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異世界だろうとのんびりと  作者: ダルマ787
ーーーーーーーーーーーーーーーーー 第二巻 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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第13話 怒りが超進化して激怒へ

結論だけ言うと知らない単語だらけで説明の半分も理解できなかった。

悔しくもアイミの驚いた反応で俺よりはできているようだった。


そのまま話は終わったのだが、このままでは結局話に置いて行かれるような気がして、俺は理解できたことを整理しながら話し始める。


「つまり、その学園みたいな所のOBが、ってちが、ちがう、卒業生が君達でその、先輩にあたるえと、アンさんとレナさんが始末しに来たと」


冒険者である三人が頷く。


自分で言っておいてこの世界の物騒さを思い知る。

しかし、頷いたのは冒険者側だけだったのに気が付いた。


「?」


一応秘密裏に動いているわけだし、正しい反応なのかと思いもしたが、どこか違和感がある。


「貴族がほとんどの学園……、そのなかでカルバンが……、いや、話から冒険者になったのが理由……、んでそちらの二人は聖騎士を引退している……?」


だんだんと脳が追いついてこなくなってきた。


「じゃあ、二人は暗殺者になったってことでいいのか?」

「なんでだよ!」


すかさずジオラルにツッコまれるが、どこが間違っていたのかがわからない。


「そこの二人は世界でも英雄扱いされるほどの存在だ。確かに、すでに引退しているとはいえ、なんでよりによって暗殺者になるんだよ!」


よく殺されかけた相手にそこまでの評価を下せるのかわからないが、そうなるとおかしいことだらけだ。


「だって、元々その、セントクロスから出た異分子を排除したかったから二人が来た。んで、さらにその依頼者がどっかの貴族なんだろ」

「だから――」


「どっちにしたってそれはこの世界で悪いことじゃないのか?」


そこまで言うと静かに聞いていたアンが静かに微笑んだのが垣間見えた。

それに他の誰かが気付いたわけでもなかったが、ようやくカルバンは俺が言いたいことを理解したようで、目を丸くし、アンの方を見た。


「でも、依頼書が……」


普段『新しい波』の中でブレーンの役割を担っているあたり、今回の件では鈍っていたようだ。

その証拠に、未だに認められないでいる。


カルバンが迷走状態に入ると、


「どういうこと?」


この中でアイミだけが持つ純粋な疑問を投げかけてくる。


「ようは、悪い貴族がいたとするだろ?」


アイミは小さく頷き、まっすぐな目で俺をみる。

なんとなく気恥ずかしさを覚えながらも、学校の先生にでもなったような気分で続けた。


「それを世界でも有名な英雄に頼むか?」


それでもぽけっとした反応に、さらに俺はかみ砕いて説明してみせる。


「簡単に言うと、そんな犯罪めいた事を頼まれたら、この二人だったら逆に捕まえないかってこと」


そこまで言うと、


「あ、」

「あ、」

「あ、」


と他の二人も気付いてなかった様子で、声を出した。


「ちょ、ちょっとまった、でもクラナディア様は依頼書を燃やして――」


元気よくテトラがカルバンと同じことに気が付き、結局同じところに行き着く。


遅れてジオラルは頭をがしがし掻き毟り(むしり)ながら、


「だぁあああ、そういうことか、あれは偽物だったんだなっ」


理由までは分からないが、自作自演のお芝居だったということだ。


そこで、ようやくといった様子で、アンが口を開き始める。


「まさか、ここまで気付かれないと思わなかったから、少しあなた達の事を買いかぶりすぎたのかしらね。それもそこにいる少年に教えてもらうなんて」


一応褒められてはいるようなのだが、それは仕方ないとも思う。

演技とはいえ、普通に殺しにかかってきたようだし、それに加えてネタにされたのがカルバンだ。

本来の思考力を奪われた以上、他の二人にそれを任せるのは酷な話だ。


「なんか、馬鹿にされた気がする……」

「奇遇だな、俺もだ」


気がしているだけでは足りないのだが、とりあえず放っておこう。


「では、なぜ僕たちの所に来たんですか!」


始めてみるカルバンの怒りを露わにする姿に、内心で俺はビビりながら口を挟まないで置く。

実年齢年下でも怒ると怖い。


「あら、そこだけはあの時話しているはずだけど?」

「あの時?」


俺の知らない部分を思い出す様にカルバンは怒りを抑え込み、本来の力を発揮していく。


「あの子に影響を与えた理由」


そういうともう一人の英雄へと視線を移した。


レナはカルバンの視線を気にした様子もなく、話が始まってからじっと俺を見続けている。

それがまぁ、気まずい。

ぐい、と俺の目の前にアイミの後頭部が出現する。


「訊いているんですけど?」


アイミは俺に参加させたくないのだろうか、アイミのつむじしか見えない。


「理由?」

「そうですっ!」


怒っている人苦手なんだけどなぁ、と逃げたい衝動に駆られながら、とりあえずじっとして置く。


「もう興味ない」


「ん?」

「ん?」

「ん?」


「ほらね、困ったことにこの子はあなた達に興味を持った。私たちは聖騎士を引退したと言っても、すぐにその任を解かれるわけではない。ようやく、一連の仕事を終えて、ここからどう新しい道を行こうとした矢先に君達の情報が耳に届いてきたのよ。そこで、イェール様の所に赴いて、君達の同行を尋ねた。それで――」


アンが自分の耳を疑い、落ち着いた様子で座っているレナに視線を落とした。


「え……? もう興味がない⁉」


「長いノリツッコミだなぁ」


強いて言うならクールビューティーな人のノリツッコミは見たくなかった。

実際はつむじしか見えていないけど。


「レナ、それはどういうこと⁉」


どういうことも興味を失ったってことだろう。


驚愕な事実に呆然としているアンの他にも、


「俺たちなんであんな目にあったんだ……」

「さぁ……」

「一つ間違えば死んでたよ」


掛ける言葉が見当たらない三人は脱力に襲われていた。


それを尻目にレナは恐ろしいことを口にした。


「君の事を知りたい」


まっすぐ向けられた視線は俺に向かって向けられていた。


「あ、ありえるのか? 相手は【戦子姫(リトルプリンス)】だぞ……」


モデル並みのスタイルと身長で、小さい姫が二つ名だと……。


「これが世界に広まったら、大変な事に」


余裕もそこまで、がたがたと震えだす俺のマイナス思考。


「知りたいって。それって……」


なに、なになんなのよ!


「なっ、な、ダメです!」


そう絶対にダメ!


「なるほど」


嫌な予感しかしない。


絶対に逃げたほうがいい。


「いや、ダイジョウブデス」


理由などない。

どうにかして断らないと、


「君と一緒にいたい」

「ちょぉおおおおおおおおおおっ、怖いんですけどぉっ!」


俺の恐怖体験を余所に、知らぬところで一つ怒りが増え、そしてもう一つは激怒へと進化を遂げていた。


少しづつでも頑張りたい所存です。

来月はもう少しペースあげられるかも……です。


お付き合いを切に願って、よろしくお願いします!


もっと続きを書きたーい

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