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異世界だろうとのんびりと  作者: ダルマ787
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー第四巻ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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第15話 敗北の先

第一回編集(2022/12/4)

誤字脱字の修正、文章の修正、文章の追加、ふりがなの追加、言い回しなど編集しました。

敗北したのに負けた気がしない不思議な感覚に、もやもやが募り発狂したのはアミラだった。


「なんなんですのっ⁉」


頭では理解できてしまっている。


「負けは負け」


ミヨもまたアミラと同じ感情を抱いている。


しかし、概ね納得もしていた。


ふらふらと源素の枯渇から脱力した様子で、横になっているアイミの傍まで近づくと、力なく座った。


「私たちはきちんと理解できていなかった」


「うっ……」


アイミらには言い訳も存在していたのだが、しっかりと反省し、その事を受け止める。


「そうですわね」


そう言いつつ、この学園でライバルであったミヨの隣まで来ると、増えてしまったライバルを見下ろす。


「アイミさんだけがそれを理解し、最初から全力で立ち向かっていましたわ」


「あの子は戦闘に関してはずぶの素人。でも源素の使い方や、窮地からの機転は私たちにはないものを持っていた」


「そもそも、なんなんですの、あの源素の量はっ!」


「元々は、入園の為にここにきていた」


「レナン様の推薦なのは(わたくし)も存じていますわ。ですが、今は盗人(ぬすびと)、レナン様も騙されていたということでしょう」


「それはよくわからない。この子は、クラナディア様の推薦」


そう言いながら、寝ているアイミの髪を撫でる。


「ならば、三人が騙されていたと考えるのが妥当でしょう」


「そんな感じには見えなかった」


そう言われてしまうと、アミラもナカムラタダシという人間を感じた後では断言できない。


「訳が分かりませんわ」


それがナカムラタダシという存在の所為なのか、今起きている事件の真実なのか、謎は深まるばかりだった。


「どちらにしても、まだやるべきことが残ってる」


「そうですわね」


元々の問題はナカムラタダシを捕まえるという事だけではない。

あくまでそれは順番であり、根本的な解決には直結しない。


最終的には【ダモクレス】を取り戻すことにある。


「先生方は動けないという事なのでしょう」


「うん」


「【内外を遮断する壁(セヴァーオール)】の維持といったところでしょうか?」


「たぶん、それだけじゃない」


「ほかに何か?」


「アバレン・アレクに直接的な攻撃ができない」


それは国際的な意味合いが出てくる。


「ああ、なるほどですわ、戦争の引き金ですわね」


グデンクラトニアの聖騎士がどういう理由で【ダモクレス】を盗ったのかは不明だが、それを明確な理由もなしに攻撃すれば、争いの火種になる。


「お互いに言い訳が必要」


「相手方の言い訳はわかりませんが、こちらからすれば(わたくし)達生徒の勘違いで済む、というよりも済ませるといったところでしょうか?」


「おそらく。でもそれはイェール様に任せればいい」


「そうですわね。(わたくし)達はそれに応えればいいですわ。しかしですわ」


そう一番の問題は、聖騎士の中でも最強の一角といわれる存在に、聖騎士の卵である生徒達が立ち向かえるのかという事。


ただでさえ、一番弱いとしていたタダシに敗北した後でもあり、源素の量も残りわずか。


「勝つことよりも、取り戻すことに重点をおくしかない」


「ですわね」


ただ、どちらにしてもすでに二人でどうこうできる問題ではない。


しかし、ここは聖騎士を育成する機関、仮に対抗する手段があるとすれば、人海戦術による数の暴力の他しかない。


「……ひとつ、失礼を承知のうえでお聞きしてもよろしいです?」


「……同じ質問をすることになる」


悲しい現実が二人を襲う。



「……ご友人はいらっしゃいます?」



言い方をすれば、周りの影響を受けるよりも与える立場であり、追随を許さないと研鑽を独自で高めてきた。


「…………」

「…………」


現実的な意味合いで端的に言えば、孤立無援。


悲しい沈黙が回答となった。


「ま、まぁ、目的は一致していますわ」


「うんうん」


そんな二人をよそに後ろから忍び寄る影があった。


その影は二人の会話を聞き、ものすごく申し訳なさそうに近づいてくる。


その影をフォローするならば、決して盗み聞きをするためではないという事。

まさか、そんな話をしているなんて思わなかった事。


そして、このタイミングで話かけないと、話しかけ辛くなると意を決し話しかけた。


「あの、ちょっと――」



「きゃああああああああああああああああああああああああああああっっっ‼」

「ッッッッ⁉」



絶叫と無言で飛び跳ねる少女が二人。


「うわっぁああああああああああああああああああああああああああああっっ‼」


想像を超える驚きに、声を掛けた影までもが驚いて絶叫した。


そうなると、


「って、どうしてあなたまでも驚くんですのっ!」


驚いた恥ずかしさと、勢いで突っ込んだのはアミラだった。


ミヨは涙目になりながら、アミラのツッコミに賛同するようにコクコクと可愛らしく頷いている。


「す、すいません」


二人が驚いたのには二つの理由がある。


一つは影の気配が全くと言っていいほど感じられなかったこと。


もう一つは、その正体がナカムラタダシだったという事。


二つ目の理由は戻ってきた理由がわからなかったことだ。


「どうしているの?」


ミヨの当然の疑問に、


「あ、ははは、ちょっと提案をね――」


戻ってきたタダシは色々な思惑と、申し訳なさと、情けなさを抱えながら恐る恐る説明を始めるのだった。


そんなわけで、梅雨が早くも明けそうな6月が終わろうとしているなか、ぎりぎりの最新話UPになります。


ブックマークを外さす読んでくれている方、わざわざ”いいね”をポチっとしてくれている方に大きな感謝ありがとうございますと、遅い更新に謝罪(本当に申し訳ございません)をしつつ、まだまだ続く「異世界でものんびりと」をよろしくお願いいたします!


一応、活動報告にも何かしら書いておきました。

大したことは書いていないので読まないでも問題はありませんので、興味のある方だけ立ち寄ってみてください。


ではまた、文章のなかでお会いできることを願いつつ、梅雨にも負けない日々をお過ごしください。


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