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×2 少女の秘密  作者: 有栖川優悟
6/8

*拾肆

しのぶ

 あの二人って、本当は一体どんな関係なのだろう。おうぎちゃんは幼馴染だって、言ってたけど…。

「…ねえ、早苗さなえちゃん!」

「はい、何でしょうか」

「扇ちゃんと駿河するがさんって、本当に“ただの幼馴染”なのかなあ?」

「さあ…よくわかりません。幼馴染というよりは、昔、自分をいじめていた人に、再会したような…そんな表情でしたね、岸波きしなみさん」

 昔、自分をいじめていた人に再会した?――それにしては、「うわ、転校したらまたこいつに会っちゃったよ。前みたいにいじめられちゃうのかなあ…」といった感じの絶望感などは感じられず、むしろ嬉々として復讐を企んでいるようだ。確かに昨日扇ちゃんは、「復讐が生きる目的だ」みたいなことを言っていたし。

「…あ!扇ちゃんが復讐したい人って!」

「やっぱり、そうでしたか…その為に、駿河さんがこの学校にいることを知った上で…!」

「もし本当にそうなら、どうする?」

「多分、岸波さんに同調すると思います。…間宮まみやさんも?」

「私もかなー」

「なんか引っかかるんです。異形と無能力者ブランカーとの間に、まだ線が引かれてるような…」

「偏見受けたりとかね…私は偏見なんて受けたことも、こっちが持ったこともないから、よくわからないけど」

「それもどうせ印象操作でしょう。でも岸波さんは、平等を掲げているわけではなさそうですね」

「うん…正義感というよりは、個人的な怨恨えんこんに近いのかな?」

「でしょうね。でも、岸波さんは悪い人ではないと思うんです。復讐のために無関係な人々を巻き込む事はないでしょう」

「だよねー…でもさ、周りがどうであろうと自分に従うという生き方って素敵じゃない?自分のアイデンティティを奪われて平気な人なんて、いる訳がないもん」

 二人の間に何があったのかはよくわからないが、とりあえず私は扇ちゃんを信じよう。



***



「ねえ皆、今度夕食に行かない?」

 提案したのは穂香ほのかちゃん。

「いいけど?」

「『肉バル 肉ソン大統領だいとうりょう』ってところなんだけどさ、毎月二十九日になんかのメニューが半額になるんだよ」

「…あっ!確か、なんかのテレビ番組のコーナーで紹介されてたとこ?」

「そうそう、そこ!」

 にわとりの一枚肉を贅沢ぜいたくに使用したレトルトカレー「肉デカチキンカリー」や、北海道ほっかいどうの地形をドットに見立てた「北海ドット」など、話題の商品を次々と生み出しているとか。

「それで、どんなお店なんですか?」

「えーっと、『さまざまなタイプの個室を完備する店内は、デートにも利用できる。肉の盛り合わせ、タンドリーチキン、ステーキなどが味わえる』だって。営業時間は十六時から、二十三時半」

 穂香ちゃんが、スマートフォンの画面を見ながら答える。

「それ結構条件良くね?」

「もう、神楽かぐらちゃんってばー…」

「合コンや女子会とかのプライベート利用に最適なボックス席は六名までOKなんだって!」

「それ最高じゃない?私と、穂香ちゃんと、間宮ちゃんと、岸波ちゃんと、時坂ときさかちゃんと千石せんごくちゃんでちょうど六人だし」

「あっ、そっか!扇ちゃんの歓迎会と称して、行っちゃわない?」

「遅っ!もう六月になっちゃうよ!」

 そう、五月も後半になっている。

「四月さ、バタバタしてたじゃない?だから仕方ないよー」

「もうそれでいいじゃん!えっと、岸波さん空いてる?」

「うん、大丈夫だよ」

「間宮さんは?」

「大丈夫」

「千石さん」

「私も、平気です」

陽菜はるなちゃん」

「空いてるよー」

「時坂さん」

「二十九日?大丈夫!」

「私も空いてる、よし決定!」

 かくして私たちは、来たる五月二十九日に「肉バル 肉ソン大統領」にて扇ちゃんの歓迎会をすることになったのだった。

(協力:肉バル 肉ソン大統領 様)

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