第22話 傍観者の評価
第一回編集(2022/12/4)
誤字脱字の修正、文章の修正、文章の追加、ふりがなの追加、言い回しなど編集しました。
気配を消しながら、生徒たちの生の姿を見る為、傍観している影が三つあった。
距離としてはまだまだ距離は離れている。
どこかの建物の室内から覗ければ様になるのだが、戦地まで指定することはできかなった。
だから、建物の屋上から遠めに戦況を覗く。
理由としては、生徒の一人にでも見つかればこの状況が破綻してしまうからだ。
戦況としては、生徒たちの一方的な攻撃。しかし、敗色が見え隠れし始めている。
感想としてはその程度、結果は分かり切っているとフェノールは、その時がくるまでに尋ねておきたかったことを、イェールに投げかける。
「質問をしても?」
「あら、私に答えられるかしら」
「ご冗談を。この状況どこまで予測されていたのですか? いや、この状況まで持っていけると最初からお考えで?」
これは仕組まれたことなのは、何もしていないフェノールは承知している。
外部から客人を悪者にし、それを生徒達で対処する。
結果はどうであれ、戦うということ、騎士とはなんなのかを今一度理解してもらうための実践訓練。
問題としては、そこに異分子であり、行動の予測がつかないナカムラタダシという存在がいたことだ。
フェノール自身、イェールに疑いなど持つ必要がなかった。
だが、この話を聞いた時に感じたのは、ナカムラタダシという少年が、生徒達の相手になるかという事。
そして、それは最初の試験の時に強く思わされた。
戦う気がない相手に成長の役に立つか否か。
ただ、事実として最強の一角相手に全生徒で立ち向かっている。
「そうですねー。あの少年が直接何かを与えるとは考えていませんでしたよ。ですが、必ず何かをしてくれるとは考えていました」
「ジャンオル・レナンですか」
再び出される名に、イェールは笑みで答える。
「でも、それだけではありませんよ」
「他にも何か?」
「そうですねー、しいて言えば勘と言ってしまえることではあるのですが、あの子には何かを感じたんです」
「なるほど、それはレナンとクラナディアが感じた何かと同じものだと」
タダシが聖騎士団国家に辿り着く前に到着したレナとアンは、二人の新しい生徒を推薦するにあたって、当然イェールに説明を話しに来ている。
その時話されたナカムラタダシの感想はとても曖昧なものだった。
レナだけならば、まだ理解できないだけで済まされた。しかし、クラナディアの評価もとても曖昧なものだった。
「ええ、皆さんは勘違いされているかもしれませんが、彼は中心になる存在ですよ」
「私がそれを感じられないのは、まだ未熟なのかもしれませんな」
イェールは遠くを眺める。
「さぁ、見せてください世界の一端を動かした予想外を」
そうナカムラタダシへ期待する。
そのなかで、フェノール、そして、沈黙を貫いていたミツナはゾッとする。その予想外ですら、手中に収め、この学園で手腕を振るうイェールに。
そして、また、見られているとも知らず、ナカムラタダシはまた予想外を繰り広げる。
ぶん殴ると決意した、その直後だというのに、精いっぱいの応援をアルに送っていた。
先日、誤字脱字報告いただきました。ありがとうございます!
修正させていただきました。
おそらくまだまだあると思います・・・・・・よ、よろしくお願いしまーすw
本日は、次話書き終わり次第UP予定です。
引き続きよろしくお願いします!




