙がったのだ。


ただ、小さい山ではあるものの、範囲としてはもう少し狭くするため境界線代わりに丸太の杭を差しこんである。

そこを範囲としフィールドは円形の形になっている。


「制限時間はええと」

「三〇分」


そう俺が付け足したのは、この世界での時間の単位は実の所曖昧なのだ。

一分一秒の単位がなく、田舎では日の高さで感覚的に生活を送り、少し発展したところでは鐘がなる。


「この時計で長い針が半周した頃だよね」


俺がいた世界と同様一応存在していた。

ただ、元の世界のような精密な装置を作る技術がないようで、源素を使って動かしている持ち主依存型の超高級品の希少アイテム、価値としてはただのアクセサリーの一種らしい。

まぁ、時間は計れるから問題はない。


当然、俺とアイミは持っていないし、Bランクという高ランクの三人も持っていなかったが、それはアンが所持していたのをテトラに一時的に貸すことで解決した。


「じゃあ、次」


鬼側ルール。


ルールその一、ゲーム開始は六〇秒後。


秒針が一周だ。


ルールそのニ、鬼側は相手(・・)に怪我を負わせるような攻撃は禁止。


ただし、捕縛するような目に見えての怪我を負わない程度なら問題はないとする。


ルールその三、逃走者の捕獲はタッチではなく、完全なキャッチ。


そこは明確に捕まえたと認識する必要がある為だ。


「それで、逃げる側は――」


逃走側ルール。


ルールその一、ゲーム開始は鬼から視界からはずれ合図した六〇秒後。

このルールを足したのは俺の身体能力を直前まで隠すためでもあるが、単純に逃げた先をいきなり鬼に見られるのは面白くない。


ルールそのニ、範囲から出たら負け。

自己申告制になってしまうのが、難点だ。

だが、これは妨害者役にも厳しくジャッジするよう伝え、納得してもらった。


ルールその三、鬼側への攻撃は何でもアリ。

俺は逃げ専。


「加えて」


逃走者側特殊ルールその一、アイミが先に捕まった場合、妨害者側に参加可能。


ジオラルの提案で生まれたルールだったが、これが一番納得できなかった。

だが、鬼の二人が了承し、どのみち無駄になると思って俺も承認。

一応アイミが妨害に回った場合を考慮し、見分けを付ける為衣装チェンジで見た目を変える。


「最後」


妨害者&救護班ルール。


ルールその一、なんでもあり。


ルールそのニ、鬼側が怪我をした場合、回復に努める。

もちろん手抜き、遅延行為は禁止。

それは回復されれば分かるらしい。

そして、その行為が行われた時点で逃走者の負けが確定。


「そんなところかな。他に忘れたことがあったら今のうちに」


すると、すっとレナの手が上がり、俺にドキリと緊張が走る。


「報酬の話がまだ」

「報酬?」


聞かされていないとテトラが俺の方を見ると、それを知らなかったジオラルとカルバン、今まで大人しかったアイミまでもが俺の方を見た。


誤魔化しはここまでかと俺が観念するところを見て、アンが何かを察して妖艶な微笑みを浮かべていたのを俺は見逃さない。


「俺たち、いや俺か。俺を最初に捕まえた方の提案を受け入れる」


ため息交じりでそう答え、続きを伝える。


「アンさんの報酬は、俺とアイミの学園入園。レナさんの報酬は、俺と二人旅」


その瞬間、いままで大人しかったアイミがすごい形相で近寄り俺の肩を掴みかかってきた。


「どういうこと!」

「は、話の流れでっ」


だが、俺にも言い分はある。


「ちょっとまてっアイミ、揺さぶるな! だいたい仮に俺が捕まってもアイミが逃げ切れれば、問題ないわけでッ――そうだ、一応こっちのも報酬がある!」


そこまで言うと、見かねてかアンが嘲笑を浮かべながら代弁した。


「もし私たちが負けた場合、金輪際あなた達には関与しない」


「「「はぁああああああああああああああああああああああああああああっ!」」」


その途端、冒険者である三人から悲鳴にも似た呆れ声が発せられ、掴みかかってきた。


「何してんの! どうせなら、もっといい提案があったでしょ! 例えば、一緒のパーティーに入ってもらうとか」


いや、俺冒険者じゃないし!


「護衛に雇えば最強の盾を手に入れられたんだぞ!」


有名人いたら目立っちゃうし!


「負ける気かい?」


カルバン、お前のが一番きつい!


試合開始前にさんざん罵倒され、精神的ダメージを負わされた。


「もう疲れたんだが……」


すでに疲労は試合終了後のようだった。


書いてて思う5・7・5。


鬼ごっこ、いつになったら、始まるの?


字余りって言いたかった。


引き続き切にお付き合いお願いいたします!


2021 3/27 サブタイトルに話数追加しました。

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