チート補正が強すぎてやばい
チートというものを知っているか?
よくある異世界に行ったらチートでしたというものだ
俺もそうだった
その力は万の敵を討ち滅ぼし、その魔力は尽きることはない
その思考は高速で動き、その発想は柔軟だった
その物覚えはすざましいものがあり、その能力は最強である
魔王を打ち倒すために俺は召喚された
その時に誰かが失敗してもいいように10人で召喚を行ったそうだ
その全ての魔法陣は全てが俺を指し、俺は単純計算で通常の10倍の能力を得た
チート補正が通常より強い
結果だけ言おう、俺はチート過ぎた
これは召喚された時の話だが……
「ここは何処だ……?」
「よくぞ来た勇者よ、これよりお主には魔王を倒してもらいたい」
豪華な服を着たおっさんがそう言う
どうやら俺はテンプレらしくどこかの国に魔王を倒す存在として呼ばれたらしい
そんなことを考えられなかった俺は
慌てて周りを見渡そうとして、後ろに後ずさる
そして、地面に穴があいた
それも5mはある大穴だ
皆驚いていた、もちろん俺も驚いた
そうだろう?
ほかの小説のチート系主人公でも、攻撃の意思があるのなら余裕でできるだろう
しかし、俺はどうだ? 後ずさっただけでこうなってしまったのだ
「魔王さえ余裕で上回る力……魔神じゃ……魔神が現れおった」
この宣言をきっかけに俺は追われる立場になった
まず困ったのは食料
と思いきや、これまたチートで解決
すべての動物、魔獣、植物の知識が有り、どれが食べられるか、食べられないかがすぐに分かった
それで食事に困らないぜ。とはならずに、いざ食料を取ろうとすると植物は歩いただけで吹き飛び、動物や魔獣は触れるだけで跡形もなく粉砕される
結局食べられなかった
100日近くも食べ物を口にできなかった
それでもまだ生きていけるのはこのチートのおかげだ
いや、食べられないのもこのチートのせいなんだが……
とりあえず住むところは欲しかった
そして、せめて歩くぐらいは普通にしたかった
とりあえず村にも、街にも行くことができないが、チートすぎる視力のおかげで様子を見ることができた
正直言って街に住みたく遠くから見ていただけなのだが
そのおかげで分かったことがある
どうやらこの世界には魔術があるらしい
俺は必死に街の中や、魔獣刈りをしている人を見て魔術を覚えた
そして、浮遊魔術を作った
これでやっと植物に触れられると思い、触る
しかし、魔獣でさえ触れるだけで吹き飛ぶので、植物なんかももちろん吹き飛んで食べられなかった
とりあえず移動手段は地面に穴を開ける歩きではなく、この浮遊魔術になった
そして、水の魔術を作ることで飲み水は確保できた
次は弱体化の魔術を作った
自分にかけて何かに触れられるようにするために
しかし、この体は完全なる魔術耐性
つまりは無尽蔵の魔力を持つ己の魔術でさえも効かなかった
結局弱体化魔術は意味がなかった
とりあえず浮遊の魔術を改造し、直接口の中に来るようにした
流石に噛む力で粉砕して消えるということはなんとか回避できたらしく、異世界生活100日目ぐらいにしてやっと食事をすることができた。
だが、自分の手で触れられないからとてもどうしても食べたって気にはなれなかったが……
次に取り掛かったのは住むところだ
これはすぐに解決できた
ドラゴンが棲む山で俺が触れても形の変わらない岩石があったのだ
俺はそれを集め、魔術の火で溶かし、力を思いっきり加えて家の形にした
その過程でドラゴンの棲む山がボコボコに穴があいていたが……
触っても耐えることができるドラゴンの甲殻を持つドラゴンはこの世界最強だと思わせてくれた
そんなドラゴンも軽いジャブ程度で、一発で倒せたので特に問題なく進んだ
どうやらその岩石は伝説の鉱石オリハルコンだったらしく
黒光りした家が完成した
家具はドラゴンのウロコや、甲殻、そして、これもオリハルコンで作った
なんというか、異様だった
黒光りした家というのはなんとなくボスの城に見えた
そして、そんなこんなで40年ぐらいたった
ハーレム補正でも付いているのか、モンスター娘や、女性の魔人にあったが、歩くだけで地面に穴を開ける俺を恐れて逃げていった
他にも、ドラゴンの人化した女の子に会ったのだが
触れることはできるが、それでも衝撃はきついらしく逃げていった
女性が人さらいに攫われそうなところを助けようと駆けつけると
人さらいも、女性も逃げていった
次に会った俺のあとに召喚されたらしい女勇者や俺が倒す予定だった女魔王などにも会ったがどちらも恐怖で膝まづいて泣きながら許しをこいた
勇者や、魔王であっても触れることすらできなかった
とりあえず人間と魔族の戦争はやめるように言うと世界は平和になった
現在はオリハルコン性の家から地平線の彼方にいる人さらいに向かって魔術を飛ばしたり、自分の弱体化の方法を探したりしながら生活をしている
そして、40年たった今でも見た目は全然年を取らなかった
意識をしてみるとなんとなく、自分の寿命がわかった
寿命もチートなのだろう
どうやらあと100万年と2000年ぐらいまで生きるみたいです
こんな生活をあと100万年と2000年……
「もう、チートなんかいらねぇ!!」
チート補正が強すぎる俺が発したその叫びは
オリハルコンで作った家すらもヒビだらけにした
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