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 撃鉄を起こし、引き金に指をかけた状態で銃口をこめかみに押し当てて来る。命乞いの言葉が口を突くことはない。むしろ悪態が口を突いて出た。そいつはそんな言葉に意味は見いださなかったらしい。こめかみに残る銃口の熱さを、まだ覚えている――

「おう。おかえりー」

「ただいま戻りましたっ! にぃさまっ」

 タヌキからムササビに鞍替えしたのかと思うほど、タヌキは勢いよく飛び出した。

 村山の頭を後ろ蹴にして。


 ひたすらに自転車を漕いで二時間ちょっと、行きよりも帰りが怖いというのは本当らしい。会社員達の帰宅の波に、自動車運転手達の視認性が落ちだした頃合い。小さな交差点での一時停止不履行車が増えて危ないことこの上なかった。

 帰るまでが遠足ですよ、とはよく言ったものである。別段遠足が嫌いなわけではないが、自転車で二時間、往復で四時間と少しかかったのだから体力的には既に遠足などではなく修行というかとか、そういう……

「強行軍、お疲れ」

「……ああ、はい。それです」

「……どれだよ」

 村山は心の中の声がそのまま口から出たことに後になって気がついた。流石に変な顔をされたのだが、わたわたと落ち着かない風に「そう云うことが言いたかった」と言ったところ、弓張は鼻で返事をした後に納得した様だった。

 それよりも、問題なのはタヌキが黙ったことにある。いや、もっと根本的な問題が、タヌキが黙った理由が気になる。弓張が持っている『結婚式のススメ~貴女と素敵な未来のために~』とかいう意味不明な本を、怠そうにソファーに寝転がりながら読んでいるのだ。

『ご予定でも?』なんて言えるだろうか。

「にぃさまっ! なんでこんなもの読んでるのよっ!」

「うおっ」

 持っていた本をひょいっと持ち上げて避ける。タヌキが本に噛みつこうとしたからだと言うのは流石に村山にも解ったのだが、弓張がその本を大切にしたがる理由がわからなかった。借り物か、本当に必要だから読んでいるのか……いろいろと考えてみるが、もし居るのなら弓張の相手の方が気になるので、本を引き合いにその辺りを訊ねてみるのが――

「危ないな、遺留品だ。そもそも俺が誰と結婚すると思ってるんだ、お前。一番最初に云うだろうが」

 結婚報告を最初にする相手と言うのがタヌキというのはちょっと……どうなのだろうか。

 それに、聞きそびれていたがタヌキが弓張の事を「にぃさま」と呼んでいるのはなぜだろうか。すごい今更感があるので訊くに訊けないのだが……その前に、一つ。

「滝川警部はどこに……」

「昼にあった事件で死人が出たんだよ。その遺体を預かって担当させられてる。かなり酷かったな」

「……」

 結婚情報誌を怠そうに、更に云えば明らかにどうでもよさそうな顔で読み込んでいるのをタヌキと一緒になって眺めるほか無かった。

 滝川が与えられた遺体のが酷いというのは……まあ、なんだ、そういう状態なのだろう。

 それは良いのだが、もう一つ。

「警視、どうして警視が遺留品を持っているんです? それ、その事件のヤツですか」

「ああ、ちょっとコッチ側に関係あってな。犯人が空を飛んだらしい」

「……は?」

「そらを―― こう…… んー、びゅーんて」

 読んでいた結婚情報誌を放り投げ、寝転がったままタヌキを両手で持って子供や犬猫をあやすように飛行機の図。どうしてかタヌキが笑いながら楽しそうな声を上げている、子供かと。

 そんな、まさか人間が空を飛ぶとか……

 いや、飛ぶな。飛んでたな。そういえば。

「それより、そちらさんは?」

「あ、えっと……解決したような……してないような……良く分からないような……」

「そうか――」

 あまり残念そうには聞こえなかった。どうしてか弓張はタヌキを宙に抱えたまま喋り続ける。その姿勢でそういう事を続けて辛くないのだろうか。

「それはそれでいいんだが――」

「良いんですかっ?」

 弓張の言葉を聞いて村山は驚いた。良いらしい、それはそれで良いらしいのだ。

 警察が事件をちゃんと解決しなければ誰がするのか。そもそあんなモノに関われる人間は弓張や滝川しか村山は知らない。それに、タヌキを追加しても良い。そういう得体の知れないモノに対応するための係ではないのか。そういう話を聞いたはずなのだが……

