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異世界だろうとのんびりと  作者: ダルマ787
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー第五巻ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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第14話 メイド VS Cランク冒険者

2023/4/18

誤字脱字、文章編集、ルビ振りを行いました。

成果はどれほどあったのだろう。

源素が使えなくなってから、幾度となく息切れというものを嫌というほど味わった。


源素が体力のかさ増しをしていたのかは定かではないけれど、間違いなく疲れる事が多くなった。


地面にだらしなく倒れこむ俺は、脳に酸素を送ることで必死だった。


しかし、不思議な事にこれが地獄だとは感じない。


元の世界では運動すら減った体で体力なんてものは底辺まで落ちていた。

年を取れば年を取るほど、それは強くなる。

それと同時、行動力もなくなり、新しいことをする気力もなくなっていた。


だけどこの世界に来てからやらなければいけないことが増え、自ず(おのず)と行動することが多くなった。

それが、とても心地いい。子供の頃に戻ったようだ。


事実、体は子供になっているけど。


「悪くない」


そんな久しぶりな気分に浸っていると、


「いた」


黄昏時間は終わりを迎えようとしていた。


「あれ、メダさん……、と皆さんも……?」


この世界では珍しい訪問というお客さんが訪ねてきた。


「失礼、声を掛けても返事がなかったから敷地内に勝手に入らしてもらった」


いつもと違った雰囲気で、『風の行方』のリーダーが挨拶している。


「ええ、本当に失礼ですね」


さっきまで、そこそこ温和な雰囲気なナナさんの態度が一変して悪くなる。


それをよそに、ルピネスは敷地の広さに「ほわー」などと声を漏らし、一人きょろきょろと辺りをしきりに見渡している。


「それでどういったご用件で?」


明らかに不機嫌な態度のナナさんに、リーダーはたじろぐ。


それでもここに来た理由はしっかりとあるようで、説明を開始する。


「ああ、ええと、タダシに今後の予定を――」


「はっ、あんな訓練でこいつが強くなるとは思えないけど」


ナナさんの態度が勘に触ったようで、喧嘩口調でメダが前に出た。


「え⁉ いや、メダちょっと⁉」


不穏な雰囲気に慌てて抑えようとしたリーダーだったが、


「たかが冒険者風情の意見は求めていませんが?」


いやいやいや、メイド口調でも元聖騎士のプライドが前面に出ていますが? というか、よくよく考えたら、聖騎士と冒険者って仲が悪いんだった。


一応、俺を聖騎士関連の組織から隠す為冒険者に近づいたとはいえ、ナナさんもフリーの聖騎士だ。

冒険者をよくは思ってはいないようだ。


リーダー同様俺も、慌ててナナさんを宥めようと前に出た。


たぶん、疲れていたんだろう。


「邪魔だ」


ナナさんが俺の意見など聞くはずがないことを忘れていた。


「すいません」


俺はすぐに端に避ける。


「いや、よわっ! タダシしかメイドさんと接点持ってないんだよ!」


同じ立場のリーダーにそう叫ばれても、他人視点では、ナナさんは俺のメイドさんに見えるのだろうけど、実情はただの監視官である。


俺はリーダーににこりと微笑む。


「悟りを開いている!」


そうこうしているうちに、身長が高いナナさんを身長が低いメダが見上げる形でぶつかりそうな距離で対面していた。


「たかがメイドの力を見せてもらおうか?」


「いいでしょう。たかがCランクの実力を教えてもらいましょうか」


一触即発の雰囲気に俺は完全に匙を投げた。


「嘘だろ……」


予想外の展開に新しい助け船を求めてカルトアはルピネスを見る。


「きれいなお家ですね」


最後の助け船は未だ、憧れの豪邸に目を奪われていた。


「あは、あはははは」


リーダーはもう笑うしかなくなった。


俺は似たような立場のリーダーに同情しつつ、


「休憩休憩」


黄昏た時の気持ちとは裏腹に性格の本質はすぐに変わらない。


巻き込まれない様に、俺は傍観者としての立場をしっかりと獲得したのだった。


だが、そうは問屋が卸さない。


俺の様子に気が付いたナナさんと視線が合う。


これはヤバイと思った時には遅い。


「そうですね、あなたもそちら側で混ざりなさい」


「へ?」


「は?」


これに反応したのは、俺だけじゃない。


「あなただけではありません、そこのあなたも、そこの修道女もです」


つまり、ナナさんは『風の行方』のメンバー+俺の四人でかかってこいと言っている。


「さすがにそれは」


冒険者としてのプライドか、単純にナナさんの実力を測りそこねただけか、カルトアが拒否の意思を見せた。


それよりも、この提案にメダが怒りを表す。


「舐めんなよ」


怒りに任せて短剣を取り出した。


「おいっ、メダ!」


「え、どうしたんですか!」


慌てて本気で止めに入るリーダーと、メダの殺気でようやくルピネスが会話に混ざってきた。


「獲物は普段のものを使用して構いません」


火に油が注がれ続ける。


「雑魚は雑魚ですから」


これがトドメになった。


さすがのカルトアも冒険者としての誇りがある。


「さすがにそこまで言われたら、引き下がれないな」


ことの経緯は分からなくとも仲間の侮辱に、錫杖がしゃんと鳴る。


「侮辱は己が心を汚しますよ」


これで制止役はいなくなった。



本日は2話Upします。


明日にももう一話UP予定。

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