第25話 精いっぱいの強がり
第一回編集(2022/12/4)
誤字脱字の修正、文章の修正、文章の追加、ふりがなの追加、言い回しなど編集しました。
「残念です。とても」
………………。
…………。
……。
「……………………………………………………………?」
勝手に俺の印象を決めつけるな。
ネガティブ。
ああ、ネガティブ。
人間いつだって、誰だって気落ちするときはある。
全てがうまくいかないことが普通だ。
それでもいつかは前を向く。
なぜって?
理由なんていらない。
ただ、
「…………何もできないからってナメんなよ」
心の逃がし方を間違えるつもりはない!
「だてに、年取ってきてねぇわ!」
テンパって頭の中が真っ白になるなら、いっそのこと何も考えないでできることをやる。
それが俺にできることだ。
負けて上等。
恥をかいて上等。
何もできなくて上等。
俺は俺の事をよく知っている。
「考えられないなら、考えるの辞めるだけだ!」
思い付かないなら、出来ることをやるまでだ!
全力の源素超濃度空間。
今度は訓練場の比ではない。
何が起きても知ったことじゃない。
学園長が張ったドームに至るまでの異空間が広がっていく。
「これは、試験の時の……。しかし、悪手だ」
アレクの意見はきっと正しい。
あの時は、文句を言いながら気まぐれで現れたドリアスの姿はない。
「へへ」
だが、どうでもいい。
そもそも何かが起こるなど期待していない。
ただ、俺はできることをやっているだけでしかない。
だから、次は、
「っ、索敵?」
覚えたての索敵が、源素超濃度空間を伝って俺の意識に情報が流れ込んできた。
「なるほど、手はないと」
違うな。
「あと、三つはある」
身体能力向上でコントロール可能なレベル2へ、それと同時に回復も行う。
そして、近くに転がっていた枝を手に取った。
枝へ源素を送り簡易的な武器、こん棒を作成……した途端、枯れた。
源素の送る量を間違ったわけじゃない。
そうなると、木の精霊ドリアスが邪魔をしたに違いなかった。
「くそがっ!」
俺は枝だったものを地面に叩きつける。
「驚いてはいるよ。これだけの源素を無駄に消費しつづけ立っていることに。だけど、レナン氏が何をもって君に興味を持ったのか、私にはわからない。はっきり言おう」
そんなこと、
「君にそれだけの価値はない」
言われなくともわかってる。
全てできることはやった。
その結果、変化は起きなかった。
俺がやることを待ち、攻撃を止めていたアレクは空しい表情で攻撃の為に手を翳す。
「【光の小弾】」
くそったれ、またサンドバッグかよ。
それでも、負け犬は負け犬らしく吠えさせてもらおう。
「負け犬ですけど、何か問題でもっ⁉」
すぐにやってくる攻撃に目を瞑り、またやってくる思考の闇に身を固くするほかなかった。
話しの区切り上、連続Upします。