「うちは捜査するだけ。犯人をどうこうだとか、逮捕とかしなくて良いから」

「……そうなんですか?」

「そうなんです。実働部隊も別にあるからそう云う事は、そっちに任せておけば良いんだよ」

 親指でタヌキの脇腹を擦っている。タヌキ悶絶、げらげら笑いながら止めてくれと懇願しつつも、どうにも楽しそうだった。

 署内の北側で、雑用を押しつけに来る以外は誰も来ない閑職係とは言え、タヌキがげらげら笑っている所を誰かに見られたらどうするのか。流石に説明が――

「それで。その子、誰」

 弓張が村山の方に視線を寄越す。誰と言われても、俺ですとしか答えようのない村山だったのだが……

「あっー! アンタ、何で居るのよっ」

 タヌキが大声を上げ、更に弓張の手から暴れて抜け出し、村山の目の前にあった何の利用価値も見いだされていない灰色の机に飛び乗った。そして、尾の毛を逆立てている。

「お兄様、わたくしもだっこ……」

「えっ」

 そう言葉を掛けられて、初めて気がついた。

 村山のスーツの上着を指先で小さく掴んで、綺麗な顔立ちをした少女が懇願するように上目遣いで村山を見ていた。誰だ。

 いや、知っていた。村山はその少女に見覚えがある。

 正確には、着ている黒いワンピースのドレスに。

「なんなら椅子に座っているお兄様に、わたくしが『がに股』で正面から抱きかかえられる高い高いプレイでも――」

「え、ちょ―― キミ何云ってるのっ」

 『凄い勢いで飛んだ。やっぱ、人間も飛べるんだよ』弓張談。

 上着の裾を摘んでいた手をものともせず、飛ぶようにして村山はその少女から逃げた。逃げたと言うよりも完全にビビっていた村山。

 薄い雑対係の扉は開けると音がする。木がたわんでそれはもう『びよーん』と言っても差し支えない変な音が。更に警察署である。午後八時を既に過ぎている時間に、簡単に入れるはずがない。人目を盗んでなんとか入り込んだとしても、この雑対係に至るまでには人の出入りの激しい刑事課や生活安全課の前を通ることになる。無理だ、村山自身誰にも見つからず入り込めた試しがないのだから、絶対に無理なはずで……

「最初からそこに居たぞ」

「うそっ! あたちだって一緒に――」

「わたくしがタヌキごときに遅れを取るはずありません」

 少女がドヤ顔で両手を腰に当てて、タヌキを睥睨する。

「ふーっ!」

 しっぽの毛を逆立てたまま、姿勢を低くして攻撃体勢第二へ移行したタヌキ。

「そちらの方がずっとわたくしを見ていらっしゃったので、隠れている意味も無いかと……」

 引きつっている。顔面が、引きつっている。村山は今までにないくらい自身の表情筋の動きが解った。凄い、良く分かった。

「さ、最初から居たんですか」

「だから云ったろ。そちらさんはって」

「……」

 確かに言っていた気がする。それでもその意味は『そちらの結果はどうだったか』と訊かれたのだと思っていた。

「そちらの本はわたくしとお兄様の為に?」

「んあ、ご予定が?」

「ええ」

 弓張のソファーの横に落ちていた結婚情報誌を指して少女は訊ね、それに当たり前のように弓張が言葉を返す。

「お嬢さんお幾つで?」

「二歳です」

 無理だろう。どこからどうみても十歳くらいだろう。この歳でサバを読むのか、なんて変な話だと村山が考えていると。

「そうか、でもこの国の法律では男女ともに十八歳以上じゃないと婚姻がな」

「そ、そうなのですか。仕方ないですね、こうなってはわたくしがお兄様との、既成の事実を孕んで――」

「おおっ」

「ちょ、ちょちょっ! 何言ってるんですか、変な会話続けないでくださいよっ」

 何となく危険な感じがした。ひしひしと、こう言いようのない冷たさを持って村山の心臓辺りに指を突っ込まれるような、気持ちの悪い感覚が。最悪、弓張に取り入ってこの少女が――考えないようにしよう。うん。

「こ、この子が元凶だったみたいで……」

 つつつと村山の方に戻ってきて当たり前の様に後ろに回り、右後ろに陣取ってそっと村山の上着を掴みなおす少女。ここが良いと言外にアピールし、更に村山を挟んでタヌキと対角線上の位置だった。一応警戒しているらしいのだが、これが前門のタヌキ後門の――

「その、キミは何なの?」

「なんなのって……そんな。先ほど公園であんなに激しく転げ回って――わたくしは、遊ばれたんですね……」

 よよよ、と言い出しそうな泣き真似を見せるのだが、村山の上着に顔を埋めての行為なので完全にふざけているのが手に取るように解った。

 そんなことよりも、ちゃんと撤回しろ。

「……ろ、ロリコンなのね」

「はっ! ちょ、ちがっ」

 振り返るとヤツが居た。交通安全課の松田巡査である。ちなみに女性、年齢は二十一歳だとか。そんな女性に、十歳くらいの女の子が不穏当な発言を繰り返す光景を見せたら、聞かせたらどうなるだろうか。もちろん、面倒なことになる。

