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異世界だろうとのんびりと  作者: ダルマ787
ーーーーーーーーーーーーーーーーー 第二巻 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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第6話 信じても信じなくても

2021/5/27 軽度な(台詞の言い回し、誤字脱字)編集をしました。

ジオラルとカルバンが冒険者ギルドの門を開くと、やはりというべきか視線が集まる。

前回の反省を生かしているのか騒ぎになるような行動をすることのないまま受付へと進んだ。


受付が始まったばかりのようで、掲示板の張り紙をもっている冒険者で順番待ちを余儀なくされた。


大きな街なら受付の数もそれなりに多くなるが、田舎町では受付の処理を一人で行うのは珍しくもない。


それに対してジオラルが小言の一つも零さないことに珍しさを覚えていたカルバンだったが、それはすぐに解決した。


「そういえば、タダシの件カルバンはどう見てる?」


一応周りに気を遣いできる限りの声量で話しかけてくる。

これもまた前回を踏まえての配慮だろう。

カルバンはそう感じつつ、同じことを考えていたので余計な事は言わずに返事を返した。


「疑うべきだろうね」


本来なら切り捨てるべき『異世界人』という単語。

それを口にした以上、ナカムラタダシという人物は詐欺師としてみるのが適当だった。


ただどうも歯切れが悪い。


「ただ、完全に否定もし難い」


ジオラルもまたそう感じていたからこそ、カルバンに尋ねたのだ。


「テトラは疑っているよな」

「だろうね。でも、本心は僕たちと同じだとは思う」


だからこそ、まだ子供として扱っている。


「カルバンのは勘か?」

「半分は」


「半分?」

「ナカムラの行動が僕たちの物とは違うのが一つ」


「それって、一人で生きてきたから常識がないだけって言えないか? アイミさんとは別な理由で特殊な環境で育ったとか」

「僕もそれは考えたけど、ナカムラの言動の中に知らない単語が時折出てくる。それだけでは疑いの余地を出ないけど、年齢の割に行動が大人びている」


「いやだから」

「そう、それも彼の環境の所為と言えなくもないけど、一番引っかかっているのが、ナカムラに得がないということなんだ」


「そうなんだよなぁ」


あの場面で異世界人という立ち位置は詐欺師であり、それに対してナカムラタダシという少年は人を騙す行動で利益を得ていないのだ。

その傍らで野菜を売ってはいるものの商人ではなく、売り方も他人任せ、リピーターがいるということも客が再度求めるから起こるわけで、詐欺に該当するものが何一つない。


「アイミさんとグルって可能性は?」

「ないだろうね。アイミさんがあの街に入ったのは僕たちの後、それはギルドでも門兵にも確認してある。それまでタダシとの接点はない」


「言いきれないだろ?」

「アイミさんにも黙っていた? 結局、ナカムラには得がないよ。それに隠していたのなら、もっとマシな言い訳はいくらでもある」


なにより損の方があまりにも大きい。


「それに……」

「それに?」


「ナカムラ自身も言っていたけど、『異世界人』というのが、本当だったとしても現状何も変化が起きない」


それこそ損しかない。


「……確かにな」


おとぎ話の『異世界人』は勇者と言われた。

しかし、現在では詐欺師にすり替わっている。

それは誰しもの認識、その中でやはり『異世界人』と名乗るのはあまりにも得策とは言えない。


だからこその現状が出来上がっている。


「結局、疑っても信じても何もないんだよ」

「結局分かったのは、アイミさんもタダシの事をよく知らなかったってことだけか?」


宿屋での質問攻めは荷馬車での移動中も続けられていた。そのことを思い出し、カルバンは苦笑いを浮かべる。


「でも、そうだったらいいな」


そう最後にカルバンが呟くとジオラルは何も言わず、受付の順番が回ってきた。


この町での受付嬢もまた美少女の分類に入る。

髪を二つに分けどこか幼さと田舎臭さを感じさせた。


そんなことどうでもいいように、ジオラルが素材をテーブルに並べ、その間にカルバンが冒険者プレートを提示する。

そのついでに依頼達成の報告もした。


「時間かかる?」

「あ、はい。依頼達成の数と素材の質の鑑定に少々お時間をいただいております」


「そ。じゃあ、その辺にいるから終わったら声かけて」


そう言い残し立ち去ろうとするのを、受付嬢が止めた。


「あ、お待ちください。『新しい波』の皆さんに言伝がございます」

「言伝?」


なにかしらトラブル処理の案件かと耳を傾けた二人は、受付嬢の次の言葉でテーブルを叩くことになった。


言い渡された情報はたったの一つ。


元聖騎士長ジャンオル・レナン、そしてその相棒(パートナー)元聖騎士副長アン・クラナディアが、【ギサール】の街で『新しい波』を探しているというものだった。


「ありえねぇ……」

「なぜ……、その二人が……」


受付嬢は困った様子で、うろたえる。


「まさかっ、もうゴーゴンの件が?」

「いや、それにしてもあの二人はすでに聖騎士の座から退いて二年は経つ。その件だけの為に動くとは思えない」


「とにかく、テトラ達と合流するぞ」

「まずいな、テトラ達は見つけられるだろうけど、ナカムラの行動は分からない」


「どのみち探すしかないっ」

「二手に別れよう」


「お、お待ちくださいっ!」


受付嬢の静止を無視してジオラルとカルバンは冒険者ギルドから飛び出した。


「とりあえず、俺はあっちを探す!」

「わかったっ、僕は反対側を!」


「合流は空に【属性弾】を打ち上げろ!」

「目立つけど仕方ないっ!」


そう言い残し、二人の背中が合わさった瞬間だった。


「その手間は必要ないわ」


いつからそこにいたのか、その声に二人の背筋が凍る。


二人の間に全身を隠すローブを身に着け、仮面を被ったその存在はいた。


飛びのき距離を取った二人の目に映ったのは、もう一人の仲間の姿。


「「テトラっ!」」


「ははは、」


テトラは申し訳なさそうに苦笑いを浮かべた。


拘束はされていない。

それでも逃げることはできないと悟った様子だった。


「ここで騒ぎを起こされても困るわ。街の外まで移動しましょうか?」


そう言われ大人しく従うしかない。


隠したい事実はアイミの暴走の件のみ。


そして、そのアイミはこの場にはいない。


だとしら、まだその余地は残されている。


「わかりました」


人の視線が集まり始めてくるのを察し、カルバンがそう言った。


「では、行きましょう」


声に似つかわしくない恰好の後ろを追いかけるように、三人は町の外へと進んでいった。


2021/1/23 1章目にあたる、1巻を全て編集しました。

詳しくは、活動報告に書いておきます。

興味のない方はお気になさらず、

それでは引き続きよろしくお願いいたします。

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