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異世界だろうとのんびりと  作者: ダルマ787
ーーーーーーーーーーーーーーーーー 第六巻 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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第20話 Aランク冒険者の罠

2024/5/4

誤字脱字、文章編集、ルビ振りを行いました。

予定外の出会いと対話により、難を逃れたリンドとシナは深い森の中まで逃走を図っていた。


しかし、何かがおかしい。


「っち、誰だお前ら?」


あの場から立ち去って、長い距離を駆けたはずだった。


それなのに、一向に離れている気がしない。

そう感じた頃、リンドの目の前に一人の冒険者が立ちふさがっている。


「ただの冒険者と言っておくよ」


Aランク冒険者『迅雷の辻』、スパーテルは言う。


「この状況で偶然ってことはないよな?」


「どう捉えてもらっても構わない」


リンドは鼻で笑う。


「ランクは?」


「Aランク」


臨戦態勢に入るには十分な掛け合いに、リンドの源素が漏れ始める。


「大人しく捕まる気はないよな?」


「なめんじゃねぇよ」


そこから攻撃は始まった。


森の中を経路に選んだのはこういった事態を招いた時のためだ。

辺り一帯は木々が鬱蒼を生えそろい、無駄な源素の使用を防いでくれる。


ただでさえ、疲労が溜まって行く中で、油断は一時たりともできない。


伸ばされた木々の蔓がスパーテルへと一直線に複数本襲い掛かる。


疲労の中でも次々と戦闘の対応がリンドの脳裏を駆け巡る。


しかし、次の瞬間にはスパーテルの体をその蔓は貫いていた。


「っ⁉」


その光景にリンドは驚きを隠せない。


抵抗はもちろん回避の仕草すら見せず、


「俺らのパーティーは光の属性と水の属性がいてね」


貫かれたままだというのにスパーテルは平然と言いのける。


「もう終わりだ。逃げるという幻想は終わりにするんだ」


「なっ⁉」


鬱蒼と生えていた木々が陽炎となって次々と消えていく。


「一体いつから……」


そうして、現れた周囲には草木が生えていない荒野が広がっていく。


つまり、逃げていた経路も、攻撃で使用したと思っていた木々も蜃気楼のそれでしかなかったということだ。


「だからなんだっていうんだよ! なめんじゃねぇよ、たかがAランクがっ!」


無ければ生やせばいい。

精霊と源素の力さえあればそれが可能である。

冒険者がやったことはあくまで、力の消費を増やしただけに過ぎない。


そうリンドは地面に向かって源素を流し込もうと手のひらを叩きつけようとした。


そこへ、ひゅんと数本の矢が飛んでくる。


リンドはその矢を転がりながら回避するが、


「くそっ」


他にも気配があったことは気が付いていたはずだった。


しかし、疲労が思考に靄をかけ行動を鈍らせているのが感じ取れていた。


そこへ、


「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


どこからともなく現れた盾を土岩で覆ったタンクが突っ込んでくる。


今度は回避が間に合わず、両腕でその突進をガードした。


「ぐぅあ!」


態勢が悪かったのも相まって数メートル先まで吹き飛ばされたリンドに、追撃が止むことはない。


いまだ姿が見えない存在が数名。


どこからか矢が放たれ、また別の方向から複数の水の弾丸が飛んでくる。


「(リンッ!)」


「わかってるよ」


心の中でシナが叫び、余裕なくリンドが返事を返す。


「言っただろ。所詮お前らはAランク止まりなんだよっ!」


今度は幻想などではない。


リンドの源素が精霊との結びつきによって放出されると、辺りが一瞬で鬱蒼とした森へと変貌を遂げた。


「化け物めっ」


信じられない光景にスパーテルが片手を上げ光の柱を空へと放つ。


仲間へその場からの撤退の合図。


自身のフィールドへ引きずり込んだことで、リンドはさらなる攻防を仕掛けに向かおうとする。

その中、未だ平然と語りかけるように届く冒険者の声を聞いた。


「悔しいけど、お前の言っていることは間違っていない。間違っているとしたら、俺たちはSランク冒険者の息がかかっているということだ」


それを聞いて、初めてリンドとシナは自分たちが罠にかかったことに気が付いたのだった。



遅くなりましたが、徐々に再開していきたいと思います。

詳しくは活動報告に書いてあります。

気になる方だけご覧ください。


では、引き続きお付き合いよろしくお願いいたします

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