「せ、生活安全課の性犯罪担当の横井さんで殴ろう」

 右手と右足を同時に出して廊下を歩き出す。開け放たれた雑対係の唯一の出入り口からその始終が見えた。言っていることの意味が全くわからなかったが、流石に訂正せねば村山の明日が無い。

「ちょっと待って。ちょっとぉっ」

「ああん。お兄様お待ちになって――」

 がしっと村山の腰に抱きついてきた少女の腕力は相当だった。村山もこれより強い腕力で締められたことが何度かあったのだが、下手をすればこの少女の本気の力はそれに匹敵してしまうのではないかと思うほどに強かった。流石に圧迫されて動けないという事もなかったのだが――

「ちょっと止めて、今俺行くから。止めに行くんだって――」

「ああん。お兄様、わたくしもイキますぅ~」

 村山の腰に抱きついて、更にしなを作って媚びる。これで少女の歳が村山に近ければ、ぐっと来るものもあったのかも知れないが、見た目十歳程度の少女にそんなことをされても、村山は一切そんな気にはならなかった。

 だが流石に……

「お兄様の腹筋、意外にあるんですね……うふっ。うふふ」

 白い真珠のような指で上着の裾から手を突っ込んで、シャツ越しに腹をなで回す少女。この歳でそういう性癖があるのかと、村山は恐怖するほか無い。

「やめ、やめてっ」

 机の上に借りてきた様に大人しく座り、タヌキがどん引きしていた。


 地上一階で得体の知れない少女にセクハラを受けている男性警察官が居るなどとは誰も思わないだろう。その直下、地下一階には車両駐車場、警察犬の犬舎、遺体安置所兼検視室、他にもボイラー室など、暗所でも問題の無いような施設が存在する。

 犬舎は一応だが明かり取りの窓が付いているので、地下にあって暗闇に閉ざされているわけではない。犬の生活リズムや視力を慮っての設計施工になっている。

 だがこの建物を、施設を主に使う人間にはそう言った配慮がないという、良く分からない労働環境だった。そんな設計に最も辟易の色を隠さないのは駐車場利用者でも、犬舎を利用する警察犬訓練士でもなく、地下の施設を長時間利用するのに、廊下などの供用通路まで暗いことに不満だったのは検視官達だった。

「ん~、疲れるね」

「そんなに丁寧にやるからですよ」

 赤ん坊と間違えそうな程つやつやした肌に脂乗りのいい下っ腹をした初老の男性と共に、滝川まりね警部はある遺体と対面していた。

 八月も中頃を過ぎた。それなのに部屋は利用しない一般人が入れば「冷房が効きすぎているのでは?」と、公僕の無駄遣いを指摘する様な設定温度十八度度という、真夏にあっての冷温下に居た。もちろん、温度設定は遺体の腐敗を遅らせるための管理温度設定でもあるのだが、この検視室の長である初老の男が無類の汗っかきだと言うこともあるのだろうと、滝川は勝手に想像していた。

「ふーっ! 手に汗握るね」

「流石に、コレはあたしも握っちゃいますね」

 遺体の処置を中断し、ゴム手袋を外して近くにあったガーゼで汗を拭き取り始める検視長。それは、そのガーゼは遺体から出る「なにがしか」の為に使うモノであって、おっさんの脂汗を拭くモノではないのだ。だが初老の男性、刑事課鑑識係の森田警部曰く「ガーゼは俺の消耗品」らしい。

 滝川は毎度のことなので既に気にしなくなったのだが、経費として使い捨てのガーゼを計上しすぎ、鑑識係検視官達の肩身が狭いことに多少の同情を覚えていた。一度、ハンカチを自分で持ち歩くことを勧めたのだが「習慣が無い。そもそもハンカチなぞ持っていない」と満面の笑みで断られた。

 そんな汗だるまの森田警部と、細い黒縁眼鏡を掛けた滝川警部は面を付き合わせ、薄暗い検視室の中、二人の真ん中に横たわる遺体を『ほどいて』いた。

 人体の皮には繊維が存在する。

 表皮、一般的に人間の肌とはこれの事だが、一ミリ以下の体表面の皮を表皮と呼ぶ。ちなみにこれが代謝して剥がれ落ちたモノが垢である。

 それに対し、人間の大半を占める本当の皮とも言うべきものを、真皮と言う。これは表皮の下に存在し、皮下組織を守る役目を行っている。更にそれだけではない、熱や冷たさと言った外部刺激を感受するための神経が通っているのも真皮であり、真皮自体の構成物質はコラーゲン、ヒアルロン酸など。

 そのコラーゲンなどの物質が繊維状に結合されているのが真皮という皮膚組織の一つで、森田警部と滝川警部が躍起になって『ほどいて』いる繊維質がコレだった。

 ただ、通常の人間の皮とはひと味違う。

 二人の前にあるのはどうにも、シュミの悪いオブジェか何かのようなモノだった。

 人間の腹に、捻れた繊維で形成された球体がある。しかもその大きさがバスケットボール大というふざけたシロモノで、更に複雑怪奇な構成のため二人がかりで『ほどく』のは途方もない苦労に思えた。

 なにをふざけたことを、そんな繊維、元々人間の皮膚なのだからメスか何かで切ってしまえば良いのでは?

