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0歳赤ん坊。状況を知る。

 さて、どうしようか。もはや自分が赤ん坊なのは事実なので受け入れるしかない。


 ならば、まずここはどこだ。

 誰かに聞こうにも言葉が話せない。家の中を歩けないので文字も確認できない。

 服装がどうも洋服なのだが、現代のセンスではないなとは思う。

 それを知ってから今後どうしようか決めよう。

 とりあえず今は生きるしかない。



 一年が経ち、いろいろと分かったことがある。


 俺の名前はグラタンらしい。

 俺が生まれた日の晩飯がグラタンだったそうだ。

 適当に決めるなよ、父親。

 しかしこれで日本ではなさそうだというのが分かった。

 今はやりのキラキラネームでさえグラタンはないだろ、たぶん。


 そして今いる場所はスコウッド王国のアリエという街だということ。

 聞いたことのない土地である。

 どうやら俺はまったく知らない土地に生れ落ちてしまったらしい。


 しかし記憶を引き継いでしまってるな。情報を聞き漏らすまいとかなり意識的に会話を聞いていたおかげで簡単な言葉は話せるようになった。

 赤ん坊はこんなペースで歩いたり話したりしてもいいんだっけ?


 そして俺には気になることがある。それは俺の顔だ。

 毎日水に映る自分を確かめるがやはり水面は揺れていてあまりはっきりとは映らない。

 ある程度崩れてはないかな。というくらいには分かる。

 だが俺は前世で思い知っている。メスどもはブサイクの顔を見ただけで嫌悪感を抱き、目をそらすことを!


 俺には確固とした目標がある。

 生まれ変わったからには今世こそは30歳で童貞なんて不名誉なるわけにはいかない!


 そのためにも整っている顔を!

 きりっとした目や眉なんていらない!

 そびえたつような鼻なんていらない!

 そんなに目立たなくていい!

 ただただ平均的な顔でいい。あとは人柄とかで適当に女ができる、はず!


 過去の友人を思い返すと平均顔のやつでも彼女ができていた。

 性格は多少変わっていても性格が変わった女が現れる。そのはずだ。


 人生顔がすべてだ。

 しかしこればっかりはどう生まれたか。運に任せるしかない。


 俺にできることは動ける体になることくらいだ。そう小学校のときは足が速ければモテた。

 この人生でも大体変わらないだろう。

 頼りがいのないやつより頼れるやつになったほうがモテやすいはず!

 


 2年が経った。

 両親とも会話もできるようになり、立って歩くことや走ることができるようになった。

 家にある本を読むことでこの世界がどうやら今までいた世界とまったく違う世界であるということも分かった。

 

 俺がこの3年間で得たこの世界に関する知識をまとめる。

 おおよそざっくりした感じだとゲームやマンガで見たファンタジーの世界っていう感じだ。 


 俺が生まれたのはスコウッド王国でも重要な位置にあるアリエという街。

 スコウッド王国の北方から西方にかけてはエプーズ海が広がっている。そのため海の幸に恵まれている。さらに豊潤な土地に恵まれ大陸の食糧庫としての役割を担っており、軍人よりも商人が幅をきかせている。

 大陸の食糧庫というだけあって多くの作物があるのだが、一方で魔物も生息しやすくその対処に辺境騎士は追われている。国民の多くは騎士に対して尊敬を抱いている。

 

 大きく違う点は魔法があること。

 それを知ったとき、俺は苦笑してしまった。

 30歳童貞になると魔法が使えるという都市伝説を聞いたことがあるからだ。


 まさか俺は30歳童貞になったからこうして魔法が使える世界に飛ばされてきたんじゃないか。

 笑えないような話だが実際に違う世界に飛ばされてこうして第二の人生を歩んでいる。

 生まれてから3年もたつと前の生活を忘れつつあり、名前もグラタンで呼ばれた方がしっくりくるのだ。

 が、魔法使い?

 モテなさそうな職業だな!根暗イメージ強すぎだろ!

 なるならやはり騎士だな。

 生まれたエブラール家は武人の家系で暮らしぶりを比較するにそこそこの家柄のはずで父親は王宮近衛騎士を務めているらしい。

 俺が騎士を目指したとしてなんら違和感がないということである。

 ふはは。幸運とはこのこと!

 だれが30歳童貞だから魔法使い目指すか!今の俺は3歳騎士を夢見る少年だっての!

 



 

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