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異世界だろうとのんびりと  作者: ダルマ787
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー第四巻ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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第16話 レベルアップ

第一回編集(2022/12/4)

誤字脱字の修正、文章の修正、文章の追加、ふりがなの追加、言い回しなど編集しました。

「おいっ、合わせろって言ってんだろ!」


そう叫んだのはアルだった。


同じ職場の、先輩であり同僚であるアレクと戦闘になるや、アルは一つの提案をナナカミラにしていた。


それは、共闘に他ならない。


当然、アルはアレクの実力を知っている。

だからこその提案だったのだが、ナナカミラはそれに返事を返すこともなく戦いは始まってしまったのだ。


「くそっ、てめぇだってアレクの強さは知っているだろ!」


自国最強でありながら、世界に名を轟かせる存在をナナカミラが知らないはずもないのだが、それでも提案に乗る気などないと、剣を振り続ける。


「聖騎士の誇りである剣は苦手ですか?」


「ふんっ、お前には関係ない」


次いで、アルの声を無視するかのように対話を為している二人にアルの怒りのボルテージはさらに駆け上がる。


「なめんじゃねぇぞっ」


ナナカミラごと巻き込むことを承知で、大きな竜巻がアルから放出される。


「浅はか」


「まだまだ」


竜巻が二人の手によって簡単に霧散させられる。


だが、怒りに任せて放ったと思われたその竜巻の一つの中から、アルが飛び出す。


「っ⁉」


「なめんなって言ったろ」


冷静な口調でアレクの背後を取り、手に持った空気の圧縮された塊を解き放つ。


「ぐっ――」


アレクはそれを回避できずに吹き飛んだ。


「いつまでもガキじゃねぇんだ。それに、さんざんオレの言う事を聞かないバカと行動を共にしてたんだ。提案に乗らねぇなら、勝手に利用させてもらうだけだ」


ナナカミラを横目に見ながら、アルの頭にはバカの顔が浮かんでいる。


ただ、少しだけアルは間違っている。タダシは言う事を聞かなかったわけではない。

言う事を遂行しようと思っても、出来なかっただけだ。


「影を利用しようとオレの勝手だよな」


ナナカミラは何も言わない。


ナナカミラの口数が多くないという理由の他に、アルという若い聖騎士の少年は色々と間違っているからだ。


ナナカミラの前にアレクが敵として目の前に立ちふさがったのは、伝説の剣を盗んだからではない。

ナカムラタダシという共通の目的が分かち合えないからだ。

その為に、ナナカミラは一種の契約の満了をイェールと済ませ、自身の目的の為に行動している。


さらに言えば、本人が無実だと思っていても、この学園の人間は盗人が三人いるという認識であり、それは全て敵なのだ。

その一人と共闘するなど、馬鹿でない限りしない。


だから、勝手に無実だと思っているだけの少年利用しているのは、こちらなのだとさえ考えている。


ただ、目的の為に目の前に立ちふさがる敵を排除する。

それが『影』という役割であり、思い人であるジャンオル・レナンに近づける方法だと信じているから。


「はは、今までの君ならこんな行動はしなかった。ここに連れてきてよかった。グデンクラトニアの聖騎士を今後も担う者としてね」


だったら、どうしてこんな事をしたという思いを口にはしなかった。

それでいて、倒せるなどアル自身思ってもいない。


たった一発、その余裕の顔に拳を入れる。その思いだけがアルを強くする。


「さて、手加減はしてあげるよ」


だから、かかってこいと言わんばかりのセリフに、


「なめんなっ」


「なめるな」


二人の源素が大きく跳ね上がる。



しかし――圧倒的だった。



フタを開けてみれば、そう言わざるを得ない。


時間にして十数分。


観客がいれば、よくやったと言われるだろう。


敗者としてアルとナナカミラが地面に突っ伏し、それを少し疲れたように勝者であるアレクが見下ろす。


「あなた達と戦うのはさすがに予定になかったですからね」


突っ伏したままのアルは、アレクのその言い草にギリギリと握る拳に力が入る。


アルは理解している。

アレクのその口調はまだ相手に余裕がある時のものだ。

さらに言えば、アレクの言動はナナカミラに向けられている。


「(まだガキ扱いかよっ)」


アルが悔しがっている中で、ナナカミラは言葉なくともすでに立ち上がっていた。


アバレン・アレク。グデンクラトニアの聖騎士にて、現役の聖騎士。その名を知らぬ者はおらず、その強さもまた本物だ。


「まぁ、彼との件もありますし、余計な力は使いたくないですからね」


「煽りは無駄だ」


「ふふ、剣はもうよろしいのですか?」


「私のスタイルじゃないからな」


第二ラウンドが始まる――そう二人が相対している中で、アルが立ち上がる。


「まだ、俺も戦える!」


立ち上がったアルから濃くなった無色の源素が立ち込める。


「上位精霊を身に付けたか」


「ふふ、あの時のような暴走はしないみたいだね。本当にここに連れてきてよかった。しかし、試験の時もそうでしたけど、源素は足りているようだね。秘密はやはり……」


アルの急激なレベルアップ、それでもアレクの表情には余裕が残る。


「なめんなよっ、アレクッ!」


力の差、それを感じ、ナナカミラもまた戦闘スタイルを変更する。


「仕方ない、手伝ってやる!」


「うるせぇっ、勝手にしやがれっ!」


ナナカミラとの共闘はアルが最初に提案したことだ。

しかし、一度目の敗北を迎えるまで、それは無視され続けてきていた。


今更、勝手な事を言ってくるナナカミラも味方ではない。

それでも、現状、アレクに立ち向かう為に手段は選んでいられない。


「行くぞ、影っ!」


「黙れ、ガキっ」


そして、第二ラウンドが始まる。


7月にはいり、ようやくの最新話になります。

詳しくは活動報告に書かせていただきますので、気になる方だけ立ち寄ってみてください。


しばらく、アクセスすら確認できなかったのですが、長いことお付き合いいただいている方本当に感謝です。毎度同じことしか書けませんが、ブックマーク登録されている方がいる限りは、頑張って書き続ける所存です。


感謝を述べつつ、引き続きお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

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