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異世界だろうとのんびりと  作者: ダルマ787
ーーーーーーーーーーーーーーーーー 第二巻 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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第12話 詐欺師=異世界人

テーブルと人数分の椅子だけ置かれた一軒家に、久しぶりの落ち着いた雰囲気。

そんな面持ちでいたのは俺だけだったらしい。


「これは一体……」


源素切れという状態で寝込んでいたカルバンは、対面で座る俺たちを見るなり困惑した様子でそう声を掛けてきた。


「やっとか……」


それにジオラルが一言零し、待ちくたびれた感じで言うが、そこにカルバンに対しての嫌味は含まれていない。

なぜなら、ジオラルもカルバンと同様、気を失っていた一人だからだ。

カルバンよりも症状が薄かったせいか先に起きたものの、二度も同じ説明をするのは面倒と理由からカルバンが起きるまで説明の御預けを喰らっていたのだ。


「どうして、アイミさんとナカムラが?」


状況的に俺が到着した時にはカルバンは倒れていたため、一番状況を把握できていない。


ただ、


「俺が一番に聞きたいけどな」


俺は厭味ったらしくテーブルに肘を着きながらため息を吐いた。

この世界に来てから本当に多くなった、ため息で俺は絶対に幸せにはなれないと思う。


「とりあえず、座ってくれ。俺もこの状況を一から知りたい」


正直いえば、最初は俺の所為だと思っていた。

一人迷子になり、変装していたレナに追いかけまわされ、(わざわい)を運んできた。

そう思って、連れて行かれた戦場では、瀕死の冒険者に弄ばれるアイミがいて、吐いてすっきりした俺はすぐに俺の責任ではないと理解した。


そうなれば、話し合いは俺とアイミを除いた方々で済ませてほしい。


とりあえず、俺は理由だけ知れれば満足である。


「そうね、私から話した方がいいかしら?」


そう最初に口を開いたのは、アンと名乗るこの世界で初めて妖艶な美を模った容姿の美人さんだった。


「どこ見てるんですか?」


俺の隣の席に陣取ったアイミがジトッと睨みつけてきた。


しかし、あの開いた襟元から零れる豊満さを前に凝視はしないまでも、ちら見ぐらいは今の年齢だってするぞと思いながら、しぶしぶ視線を外すと、今度は対面に座る元変質者の現美少女のレナと視線が合う。


「こっち座る?」

「結構です!」


俺に言ったんだと思うけどと思いつつも、何やら不機嫌なアイミに余計な事は言えず、カルバンが席に着き、いよいよ話し合いになった。


席は対立構造上、妖艶な美を持つアンと誰もが認めるであろう美少女のレナが並んで座り、それに対面する形で俺たちが座っている。


「まず、あなた達に会いに来た理由だけど」


その瞬間、やはり俺の責任ではなかったと心の中でガッツポーズをしつつ、話を折る真似はしない。


ところが、意外にも人の話を遮ったのはカルバンだった。


「僕たちの始末、ですよね?」

「ん?」


よくわからなかった。


「冒険者だよな?」


俺は並ぶ三人の顔を順番に見ながら尋ねた。


「そうだよ。ただ、私達は聖騎士団国家(セントクロス)の出なの」

「はい?」


なんだ、そのホーリー系の魔法の名前は?


「ちょっといいかしら?」


その答えを待たずにアンが質問をしてきた。


「その子、アイミちゃんが一緒の理由はだいたい予想がついているけど、君、ナカムラタダシだったかしら? 君がいる理由がわからないのだけど?」


なぜに俺だけフルネームで疑問視されるんだ。


挙句に説明に困るようなテトラの反応に納得がいかない。


ただ、そのままにしておくにも話が前に進まないし、俺としても色々説明してほしいことがある。


「ただの詐欺師だよ」


その思いが、俺の口調は不機嫌なものになったものの質問には答えた。


「詐欺師?」


ふんと鼻を鳴らし、異世界から来たとは教えてやらない。

教えた所で三人同様信用しないだろうし、真実を知るものは少ない方がいいと、今更ながら思っていた。


そして、その返答がアンを悩ませてしまったようだ。

一つ一つが妖艶な仕草で顎元に手を置き考えている。


このままだと、話が止まると思い、レナの方を見ると首を傾げる仕草で交わされた。


結局、アンの答えが出るまで待つことになる。


その間、疲弊している二人を置いてけぼりにし、テトラは俺になぜ、詐欺師だと名乗ったという意味を視線で投げかけてくる。


「(どっちにしてお詐欺師扱いなら、無関係な人間にまで教える必要がない)」

「(……そう)」


納得してはいないだろうが、名乗ってしまった以上、そしてアンの反応からそこまでの追及はやってこなかった。


どういう答えを出したのかはわからないが、考え込んでいた時間は短く済んだ。


「まぁ、いいわ。そちらの説明が必要なら続けて」

「は、はい。それでセント――」


「ああっ、一から一から」


今度は詐欺師としてではなく、異世界人としても頼みだった。


「ついていけないのが二人になる」


そう俺は元々知らないが、もう一人、世間知らずのアイミも当たり前の話にはついていけていない。

隣で目をぱちくりしながら、時折考える仕草が横目で感じ取れていた。


「ああ、そうだね。じゃあ」


そう前置きの後、俺たちの知らない部分が説明された。


地震の影響もあり、更新滞っています。

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