 そう思うのは確かに合理的かつ端的な話なのだが、この遺体の場合合理性や短絡的な発想で語れるような状態ではなかった。

 この遺体の発見時、その腹の上にカードが置かれていたのである。

『ガンバッテほどいてね(はーと)』

 ハートマークの存在を知らないのか、ふざけているのか解らないが、実際に「かっこはーとかっことじ」と書かれていたのだから犯行動機が愉快犯として見られても仕方がない。

 実際、犯人は愉快犯だった。

『あははっ、ティを捕まえてごら~ん』

 目撃者の眼前で現場に遺体を放置して、満面の笑みで中世ヨーロッパの貴族のような格好をした男がそう言い残し、宙に飛んだらしい。

 ふざけた話である。

 そう思ったのは世間一般の警察官や司法関係者であって、滝川まりねはそう思わなかった。滝川が一番最初に思いついたことはただ単純、自分が呼ばれるんだという想定できる未来だった。ふざけているとか、目撃者が麻薬や覚醒剤を使っていたのだろうなどとは一切疑わず、ただそう思った。

 そして、実際に今こうなっている。

『ガンバッテほどいてね(はーと)』

 ふざけるなと。当たり前のように最初、森田と滝川はメスを入れようとした。

 実際にあてがって、引いた。コレで切れるはずだったのだが、二人の耳には黒板をひっかく様な異様で嫌な音がした。その音の後、捻れたバスケットボールの様な肉塊には傷一つ無く、代わりにメスの、カーボン製メスの付け替え刃がボロボロになった。

 二人は絶句した。

 何かの間違いだろう。元々メスの刃がボロボロだったのだ、替え刃式なのでグリップ部分からボロボロになった刃を取り、新品のカーボン製の刃を取り付けた。

 肉塊にもう一度、刃を入れた。替え刃が、ことごとくダメになった。

 最後の手段として滝川まりねは『文字通りガンバッテほどくこと』を提案し、今に至っている。そして、そのがんばりは既に二時間を経過していた。

 本当は数分手伝って、すぐにでも弓張と共に村山の居る公園に行く予定だった。その予定が二時間も狂ったのである。二時間もの間、遺体と格闘する羽目になったのはひとえに、その遺体の異常性にある。

「どうなってるんだろうねぇ~」

 森田は出っ張った腹に腕を載せるように両手を組んでいた。その手には医療用の手袋は無い。自分にはお手上げであると滝川に告げていた。

「はぁ……」

「太さ約一ミリ弱と云ったところの繊維質が、こうも手強いと思わなかったよ」

 太さ一ミリ程度の真皮組織が緻密に、丁寧に編まれていて解きほぐすための『目』が見つからなかった。更にその一ミリ以下の繊維質の紐の強度がカーボン製メスの刃を一瞬でダメにするほどの硬度と弾性を持っている時点で、二人にはお手上げだった。

 なんなら頼み込んで緊急時、車両などをこじ開けるために使われる大型の油圧救助器具を借りようかとも思ったのだが、遺体にそんな大それたモノを使用することを滝川の良心が拒んだ。それに、そもそも上の人間が『遺体の腹をこじ開ける為の、油圧救助器具使用許可』を出すはずがない。

 滝川は遺体を眺めやる。全身の皮膚が、表皮と真皮が剥がされていた。いや、それは一部だけ残っている。腹部に向かって腹部以外の全身の表皮、真皮全てが剥がされ、腹部に集められてバスケットボール大の肉塊を形成している。剥がされた部分はさながら人体標本のような状態で、皮下脂肪や筋繊維が文字通り、手に取れるほど良く分かる。

 そしてなによりこの遺体に油圧救助救助器具を用いたくない理由は、女性だったからと言う理由である。ただ女性だから用いない訳ではない『妊娠している』から用いたくないのである。

