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異世界だろうとのんびりと  作者: ダルマ787
ーーーーーーーーーーーーーーーーー 第六巻 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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第43話 二人のSランク冒険者

2024/5/4

誤字脱字、文章編集、ルビ振りを行いました。

冒険者であるラークとマリージュカが同じパーティーの人間ではない。

それでいて、あの一幕があってからの帰路、同じ道筋を歩いていた。


決して仲がいいからではない。

お互いにあの一連の話しをするためだった。


最初の内は、お互いに口を開かず各々が考えを巡らせていた。

内容はもちろんゴブリン族の生き残りであるシンの提案。


敗者である以上、その条件を飲むのはほぼ強制的であった。


考える必要があったのは、その条件の中にいたナカムラタダシという異世界人の存在についてだ。


ふいに、ラークが口を開く。


「そういえば、お前が用意したAランク冒険者はどうしたんだ?」


マリージュカはそれが、興味ある質問でない事は分かっていた。

ただ、会話の糸口の助走でしかない。それでも、その助走には乗っかり本題へは入る。


「あの子たちも私と同じ貉よ。目を覚ました時点で、状況を見て、離脱したでしょう」


「本質を知らぬ間に居なくなってりゃ、世話ねぇな。だからこそ、良くも悪くも評価は良好で通ってるんだろうが」


そこで、本題は始める。


「それで、あの話どこまであなたは信じるの?」


「……異世界人か? それとも宝剣の事か――?」


「両方という他ないでしょうね」


「順当にいけば、まだ異世界人の方が信じる事はできる」


それは、シンの提案の後、話された一つの真実。


「この世界の住人が知らないだけで、異世界人は他にもいるって話?」


「実際、異世界人っていうのは、認知されているものだ。だが、時代が進むにつれ、あまりに偽物が増えすぎた。奴が言っていた通り、異世界が渡ってきた当初、異世界人であることを隠し、詐欺師というレッテルを張られると知れば、猶更打ち明ける事はないだろう」


「あの少年が簡単にそれを口に出してしまうのは、人との交流があまりに希薄だったから……。まぁ、辻褄は合うわね」


「だが、宝剣はその持ち主である勇者にしか使用ができないとされている。実際、宝剣を所持している国で使用できたものは皆無。それは誰もが認識している事だ」


「……一つ、」


そう話し始めたマリージュカは、秘密を打ち明ける。


「間違いがあるわ」


「間違い?」


「たった一人だけ、その宝剣の一つを使用できる者がいるわ」


「――ッ⁉ そんなわけっ――」


すぐにマリージュカの話しを否定しようとしたが、ラークはすでに国という組織が隠している原種に出くわしている。

高ランクの冒険者をやっている以上、少なからず、真実はどうかとして、世の闇の部分は耳に届いてくる。


ラークはため息を吐いた。


強さを求め、渇望していく中で、強者を探すようになった。

しかし、蓋を開けてみれば、強者との距離は遠く、その機会に恵まれる事も多くない。

そこに辿り着く道は迷路のように、複雑化していく。


それなのに、世界の真実を知っているのは、さらに上の世界の人間だけだという。


これはもう、ため息を吐くしかない。


それでいて、前に進めるラークだからこそ、今の称号を持ち合わせていた。


「一体誰が?」


「それを知ったら、あなたもこっちの道に来ることになるわよ」


「今更だろ」


それもそうね、と呟きその正体を明かす。


「魔王の原種が一人、ロード・フリー」


その名を訊いたラークは、天を仰いだ。


「元冒険者にして、SSランクの化け物か……」


当時でさえSSの称号を持つその人物は、数年前に討伐されたとして記録が残っている。

しかし、それすらも偽装されたものだった。


「もう、驚くのにも疲れるな」


マリージュカはいたずらな笑みを浮かべて再び質問をした。


「どれが一番驚いた?」


そんなの、と続き言い放たれたのは、シンが提案したあの言葉だった。


「『いざとなった時、ナカムラタダシを守ってくれ』」


その真意は分からない。


それを聞かされたのは、ラークとマリージュが立ち去ってからの話し――。



第6巻残り2話。

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