第24話 敗北者たち
第一回編集(2022/12/4)
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まるで全てを否定されたようだった。
ナカムラタダシとの敗戦で新たな気持ちが芽生え、それが同じ学園の生徒達とも共有できている。
過去の先輩達との格差を受け入れ、それを超えるための決意、覚悟、全てを出し切り戦う。
なのに、何一つ叶わない。
不作の代。
外の世界からそう評価されているのを知っていた。
だから、アミラは自分が上に立とうとした。
学園一位を一つの目標とし、ライバルと認定していたミヨはすごい存在だった。
それなのに、一つ外の世界を知れば、それすらも超える存在が簡単にそこにいる。
まだ、そこにも立てていないのに……。
ナカムラタダシが抵抗もせず、攻撃を受け続ける。
簡単に手に入れてしまった学園一位の座。
それでも自分が強いとはミヨは一度として思ったことなどない。
なにせ、戦った経歴は学園での模擬戦闘。
本の中での世界では、想像をはるかに超えた戦いがあるのを知っていた。
いつもちょっかいを出してくるアミラの存在は、鬱陶しくもありうれしい存在だった。
そして、その存在が増えるという噂にまた可能性を感じていた。
交流のない生徒同士の初めての共闘、それで何かが変わると信じていた。
だが、これほど自分の存在が小さなものだと実感させられるだけだった。
今までの研鑽は、自己満足の物でしかなかった……。
ナカムラタダシが抵抗もせず、攻撃を受け続ける。
もう、これ以上は誰かが何とかしてほしい。
まだ聖騎士でもない。
なにせ、他国とはいえ、聖騎士の一人があっさりやられてしまったのだから、聖騎士を目指すだけの生徒である自分たちには何もできない。
仲間割れからは知らないが、争いは内輪もめになっている。
その隙に教師、学園長が何とかしてくれるはずだ。
だから、もう立てなくたって仕方がない。
奇しくも最低限の才能を持った意識がある生徒たちはそう思う。
ナカムラタダシが抵抗もせず、攻撃を受け続ける。
何が、聖騎士だ。
同じ立場で過ごす中でも力の差は開く一方だ。
目指す頂点の途中にもまだ実力の上が存在する。
自国最年少の聖騎士と誇りに思い、目指してきたものは、あまりにも足りないものがある。
人にはない恵まれた才能に恵まれても、そこにはまだ差が存在している。
あいつは、戦う才能も戦う意思も持っていない。
才能だけでもどうにもできない壁は乗り越えられるとは限らないのだ。
だから、もう終わりにしてくれ。
これは、所詮ただの茶番劇。
反則まがいの強さすらも太刀打ちできないなら、もうこれまでだ。
もう、誰も望む形にはならない。
くやしいけど、もう終わりだ。
微かに目覚めた意識の中で、アルは戦意を失う。
ナカムラタダシが抵抗もせず、攻撃を受け続ける。
サンドバッグ、ただ殴られるだけの比喩表現。
ただ、それだけならまだマシだと思わされた。
俺は、なんのためにわけのわからない攻撃を幾度となく繰り返されるのだろう、
俺の価値を見出す為?
違うよな。
これは、ジャンオル・レナンという少女が興味を持った存在を確かめるという、俺には無関係な理由で攻撃されているだけだ。
ただのサンドバッグだって、意味を持つ中で、俺は、不確かな可能性の為だけにボコボコにされ続ける、中身のないサンドバッグ。
生活の為だけに喜んで使っていたチート能力は、結局戦う力には反映されなかった。
当然だ。
俺は、そこの重点を置いていなかったし、戦わない環境に身を置こうとしていたのだから。
何がいけなかったのだろう。
何が悪かったんだろう。
ただ、俺は…………。
ああ、誰か……。
結局、また誰かに頼ろうとする思考で埋め尽くされる。
物語の主人公。
今だ、俺を助けるなら今がチャンスだ。
白紙が濁り続ける。
俺は抵抗もできないまま、ただ攻撃を喰らい続けた。
本日も可能であれば、もう一話UPします。
予定です。あくまで予定です。早くても夕方ですか?
引き続きよろしくお願いいたします!