「気の毒だよね。妊娠していて、数日後には結婚式を控えていたって云うじゃない」

 他人事のように話す森田のことを、滝川は唇を強く噛みながら無意識のうちに睨んでいたらしい。

「あ、おっと。そういうつもりじゃないんだよ。感情移入しすぎないように、客観的な視点が重要だろう?」

「……そうですね。あたしが……間違ってるんだと思います」

 そんな滝川の言葉を聞いて、森田はどうにも笑いたいような泣きたいような、複雑な顔をしてため息一つの後、

「簡単に割り切らない方が良いよ。元々こちら側の人間では無いのだから」

 森田が言う、こちら側の人間ではないと言うのは『空を飛ぶヤツが、人間をこんな風にした』事実を本当のことだと理解しているという意味ではない。元々滝川が働いていた、目指していた世界とは違うという事を言いたいのだろう。でも、割り切ることを諦めたとして、目の前の彼女を諦めようとは思わなかった。

 その異常な繊維質をほどくための『目』が無い。バスケットボール状の、その皮膚の固まりは一見して確かに気色の悪いオブジェか何かのように思える。これが和紙で出来たスタンドランプとかなら有用性と芸術性を高く評価出来たのだろうが、人体の皮を使って遺体の上に創作されたのなら芸術でもなんでもない。単なる狂気だった。

 滝川は思考する。

 弓張ならどう考えるのかと。弓張はアレで居て意外に考えているのだと言う事を知っている。村山には、後輩には何のことか解らないと言われたが、滝川自身は弓張の事を、年下の上司の事をいたく信頼していた。

 まず全体像を見るだろう。弓張は最初に相手の思惑を量るために全てを見る。

 今まさにある全体像は、犯人が男、被害者は女性、それも妊娠中。腹部以外の皮が剥がされていて、その皮が腹部で編まれて球状のオブジェを形成している。そしてその球状のオブジェの硬度が、弾性が異常だという事。そうなれば――

「他の場所を切りましょうか」

「良い考えだと思ったけど、この通りだよ」

 素手でメスを掴み、左足の太ももを小突いていた。切っ先が大腿四頭筋という人間の最も大きな筋肉を小突いて、硬質な音を返していた。そしてすぐに切っ先を掲げると、案の定、切っ先が欠けていた。

「これじゃあとても――」

「いえ、内側から切ると云うのは」

「ん?」

「試したのは今、目に見えている部分だけです」

「というと、口の中からとか――」

「ええ、こちらとか」

「任せるよ」

 森田は流石に自分の出番ではないと悟ったらしい。

 手袋を付け直すことなく、肩をすくめて、おどけてお手上げだと主張していた。


「ちょっとっ、いい加減にしてくれって、ちょっ――」

「ふへっ、ふへへっ」

 結局、松田巡査を追いかけることが出来ず、雑対係に村山はいた。

 相変わらずタヌキはどん引きしたまま口をあんぐり開けて村山と少女を見ているし、弓張は弓張で『別段なんでもない風』に結婚情報誌を拾い上げ、目を戻していた。

 ワレカンセズー、ヒボウリョク、フフクジュウ、ムトンチャクーの図らしい。

 更に、村山が少女に「襲われている」間、タヌキが机の上でジリジリと村山と少女から離れるように後退っている。理由は単純、

 金属音がしたと思うと、村山のベルトが奪われた。

「うふふ、ふふっ」

「はぁっ! ちょま、えっ! 何っ! 怖いっ」

 もっと怖いのが少女の力だった。

 自慢じゃないが村山はその体躯に自身がある。大学四年間を通して水中の格闘技こと、『水球』をやっていたからである。水球とは、プールの中で行われるハンドボール。

 ルールはハンドボールやサッカーに似ているのだが、他のそう言ったフィールドスポーツに対して反則、ファールが多く、人との接触が多い。故に、ある程度鍛えていないと怪我の原因になったり、単純に『アタリ』負けしてしまうのだ。

 だからこそ、村山はその身体能力があるからこそ、警察官としての職務にある種の楽観と自信のようなモノを抱いていたのだが……

「ぬーげ、ぬーげっ」

「脱がしながら云うなっ」

 腰にしがみついた痴少女に、完全に負けている事が怖くて仕方なかった。

 穿いていたスーツのパンツホックを外された瞬間、温情が与えられた。

 パコーンッと、それはもう擬音がぴったりと相応しい様な音が村山の尻辺りから聞こえた。ついでに、かわいらしく、

「あいたっ」

「こら、いい加減にしておけ」

 弓張がいつの間にか座ったソファーから立ち上がり、痴少女の頭を結婚情報誌を丸めて叩いていた。それほど分厚くは無いのだが、弓張の腕の位置は完全に振り抜いている様に思えた。

「何をなさるのです……」

 ちょっとだけ涙目になりながら、少女が真珠のように白い手で、両手で頭頂部を押さえていた。ちょっとかわいそうだな、と村山が思ったのだが、

「もう少しで既成事実が――」

「警視、もう一発お願いします」

「ひっ」

 結構痛かったらしい弓張の一撃を、少女は本当に恐れているようだった。そんなおしかりを受ける少女を見ながらホックを留め直し、奪われたベルトをそそくさと着け直して、村山は少女に問いかけた。

