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異世界だろうとのんびりと  作者: ダルマ787
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー第五巻ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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第25話 最後の希望

2023/4/19

誤字脱字、文章編集、ルビ振りを行いました。

――あっという間だった。


それほどメダの決死の脱出法は理にかなっていた。


ダンジョンの入り口が明るく、照らされ外へと飛び出る。

そこまで来ると、速度は急激に落ち始め、地面へと放り出された。


「――ぐぅっ」


ズサーッと地面へと投げ出された体を、ルピネスを庇う為に滑る。


けが人がいるのだからもっと優しく着地できなかったのかと思われるかもしれないが、事実は違う。


一〇階層からここまで休みなく源素を消費続けたメダの源素の限界がきたのだ。

その証拠にメダはカルトアよりも遠くに放り出され転がっている。


「メダっ!」


「うるせぇ、行けっ」


起こすこともできないまま、そう言い放ったメダを一瞥するも優先はルピネスだ。


「すまん」


抱えていたルピネスを背中に移し、カルトアは走り出した。


「ちくしょう」


残されたメダの悪態は止まらない。


他に手立てはないか。


自分にできる事はないか。


そんな事を考えても源素を限界まで使い、もうタダシを救い出す中に入ることもカルトアを止めることもできない。


這いつくばりながらも、進む。


だが、行く当てがない。


「……ちくしょう」


何度も地面を叩きながら、悔しさに顔面を擦り付ける。


「すまん……、すまんタダシ……」


どんな形であれ仲間だった。


それを一番弱い奴を囮にして、どんな理由であれ、自分たちだけ逃げ帰ってきた。


タダシには帰りを待っている人がいる。


「姉さんにどうして顔向けすればいいんだ……」


その顔を思い出し、ハッとした。


「姉さん……」


この町にいる冒険者が束になって勝てるかわからない相手に、勝てる可能性がある人物がいる事に。


恥も外聞もない。


それで可能性があるのならば、それを選択しない理由がない。


木に背中を預けながら立ち上がる。


町はずれの家に向かい、メダは最後の希望に縋り前に進む。



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