喧騒の向こうに
「ふぅ、我ながらよくできてるんじゃないか?」
「ふ〜〜〜む、おまえさんすごいな。今日初めてやるんだろ?大したもんだ。」
「ははっ、ありがとうございます!何回も見ていたおかげで覚えちゃいました!」
「わはははは!見てるだけでそんなに上手く剣を作られちゃ鍛冶職人の立つ瀬がねぇや!」
自慢じゃないが、いや自慢だが、僕の父は人儕種一いや、この混種界一と言っても過言ではない。
というのも、この世界は、さまざまな種族が入り乱れている。例えばーーー粘魔種、蟲昆種、獣禽種。もっと有名な種で言えば天熾種とかも。
これら全ての種族が生きているこの世界を混種界と呼んでいる。ただしこれらの種族でも当然と言えば当然だが、序列的なものがある。
もっとも、その序列も昔ほど絶対ではないらしい。というのも、どの種族にもいたはずの「最強」が、いつの間にか姿を消しているからだ。
理由は誰も知らない。美人薄命みたいなものかな?まぁずっと最強がいても困るか。
とにかく、昔からそういうものだと言われている。
かといって強さで支配するわけではない。ただ、当たり前の共通認識のようなものだ。その中でも僕たち人儕種は最弱。
ほかの種族なら多少議論の価値があるのだが僕たちは一考の余地なく最下位。
だが、言い伝えによるとひと昔前には、混種界で有無を言わさず最強の人儕種がいたらしい。いくら伝説だからと言って崇めるというわけでもないが一つだけ感謝は伝えたい、というのも、今日は祭りがある。
「おぉ〜い!時間だぞ〜〜!皆集まれ〜〜〜!」
今日はその伝説のお方が、なぜか姿を消した日である。そこで人間は、勝手な憶測ではあるが、その伝説のお方がどこかで我々最弱の人儕種を守ってくださっているーーと、感謝を捧げる祭りを開く決まりを作った。正直、あまり実感は湧かない。退屈だ。まぁお祭りが開かれるからよしとしよう!
「いや〜お腹いっぱい!伝説のお侍さんとやら、ありがとうございます!」
「んん?おお〜!だれかと思えば鍛冶バカんとこの坊主!」
「あっ!おじさん!さっきぶりです!」
「おうまた会ったな!今日は祭りだってのに、なんでこんなとこいんだ〜?酒飲もうぜ〜??」
「ちょ、おじさん!まだ僕お酒飲めないですって!」
「ちっ、なんだよ〜それなら仕方ねぇな」
「お腹も膨れたのでさっき打っていた剣を振ってみようかなって思って!」
「…あぁ!午前にカンッカンしてたのはおめぇ用の剣だったのか!どれ、ちょっと俺に見せてみろ」
「…おじさんに剣がわかるんですか?」
「うるせぇ!坊主よりはわかるわ!まずは構えてみな」
一呼吸して、構える…………
「…?それは剣っていうより刀の構え方みたいだな」
「えっ?そうなんですか?なんか無意識に出てきたのがこの構えっていうか」
「まぁいい!いい剣じゃねぇか大切にしろよ坊主」
「は」
――。
「い!」
は?
祭りの喧騒が、音もなく消えた。
気づけば、目の前には見知らぬ空間と、人型のなにかがいた。
まるでそこにあるのが自然のように。
「…………は?ちょっ、と待て、え?ここ…え?どこ?おじさん?おじさーん!?お父さーん!?
……まわりにだれもいない…え、と、ぁの、あの!すみません!そこの…お兄さん?お爺さん?すみませーん!ここどこかわかりま『幽』」
――。
真っ白な空間に響く、やけに明るい声
❮……はぁ。も〜まったく。だめじゃないか!そんなの死んじゃうよ!❯
え?
メティス1ではないです。過言です。