「キミ、本当になんなの?」

「ですから、わたくしはお兄様の嫁――」

「ぶっ飛ばすわよ」

 タヌキが真顔で、しっぽの毛を逆立てたままそんなことを言った。元々真顔だったと言うか、タヌキの顔面には人間ほど表情筋が多くないので感情表現がそれほど多くはない。それでも、尻が如実に苛立ちというか、敵対心を表しているのだから流石の少女も素直に答え始めた。

「名前は」

 村山が訊ねても少女がふざけているようにしか思えなかったらしく、弓張がいつもとは違う声音で訊ねた。

「……その……、む、村山マミと申します」

「村山って……」

 明らかに村山慶次の村山を取って付けた名前である。それをおずおずと答えたのだから、弓張は別に疑いはしなかった。疑ったところで意味はないのだと、弓張は気づいていたからでもあるが。

「その、しんじゅと書いてマミと申します」

「……ああ」

 真珠。そういえば、そうだったか。それを付けたのが『村山』だった、と言うだけの話ではないのか。しかし、村山は「しんじゅ」と名付けたはずだった。けれど――

「村山、マミって読むの?」

「はい、お兄様っ」

 先ほどまで弓張の一撃にビビっていたのだが、村山が少女に話しかけた途端、一瞬で顔面が華やいだように笑顔になった。村山はそれをどう直視して良いのか解らず、そっぽを向いたのだが、タヌキと目が合い――

「あによっ、あたちの方を見んなっ」

 四面ではないが、二面楚歌の様な状態。流石に歌は聞こえたりしないが、罵詈雑言や、異常なまでのアイの言葉を受けるという意味不明な状況にあって、村山は身の置き場に困った。

「それで、人で居る理由は」

「……」

 弓張が訊ねた質問の意図が、良く分からなかった。しかしそれは村山自身、理解していることに嘘をついている。自分自身に嘘をついている事と、同義だった。この得体の知れない少女のことを、村山は――

「い、良いんじゃないですか。悪いことさえしなければっ」

「お兄様っ」

 黒目の大きな瞳を輝かせ、真っ黒なドレスの少女は村山にしがみつき、上目遣いで全開の笑顔だった。

「良いんですねっ」

「大人しくしていてくれれば……」

「むーぅ」

 両頬にため込めるだけ空気をため込んで膨れっ面を強調する少女。確かにかわいらしい行動ではあるのだが、どう考えても『計算尽く』でやっている行動にしか見えない。実際そうなのだろうし。それに、少女自身、先ほどまで「大人しくしていなかった」という自負はあるらしい。

 だが村山の言葉に納得したのは少女自身だけで、弓張もタヌキもそうではないようだった。

「で、本当のところどうなの」

「……むぅ、この方は食い下がって来ますね。解りました、わたくし包み隠さずお教えいたします」

 最初からそうしてくれ。村山は自分がどうして少女のことを変に庇ったのか自分自身で不思議で仕方なくなったが、そんなことはもうどうでもいい。本人が答えるというのだから、全部、洗いざらい喋って貰えばいい。

「人で居る理由。それはわたくしが生まれた理由そのものです」

「ほーん」

 弓張の怠そうな事。少女がふざけている時には自分は真面目くさって話していた癖に、少女がちゃんと答えようという段になれば自分はふざけているというか、だらしないというか。そういう態度でいて答えてくれなくなったらどうしてくれるのか。

「誰でも良かったのか」

「いえ、そう云うわけではございません。やはり、お兄様が――」

「わーった、わーったから。真面目に頼む」

 どっちが真面目ではないのか村山には良く分からないのだが、弓張が言うのなら真面目ではないのが少女の方なのだろう。

「その、元々は信仰の対象だったんです」

「うん、それで」

「わたくしは元々『カラス』と人に呼ばれていて――」

「はぁっ、カラス? あの、公園にいた?」

「はい。お父様とお母様もあの場にいました。お兄様のことは良い方だと――」

「はあ、そうっすか……」

 曰く、少女はカラスらしい。生まれ変わりなのか、カラスそのものなのか……というか、お父様とお母様って、カラス、ですよね。良い方とかそういう事をカラスに言われても、どういった意味で良い方なのか詳しく伺いたいのですが。

