第30話 戦闘狂
2024/5/4
誤字脱字、文章編集、ルビ振りを行いました。
「聞くまでもないでしょうが、相手は任せるわ」
マリージュカはそう言って、背を向けた。
「随分と勝手だが、この依頼を受けた事後悔しなくて良さそうだ」
冒険者として嫌気がさしたことなど、すでに過去の事。戦闘狂の血が収まりを求めるよう滾っていた。
「悪いがお前の計画など知ったことじゃないからな」
「あら、そう。じゃあ、私は私の計画通りの物事を進めさせてもらうわ」
そんなことどうでも良さそうに、臨戦態勢に入ったラークの耳には届かない。
冒険者の中でもそれなりの地位を築いているSランク冒険者。
だが、平和な世界の中での戦いは、強くなればなるほど空しいほどにその機会を減らしていく。
それこそ、魔王がいた時代を羨むほどに。
だから、ラークは外道ともいえる依頼も進んで受けた。
その道中、少しだけ興味が湧いた存在でも、もやもやだけを残し、また空しい時間だけを過ごすと思っていた分だけ熱く燃える。
「さぁ、楽しませてくれよ」
もうそこに清く正しい冒険者の姿はない。
あるのは、目の前の強者と交える事だけだった。
短い話なので三話同時Upしました。
引き続きよろしくお願いいたします。




