小話
昔話ととある人の視線です
神殿警備―それは、体が不自由な老若男女の生活の手伝いから警護まで幅広い仕事だ
神殿では、病人や体が不自由な方々が訪れ神官に診断して貰い薬や補助器具を持っていく。
自分の上司は、神官の護衛に付き神官と共に地方へ診察に行く事が多い。従って自分もそうだ。
今回は、やや北側の地方に行ってきた。特に保護する者もいなくあとは戻るだけだったが上司の一言で変化してしまった
「そう言えば、俺の兄貴にガキが生まれたって言っていたからついでに良いですか?」と確認をとっている
「良いですよ。近くでしたね」と了解され寄り道をすることになる。それが、観月―ちびっことの出会いである。
上司の田舎は、ごく普通の村だった。お兄さんに挨拶しながら子供の紹介をされている。そのなかで、一人でボーとなにかを諦めたような顔をしている子がいた。挨拶もそこそこに一人でどこかにいってしまう。
「すまないな」とお兄さんも呆れ顔で言っている
何となく見ていたが、賑やかなところを嫌い静かに過ごしている。人の話を聞いていない事がある。
人嫌いか?とも思えたが、そうでは無さそうだ
話を聞いているときは、真剣に唇を見ながら聞いている。
聞いていない・気付いていないときは、唇が見えていないか左側から話しかけられたとき位…
多分、聞こえていない。家族は気付いていない。双子の妹に掛かりっきりのようだ
危険に気付かず怪我をしても、ポケットから傷薬を取りだし塗っている
一人で薬草取り・畑弄りをしている。多分、教えてもらった事を自分のペースでやっているのだろう
後ろを着いていく。
草原になにかを見つけた様で駆け出す。人を避けながら、進んでいる。
目的を見つけたのか、しゃがんで取っている。驚かさないように右側から近づき話しかける。
「なにか有ったのか?」と言いと顔を上げて見てくる。
「こんにちは。おじさんの知り合いさん?」と言うので頷くと安心したように手の中の物を見せてくれる。
「キラキラ」と差し出されたのは、術石と宝石。稀に見つけられると言われるものだが、こんなところに落ちているとは…
「また、キラキラしまっておこ」
“また?”どう言うことだ?見つけることが稀な術石を“また”だと!?
平静を装い「よく見つけるのか?」と言うとポケットにしまいながら“うん”と頷いている
「家にいっぱいあるよ。隠してるけど」と立ち上がり帰ろうとしている。
「道案内してくれ」といい手を繋いだ。
「家まで?」
「頼む」と言うと頷き歩き出す。歩きながら、たわいのない話をするも家族の話はしないでいる。
「家族は好きか?」
「分かんない。でもね。もう良いかって思ったの。誰も心配ないから」そう言いと、悲しげに笑っている。
家につくと、ちびっこは手を振り消えていく。秘密基地があるからと言って
家にお邪魔すると上司が、お兄さんと話している。丁度良いので、報告をすることとする。
「今、良いですか?」と近寄る
「どうした?今、しないとダメか?」
「はい。丁度、父親もいらしゃいますし」
「子供がどうしました?」
「観月ちゃんでしたっけ?あのこの事について」
「なにか問題か?」と怪訝な顔の上司
「なにか観月がしましたか?」と聞いてくる父親
「そういう事ではなく。多分ですが、聞こえてないみたいなのでご報告を」と言うと不思議な顔をする二人
「どういう事だ?会話できているじゃないか?」
「“全て”ではなく“一部”だと思います。思い当たる節は?」
「なにも…」と父親
上司を見ると行動を思い出しているようである。
「あと“居なくなっても良い”と言ってましたよ自分の事」と説明しておく
驚いた顔をしているため「推測ですが、何回かどこかに行っていない日が有ったのではないでしょうか。誰も気付かない。又は、気付いてくれる人が、居なくなったからこその言葉だと思いますよ」と話を終え上司を見ると思い当たる節があったのだろう。神官に連絡を取っている
もう遅いかもしれないなと、焦りながらも探しに行く。
近所の子供に声を掛けると「あそこに居るよ」と案内してくれる。
町から少し離れた丘の上「この先に、いつも居るよ」と教えてくれる為、お礼を良い菓子を渡し別れる
丘の上では、旅支度しているちびっこ。背中には荷物が背負われいた。
旅立つ前、目に焼き付けているのだろう故郷の姿を。
たかが少女にそんな風に思わせるなにかが、有ったんだろうか
でも“死”を選ばなかったので、安堵する
「旅行か?」と言いながら近づくと「そんなものですね。キラキラを売れば路銀には困らないですし。上達も結婚しましたし。私は、あそこに居なくても誰も困らない」と微笑行こうとする。
「親は良いのか」
「諦めました。一人でプー太郎しながらブラブラしていても、外部悪いじゃないですか。旅立ったなら何とか言い繕えますから」
「もしも、神殿に保護されここで生活出来たらどうだ?」
「良いことですね。でも、現実的ではないですね。私なんて、路銀がなくなったら野垂れ死ねば良いんですよ」と寂しい笑顔で言い。横を通り過ぎようとするため捕まえ。そのまま神殿に移動する
その後、保護され一人で生活出来るように申請。後見人・税理士をつけて様子観察。
両親も気を配るようになり関係が改善してきた。
定期的に様子を見に行き、問題かないか気を配っていたのに東の若者が、ちびっこに向け剣を抜く。
そのせいで、居なくなりたいと寂しい笑顔をまた浮かべることになった。
あの顔を見たら黙ってなんか居られなくなる。守ってやりたい近くで慰めたい。自分だけに笑い掛けて欲しいと思ってしまう。
今回は、東の方に抗議・接近禁止令を出して貰うも。
落ち着くまで、神殿(俺の用意した場所で)保護した方が…と思ってしまう。
が本人に断られてしまう。残念だが、1年位護衛することが決まったので我慢する




