第27話 心
2021/1/23 読み直し(一回目)編集しました。
2021/3/18 誤字脱字、ルビ振り追加、文章追加、台詞の言い回し変更など、編集しました。
いつからか、目の前に暗闇が広がった。
小さい頃の夢は母親のように人の手助けができるような人。
ただ、その夢はもう見られない。
思い起こす母の姿はあの頃の悲劇。
だから幸せを思い出すことができなくなった。
代わりに見る現実は、冒険者に追われ、いつも届かない叫びを叫ぶ。
誰にも届かないその言葉はどこに消えているのだろうか?
「どうしたらいいの?」
いつだって、それは誰にも届かない。
その代わりに目の前には力が存在している。
「あなたはだれ?」
…………………………………………………………………………………………。
「どうして?」
………………………………………………………………………………――。
「力は何のためにあるんだろう?」
…………………………………………………………………………――。
「逃げるため」
……………………………………………………………ち……う。
「誰にも迷惑を掛けないため」
…………………………………………………………違う……。
「救うため」
………………………………………………そうだ。
「誰を」
………………………………自分自身を。
「守る」
……………………力はある。
「今度は私が……」
…………欲しい。
「邪魔者は……だれ?」
……消せ。
「でも……私にはできない」
出来る。
「ワタシには」
私には。
「できる」
出来ない。
「全てをよこせ」
……敵なんていない。
「敵は目の前だ」
…………敵なんて。
「全てが敵だ」
…………………………。