「はい。ですからお兄様のお嫁にと――」

「ストップ、ストップ。それは要らない話、いらなーい」

 タヌキに「ひっし」とか言われ、げらげら笑われたのだがこの際それはもう良い。

「あの、そもそも信仰の対象って――」

「そのままの意味だろ。信じ、敬われて、崇められたんだろ?」

 村山の疑問は、どうしてか弓張が答えた。何でも答えると言っていた少女を差し置いて、何を言っているのかとも思ったのだが、その少女がなんと肯定した。

「はい、わたくしその……実は他の方達とは少々毛色が違ったようで」

「ああ、なんか解る気がする」

「たぶん、そう云う意味じゃねぇと思うぞ」

 また、村山は弓張にさされた。だからどうしてこの子が言っている事がそんなに手に取るように解るのかと。まあ、村山よりも詳しいのだからそりゃあ場数も経験も、何もかもが上だろうが一切語らないまま言い切られても――

「アルビノだろ」

「?」

 少女は弓張の言葉に小首をかしげてしまった。解らなかったらしい。少女に解らない言葉だったのだが、どうにも村山にも解らなかった。カラスの――言語か何かですか?

「あー、えっと。体の、羽根の色が白かっただろ」

「は、はい。どうしてそれを――」

「先天性白皮症とか先天性色素欠乏症とか、まあなんだ、元々真っ白になって生まれてくる個体が居るんだよ。カラスも、人間も、それ以外の動植物に見られる。突然変異ってヤツだな」

「えっと、白い蛇とかライオンの白いヤツとか、白イルカとかですか……」

「まあ、そうだなそういうのの中にいるかもな。俺も良く知らん。元々白い動物も居るから、全てが全て突然変異とは俺には云えない。学者じゃないからな」

 それでも、そんな無駄な知識どこで仕入れてきたんですかね。

「たとえば白い蛇信仰って云うのは明らかに先天性異常の動物を信仰したものだ。だった記憶がある。たぶん――」

 えらい弱気だなぁと思いはしたものの、黙って聞いた方が良さそうだった。他でもないカラスだと自称した少女が、弓張の言葉を真剣に聞いていたからだった。

「希少性を神聖視する傾向があるから、見つかればその度に崇められたり敬われたりするんだ。蛇やカラス、それ以外でも本人の知らないところで勝手にな」

「はあ、それでこの子がどうしてアルビノで、人間の姿なんです?」

「そう信仰されたからだろう。崇められて、敬われて、信じられたんだろう」

「いや、なんの解決にも……」

「ああ、解決しないな。でも、うちの係ではそれでいい」

「なんか、無責任じゃないですか?」

「じゃあそうだな。これは俺の推論だ、あくまでも推論。事実ではないが良いか」

「この際なんでも良いですよ。ソレっぽい答えなら」

 納得できないので、もう弓張の推論を結論というか、決着点にしようと思ったのだ。

「人間を観察して、学習する能力を長年有してきたカラスだ。人間のある行動を観察し、学習したんだ。あらゆる宗教の施設で人間の『信仰』するという概念を『学習』したカラスが居たとしよう。教え、広め、そして信仰する際には象徴が必要になる」

 カラスがどうして人間の宗教に興味を持つのか理解できなかったが、確かにカラスが居ても別段不思議ではない場所でもあるだろう。大抵、宗教関連の施設には木が植えてある。神社仏閣なら御神木だのと敬われ、大切にされているように、木々が敷地内に植えてある場所は多い。カラスが群れてそこに居ても不思議ではない。むしろコンクリートやアスファルトに覆われた道が多い街中にあって、土がむき出しで食物になるような雑草が生え、虫が居る場所は公園か、緑化して街路樹のある場所か、あるいは『そういう』場所なのだろう。

「それが、この子だと?」

「アルビノや、先天性異常のモノを信仰の対象とする事は多々ある。さっき云った蛇だとか、ライオンとかな。他にも手の指が六本以上ある多指症だったり、先祖返りと呼ばれる尻尾が生えた人間とかを信仰の対象にする事がある」

