第11話 監視の目
2024/5/4
誤字脱字、文章編集、ルビ振りを行いました。
文章追加した部分はこちらです。
「あ? ははは」
突然だった。
サポーターに偽装しているラークが足を止め、笑い声を発する。
「なんだ急に」
当然、『迅雷の辻』のスパーテルが疑問を呈す。
「悪いな、どうやら標的が見つかったようだ」
「どういう意味だ?」
「そっちの仕事は勝手にやってくれ、俺は先に行く」
そう言い残すと、ラークは突然走り出す。
それも、言い残すや砂埃を上げ、ものすごい速度で、一瞬で背中すら見えなくなってしまう。
残された者たちはただそこで立ち尽くした。
走ると一言で言ってもその一歩だけで数キロを跳ぶ形で駆けるラークは、
「っち、残念だが、少年の方は後回しだな」
興味があった存在をひとまず置いておく事を残念そうに愚痴る。
そして、移動を続けながら、監視をした存在がどうやら、敵……、少なくとも原種と敵対関係になる存在だという事を結論付ける。
「俺たちを見ていたのは間違いない。だが、なんのためだ? 原種の協力者だということはまずないだろう。だとしらた他に理由がある。しかも、俺たちが来る事を知り、前もって警戒するだけの理由が……」
ただ、それだけで答えが出る事はなかった。
「行けば解かるな」
事態がどうであれ、目的は変わらない。
本来であれば、あと一日はかかる道のりを圧倒的な短縮でラークは駆け抜ける。
ラークが走り去り、残された『迅雷の辻』は立ち尽くしていた。
だが、呆然とはしていない。
どこか、この時を待っていたかのようにスパーテルは行動に移す。
残りの三名に辺りの警戒をさせ、どこかに連絡を入れる為、光の信号を打ち上げた。
合図はすぐにやってくる。
どこかでその相手は見ていたのだろう。
ラークたちの耳に声が届く。
『相変わらず戦闘となると見境がないわね』
その相手はラークの行動に呆れた様子だった。
「ええ、目的のためとはいえ、簡単に原種の事を話すとは思いませんでしたよ」
相手の姿は見えない。しかし、ラークは特に気にした様子もない。
『まぁ、やることは変わらないわ』
「分かりました」
『よろしくね』
「はい」
通信はそこで切れた。
ラークに追いつくことは難しい。
だが、ラーク自身を見つける必要はない。
目的は別にあるからだ。
スパーテルは警戒を続けていた三人に指示を出す。
「行くぞ」




