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異世界だろうとのんびりと  作者: ダルマ787
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー第五巻ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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第6話 源素の知識

2023/4/17

誤字脱字、文章編集、ルビ振りを行いました。


世間話というお勉強会をしながら連れてこられた場所で、初めて俺は盲点に気が付いた。


連れてこられた場所は、自然にできた岩穴。


師匠こと、シンのねぐらなのだと言うが、俺は山で家を建てることにしか頭がいっていなかったが、別に雨風さえしのげれば、こういった場所でも問題がない。

むしろ、岩穴を利用して住みやすい環境にしていけば、一から家を建てるよりも単純で簡単。


「腐れ盲点……」


柔軟性がない、頭が固い、アドリブが利かないなんてのは理解しているが、なんでこんな事に気が付かなかったんだろうか。

まぁ、結果的に気が付いたんだから、今後に生かせばいいのだけど……。


しかし、シンの身なりも、言い方は悪いけどゴブリンの割に綺麗だ。

上下布の服を着ているし、岩穴の家も清潔さが保たれている。


まさに、俺の理想を体現している。


さすが、師匠。


「さてさて、色々話はしてきたが、まだまだ知識は必要であろう。そろそろ本題にも着手していこうか」


「あ……」


話しに盛り上がり俺がここへ来た目的を忘れるほど楽しい時間を過ごしていたことに気が付いた。

そして、思う。やりたくねぇ。


「忘れておったのか……。まぁ、ええ。ついでに知識の話しだ。どうやら、お前さんは基本、当たり前、常識を知らないに加えて、ずれが生じておる。それは異世界人という部分で仕方がないといえるが」


「あー、俺がこんなこと言うのもなんだけど、異世界人って詐欺師扱いなのでは、最近当たり前に受け入れられるのが逆に怖いんですが……」


それえを聞いてシンはかっかっかっと笑った。


「一つ一つ、解決していくか。まず、お前さんが異世界人と見分けられる理由については、異世界人と行動を共にしたことがあるからだよ」


イェールの例もあるし、そもそも繋がりを考えると、そうだろうなぁ、ぐらいには思っていた。

俺が聞きたいのは、


「感覚だよ、これに関しては纏う空気としか言えないが、言動、行動、言葉遣い、言葉の種類、どれもがこの世界とは少し違う。一度それを経験すればわかるんだ」


どうやら理屈ではないらしい。


だとしたら、


「異世界人の認知度ってもっとあってもいいんじゃないの?」


シンは少し考え、


「例えば、小悪党が本物の異世界人を見抜けたとしよう。その場合どうなる?」


考えなくても思いつく先は一つ。


「利用される……」


言われても見たら、そう名乗るなと言われてったっけ。

そういう意味では俺も、その異世界人も人との出会いは恵まれていたのだろう。


答えが出た所で、その辺に座れと言われ適当に腰掛ける。


「さて、これから行う事は話ながらでも出来る。よって、話を続けてもいいが、先に説明が終わってからだ」


俺は頷き、素直に従う。


「まず、源素とは何か」


「ああ、確かに」


「ふむ。お前さんらは、この世界の理を受け入れる割に知ろうとはしないのが不思議でならん。っと、脱線はよそう」


色々ときりがないのだ。


「源素とは生物にはあって当然のものだ。しかし、例外も存在している。それが精霊と魔族と言われていた者」


魔王がいたんだから、居たんだろう。


「源素は元来使うという意味では使えてはいなかった。そこで、使用するために精霊との契約が必要」


「ん? 俺使えてた」


「それはワシにもわからん。おそらく異世界人だからという理由ではないだろう。ワシの知っている異世界人も精霊と契約して初めて使えていた。だからこそ、今の現象が起きているのだろう」


源素切れ。


「わからない事を考えても仕方がない。なので、現状お前さんの状態を教えておく。お前さんの中に源素は存在している」


それはそうだろう。


「それも二つ」


「ふーん」


その反応にシンは俺をじっと見た。


そして、続ける。


「一般的に……いや、一つの例外を除けば源素は一つしか持っていない」


ってことは、例外が俺にも当てはまっているのだろう。


「それは原種の持ち主だ」


だが、シンが口にした例外にさすがの俺も驚くほかなかった。


原種、それは魔王配下の先祖返りで起こる遺伝現象。


「俺の中にも魔王の配下がいる?」


だから、あの桁違いの源素の量だということなのだろうか。


「おそらく、違うだろう」


「ええっ、違うの⁉」


「お前さんの源素の色は?」


「白」


「歴史上、魔王配下の中に源素の色が白の者はおらん」


「だから、それは俺の源素の色で、原種は違うんじゃ」


「基本的に、原種持ちの持ち主の源素の色は、原種の色と近いものになる。そして、白に近い色の中に魔王配下はおらん」


「ちなみに、もう一つの源素の色は?」


「そこまでは見れん。ワシは源素を感じ取るだけ、そして、お前さんから源素が二つ感じ取った。おそらく、源素切れを起こしているのは白い源素、それも徐々に回復はしているようだが」


色々わかっていけば、今後に役立つと思っていたが、どうやらそう簡単にはいかないようだ。


「なーぞー」


そして、それをシンは分かっていたようで、


「先ほども言ったが、わからない事はそのままでもよい。実際、異世界人という時点でそれは永遠に残る」


確かに、俺がこの世界にいる理由という最大の謎がある限り、その他は大して大きな謎にもならないのかもしれない。


「でも、気になる」


「それは仕方のない事だ」


「うーん。まぁいいか、今更だし」


そう言うと、シンは微笑んだ。


「さて、話しの続きだ。今、源素が回復しているといったが、それはどうやって回復していると思う?」


「自然回復」


「いやまぁそうなんだが……」


考えるまでもない答えに初めてシンの戸惑いの表情を見た。


シンは頭をポリポリと掻いた後、なにかを諦めたように、


「厳密にいえば、大気中にある源素を吸収し己がものにしておるんだ」


「大気中に……」


そういえば、アルに索敵を教えてもらった時にそんな話を聞いたような気がする。


「あー、なるほど、それを取り込んで回復を早めるのか」


俺にしては大分頭が切れている思考だ。


ところが、


「半分正解、それを行っても構わないが、根本的な解決にはならない」


はいー、もう意味わからん。


「現段階でお前さんの源素は使用できる分には回復している」


「全快じゃないってこと? じゃあ……なんで、あー、それが解からないと」


「そういうことだ」


「じゃあ、なにをすれば?」


大気中に含まれている源素は勝手に吸収して回復するんだろ。

じゃあ、俺は……、あれ、回復を早めるって言ったけど、どうやってその吸収を早めるんだ。


「これはお前さんにしかできない事だ」


俺にしかできないこと。

シンは俺の情報を誰かから聞いている。その中で俺が得意としてやってきたこと。


「源素のコントロール」



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