第40話 選べない選択肢
2024/5/4
誤字脱字、文章編集、ルビ振りを行いました。
「さて、ここまでの起きた事を理解しているな?」
そう言いながら姿を現したシンを、立ち上がることすらできない二人の冒険者が顔を上げる。
「ケガどころか、血の一滴も流れていない……」
「幻想……、もしくはこれから起こる未来でも見せられたという事かしら?」
戦いそして傷つけられたはずの身体に一つの負傷が見られず、今までの事が全てなかったことになっている。
「これから、私はタダシ……あの少年にある質問をする」
虚偽であれ、真実であれ、それを破ることができなかったという事実は、現実にすることに出来るとシンは言っている。
だからこそすでに戦意喪失し、死を受け入れたラークとマリージュカは言葉ですら抵抗を見せない。
「その答えを当ててみろ」
もはやそれに何の意味があるのか、久しぶりにも感じる思考にマリージュカが尋ねる。
「……それが何だっていうの?」
ラークが続く。
「俺はまだ世界の広さを知らなかった。たかがランクだと思っていたものは一応、その意味をなしていたって事を知っただけだ。今更、恥の上塗りをしろってか」
タダシに向ける優しいシンの姿はそこにはない。
「すまんが、お前たちに何かを求めてはいない」
「猶更……、何の意味がある」
シンは静かに言った。
「私もそれが知りたいのだよ」
どちらにせよ、ラークとマリージュカに選択肢など存在していない。
「それで……、あの子にする質問の内容は?」
今回は短いので2話投稿します。




