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異世界だろうとのんびりと  作者: ダルマ787
ーーーーーーーーーーーーーーーーー 第二巻 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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第18話 燃え尽きた

結果呆れられる事態になったような気もするが、結局カルバンも別の提案が出せるわけでもなく、俺たちは二人がいる借家へと戻ってきた。


中には、ずっと動かないでいたのかレナが同じ席に座り、アンは少し離れた壁に背中を預けて考え事をしていた。


そして、そのタイミングでどこかから帰ってきたアイミ達三人も別に入り口から入ってくる。


「どっか行ってたのか?」

「え、あ、はい。ちょっと」


アイミはなんとなく言いたくなさそうに席に着き、それ以上は聞き返さなかった。

興味がなかったわけでもないが、それよりも思いついた提案を発表することに意識が傾いていた。


予想に反して、その様子にいち早く気付いたのはレナの方だった。


「何か思いついた?」


それに俺は純粋に驚き、この手のタイプは苦手だと思いつつも口に出したりはしない。


「まぁね」


そういうと、テトラあたりが食いつくと思ったが、これまた予想に反してそそくさと席に着く。

その様子に考え事かと、後ろに付いていたジオラルもまた同じ様子で席に着いた。


なんなんだ? とカルバンを見ると、首を傾げて分からないと様子には気づいていたようだが、俺の横を通り過ぎる際、


「たぶん、気にしなくて大丈夫だよ」


そう言い残し席に着いた。


カルバンがそう言うなら、俺が気にしてもしょうがないので同じように席に座る。


「…………」


思いもよらぬ沈黙に、なんだこれ? と俺は戸惑い始めた。


席には着いているが、誰も俺の話を聞く気持ちになっていない。

各々が考え事に(ふけ)り、進行役がいない事で、俺は切り出せない。


カルバンに助けを求めて視線を送るや、


「みんな気持ちを切り替えて」


カルバンの声に、


「あら、失礼」

「あ、お、おうっ」

「え、あ、ごめんごめん」

「え、ああ、ごめんなさい」


泣きそうなくらい俺の心が傷ついた。


「退場」


そして、そこにレナが冷たい口調で追い打ちをかけてくる。


「彼の話を聞く気がない人はいらない」


違った、どうやら俺を気遣ってくれたようだ。


「本当にごめんなさい、正式に謝罪します」


アンはレナの言葉にすかさず頭まで下げる。


「悪いっ、そんなつもりじゃなかったんだ。一から頼む」

まだ始まってすらいねぇよ。


「え、もう話したのっ、ごめん! ちゃんと聞く、うん、ごめんね!」

お前もか。


「――――――⁉」


言葉もなく一人青ざめる。


レナの一言に上の空だった者が一斉に焦りながら各々謝罪をしてくるが、やめてほしい。

それほど重要な話のつもりはない。

むしろ昔の遊びを思い出し、ちょっと本気の鬼ごっこがしてみたくなった程度の気持ちなんです。

それがどうしてこうもハードルが上がってしまったのだろうか。

まさか、それすらを見越してレナという美少女は、俺に精神的攻撃を仕掛けたというのか。


そう思いながらレナの方を見ると、むっふーとやってやったと言わんばかりの満足げな表情で俺を見つめてくる。


大ダメージだよ。


「くっ、ククク」


そして、カルバンは何かに気付いたように下を向いて震えながら笑ってやがった。


もうこうなればヤケだ。


俺は立ち上がって高らかに宣言する。


「俺は鬼ごっこを提案する!」


俺はやけくそになって、もうなれば誰が何と言おうが全力で遊びを提案してやった。


「「「「オニゴッコ?」」」」

「うん、そうしよう」


「(しまったっ!)」


一人知りもしないで了承したが、四人の反応に俺は、この世界には鬼ごっこが存在していなかった事を忘れていたを思い出した。

否定される事を想定していた身とすれば、これは恥ずかしい。


「ぶふっ」


カルバンが吹き出している理由を悟り、俺は顔面を真っ赤にさせ、体温を上昇させる。


「ぼ、僕が説明しようか?」


笑いを堪えて震える声でカルバンが助け船を出した時点で俺の心は、ぽっきりと折れていた。


「……お願いします」


静かに席に着き、燃え尽きた。



~第一巻~(第1部分~第32部分)、

2021/3/17、18 誤字脱字、ルビ振り追加、文章追加、台詞の言い回し変更など、編集しました。

詳しくは活動報告に記載。


~第二巻~に関しては、とりあえずまだ編集しません。


そんな感じですが、引き続きよろしくお願いいたします。

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