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知らないおばあちゃん  作者: 鷹崎鮪
1/1

異変



「おばあちゃん、大丈夫ですか?」


そう言い、小学5年生になる由季は、道端で困っていた老人を助けた。


学校帰りの刻、あたりはまだ明るい。夕焼けが青い空と少し混ざったような空模様。周りは田んぼとまばらに散らばった家が点々としている。


老人を案内し終えた頃には、あたりはすっかり暗くなっていた。


ちょうどその時、兄の燎太が車でその道を通った。


「由季!どうしてこんなところにいるんだ?」


由季は、燎太を見つけるなりばつが悪そうに言った。


「えと、そのことなんだけどママには内緒にしててくれない?」


言いたいことは伝わってきた。別に親に言うほどのことでもないので言うつもりはない。


「そんなことより、あんなところでいったい何してたんだ?」


家からも離れた山の麓らへんで、しかも秋になって空はいっそう暗くなるのも早い。当然由季を心配した。


由季によると、道に迷ってしまったおばあちゃんを家まで案内していたということだった。


人助けだったので注意だけはしっかりした。


しかし、ここ数日由季の帰りが遅くなってきた。暗くなる前の帰宅だったからそこまで気にもとめなかった。


家には門限なんてものはなかったし、周りが田んぼと家しかないここは暗くなれば帰るのが普通だった。


家族は、由季のほかに小学1年の弟と親という5人家族で何か特別変わったことがある家ではなかった。











季節は雪の降る季節となった。学校は冬休みとなり由季も弟も家でゴロゴロしている。燎太は冬休みなので少し多めにバイトをいれて、近くの町まで出ていた。


町まで電車一本で20分の道のりとそこまで遠い訳ではないからバイト先はここ一帯に決めている。


その日、いつもより帰るのが遅くなった。終電は逃すまいと全速力で電車に乗り込んだ。冬だというのに吹き出る汗を鬱陶しくも思いながら、家に遅れると連絡を入れた。


今の時間帯だと、流石に由季も弟も寝てるかなと早くも家に帰ってからのことを想像した。


親にだけ聞こえるぐらいの声でただいまと言うが、家の中からは長い沈黙のみ返って来た。


普段と違う異様さに、顔を少ししかめながらリビングへと向かう。リビングに親の姿はなく、冷や汗がぶわっと吹き出すのを感じる。


子供部屋ならもしかしたらと思い飛び込む。子供部屋では弟がすやすやと寝ていた。燎太は胸を撫で下ろした。


けれど、ほっとしたのも束の間、部屋の異常な大きさに息を飲んだ。


「由季は....?」


焦りで思考がまとまらず家中を探し回った。鼓動が早く、大きく打っているのが自分でも分かるほどに。


「由季!」


燎太は不安を背負いつつも車にのった。田んぼが続いているため歩いている人がいればすぐ気付くはずだった。しかし、状況は帰ってくる時と何の変化もない。


もしかしたら、田んぼの中に..と最悪の状況を考えては、それはないと否定した。






もうどれくらい走っただろうか。いつの間にか家から離れた山の麓まで来ていた。


由季は人助けでこんな遠いところまで来たのか。そう思うと由季が誇らしくなった。


ふと、山に目を向けてみると、山の一点がほんのりオレンジ色に光っていた。その光はというと、一点で止まっているわけではなく、ゆっくりと頂上を目指して進んでいた。


今日はどこかの祭りだろうかと疑ったが、こんな寒い時期にそんな行事があった試しがなかった。


燎太はもしかしたらと由季の可能性を信じその光を追った。


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