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異世界だろうとのんびりと  作者: ダルマ787
ーーーーーーーーーーーーーーーーー 第六巻 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
180/243

第13話 リンドとシナ

2024/5/4

誤字脱字、文章編集、ルビ振りを行いました。

リンドがタダシを取り込もうとした事に明確な理由はなかった。


言葉に発した通り、思い付きでの行動。


その言動にもう一人、心の中で聞いていたシナはため息を吐いただけで何も言ってこない。

それだけシナもタダシに何かを感じ取ったのかもしれない。


そして、タダシを閉じ込めた後、思考は目の前の敵に向けられる。


「(謎だよな)」


心の中に届くその声に、シナも同意する。


「(ええ、確かに)」


「(これだけ強い冒険者なら、名前を知っているはずだ。だが、目の前の女の正体がわからない)」


「(普通に考えるなら冒険者ではないのでしょうね)」


「(だとしたら、聖騎士か? どちらにせよ。知らない奴だ)」


「(でも該当する存在はいるわ)」


「(『影』か?)」


「(ええ。でも、『影』が子供と行動を共にするなんて聞いたことがないわ)」


「(あの少年が貴族、もしくはそれに類似する存在で、なにかしらの理由によって護衛しているとか?)」


「(『影』が護衛? あまりに特殊すぎるわ)」


「(人間の想像なんて限界があるさ。あるのは目の前の事実だけだ)」


「(そうかもしれないけど)」


「(へへ、オレの勘が当たったんだろうな。訳アリなのはオレ達だけじゃないってことだろ。理由はどうあれな)」


「(……同じ穴の貉)」


「(理由を知る必要があるか?)」


「(時と場合によってはね)」


「(性に合わないな)」


「(でしょうね。それに相手がそれを話してくれるなんてなさそう)」


殺気だった黒装束姿の女は捕縛した少年を、見ようともしない。

あくまで敵とした原種を相手にしている。


「(護衛って点は外れているのかも、どう見てもやっている順序がおかしい)」


「(それを言ったら、オレ達に構ってきた時点でおかしいだろ)」


「(それをあなたが言う。すでに少年と接触してしまったから、それを断ち切ろうとしているんでしょう)」


「(あ、そうか考えてなかった)」


シナは深いため息を吐く。


「(でも、こうなったもんは仕方ない)」


「(逃げるって手段があるんだけど)」


「(シナも分かってるだろ。そろそろ限界なんだよ。その為に変化が必要だ)」


逃走を謀ってから数日、人のいない場所だけを選び日々を送ってきたが、ままならない食事に心落ち着かない休息。

体も心も限界は迫ってきている。


遅かれ早かれ、新たに行動を移さなければいけない時は近づいていた。


「(それをあなたの勘で、あの少年に背負わせようとしているわけね)」


「(信用なんて曖昧なものよりも、原種と聞いて驚かない存在に賭ける方が、オレとしては勝算があるね)」


「(……否定はしないわ)」


お互いに思う事はある。


それでいて、利用しなければいけない存在は確かに必要だった。


「(でも、問題は今よ)」


目の前に立ちふさがる敵。


「(はっきり言って、強さだけなら相手の方が上)」


「(言っただろ。同じ穴の貉だってな)」


「(???)」


「(さぁ、どう転ぶかな)」


再び開幕する戦闘に、闇が広がっていく。


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