 そう言えば昔、どこかの国で手の指が六本ある少女が神様の生まれ変わりだのなんだのと――

「詳しいですね」

「ああ、ちょっと調べた事があってな」

 弓張の言う『ちょっと』とは、絶対に世間一般で言う『ちょっと』では無いのだと村山はなんとなく思った。思っただけではなく、それがどういう意味なのかを覚えておこうと。

「だから願望なんだろう。自分たちが『こういうモノだったら良い』という願望を、この子に投影したんだよ」

「それで、人間の形なんですか」

「それがどうしてなのかは解らない。ところで話は変るが、昨日、村山が云っていたことに違和感があってな。関連してくるかも知れないんだが――」

「なんです? 勿体ぶらないで教えてくださいよ」

 やめてほしいのだ。そういう思わせぶりな話し方は。面倒くさい上に、ややこしくなるばかりなのだから。それでも、上司は、弓張は止めるつもりはないらしい。

「俺はお前に子供達ときゃっきゃうふふして来いとしか云ってないんだよ。お前、どうして増えるって知った」

 そう言えば、弓張には言っていなかったことがある。

「えっと、三島隆巡査部長という方に聞きまして」

 そこまで村山が言うと、なぜか凄く嫌そうな顔をして弓張が「あ、ああ。それで?」なんて言う。どうして嫌そうな顔をしたのか、全く解らなかったのだが――

「ええっと、千穂環状通派出所の所長さんなんですけど」

「ねぇよ」

「は?」

「そんな派出所ねーよ。俺、千穂公園周りの地理に詳しく無いからな、行くのなら辺りの地理も知っておこうと思って調べたんだ。そんな派出所は無かったぞ」

「……いやそんな、だって――」

「どうしてそいつの話を信じたんだよ」

「け、警察官の制服を――」

「今時そんなの裏ルートで本物も手に入る。バッチは、バッチ見たのか、身分証明に怪しいところは無かったのか?」

「……い、いえ。見ていないです」

「……こゆり」

 机の上にきょとんとしていたタヌキが、弓張の低く唸るような呼びかけに身震いするようにそっぽを向いた。なんだ、タヌキがなにかやらかしたのかと思ったら――

「ち、違うのよ。にぃさま、あたち保健所って云われて……その、こ、怖くて……」

 そう言えば、そんなことを言われて思いっきりビビっていたなぁと思い当たる。しかし、それを弓張はそのまま受け取らなかった。

「タヌキはな、野生なら保健所には連れて行かれないんだよ。山に返すの」

「そ、そうなんですか」

 野生以外であれば飼われているタヌキしかあるまい。だが、飼われているタヌキ自体、絶対数が少ないらしい。そういうタヌキはすぐに飼い主が解るようにタグを付けるらしいのだ。なんせ、タヌキの飼い主――に相当する弓張がすらすらと言うのだから、間違いないだろう。そうなると――

「こゆりが保健所で殺処分されそうになった件を知っているヤツが、こゆりの動揺を狙って云ったんだろう」

 そんなことがあったとは知らない村山だが弓張とタヌキには大事な話らしい。それに、タヌキの事を知っているという事は――

「どうやら、俺が嵌められる予定だったらしいな」

 相手の誤算だったのは、村山がタヌキを連れて公園を訪れたことだと、弓張は付け加えた。そうだとして、その事実を知っているのは大勢いるとのこと。その弓張の言う大勢というのも世間一般で言う大勢とは違うのだろうが、その数を村山が推し量ることは不可能だった。

 弓張が考えに落ち込んでいるというのに、村山は結構な力で袖を引かれた。

「お兄様、お兄様」

 満面の笑みで村山をお兄様と呼び、上目遣いで必死にアピールしている。正直なところ完全な計算尽くだと解っていても、この媚び方は確かにかわいくはある。だからといってどうこうしようという気にはならないのが、やはりこの少女の、真珠の残念な所かも知れない。

 そう言えば、どうしてこの少女、真珠の顔が当たり前のように見えることに馴れているのだろうか。この部屋に現れた瞬間驚きはしたのだが、別段顔が見えることには違和感を覚えていなかったのが、今になって村山の恐怖心を煽っていた。

「お兄様、その三島と云う方がわたくしとお兄様のメイクラヴのキューピッドなのですねっ」

「ちょっと待って、今変なこと云ったよね。ぶっ飛んだよね」

 ふざけた話だが、出会いの一端を担ったのだと言う意味で言われれば、確かにその通りだった。三島隆というニンゲンが取り持ったというのならそうだが、それを喜んで良いのか?この出会いを歓迎しても、本当に良かったのだろうか?

 三島隆という人物は、本当にニンゲンだったのか?

「お兄様、お疲れではありませんかっ? 自転車を漕いでお疲れでは?」

 村山も誰かに習って考えていたのだが、真珠が小首を傾げてかわいらしく訊いてくる。

 確かに疲れている。正直これ以上、村山が任された件の事が解らないのなら今日は帰らせてもらい、また後日、三島隆を捜せば良いのではと考え始めたところで、

「お兄様、そちらに仮眠室があったので、わたくしと一緒――ふふぇふぇっ」

 途中で可憐な少女が汚らしい笑いをしたものだから、弓張が気づいたらしい。

「アホか」

 手には握りしめたままの結婚情報誌。結構な勢いで真珠の頭頂部目がけ、振り抜いた。

 真珠の頭頂部に当たった瞬間、どうしてか地が揺れ、机が床を引き鳴らし、下腹部に響く轟音までもが署内に響き渡った。

「お、俺じゃねぇぞ」


 わかってますよ。誰だって。

 ヒトの頭を雑誌でひっぱたいて地響きのような、ドーンなんて音が出るはずがない。

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