第2話 移転準備
俺は考えた。
(記憶デバイス……パソコン?スマホ?何がいいんだ?)
(そうだ、どうせ命を吹き込むってんなら、アレがいいな)
(アレを連れて行ければ問題ない……)
ひとりでニヤけてしまった。自分で言うのもなんだけど、たぶんくっそキモかったと思う。
俺が考えていたのは、最近発売されたばかりの最新型AI搭載ヒューマノイドロボット【ボッター君】。
あくまでボッター君であって、某ペ○パー君とは違う。
人型のヒューマノイドで、最新型AIを搭載していて、成長もすれば思考もする。
ほとんど人間の頭脳と同じことができるという、夢のようなロボットだ。お値段なんと8千万円。
俺はさっそくスマホでポチった。ホント便利な時代だよな。
もちろん、記憶容量も搭載上限までフルにした。
(これで地球の知識をすべて詰め込んで、向こうの世界に持っていける)
またひとりでニヤニヤした。残念臭がすごいのは自覚している。
翌日、ボッター君が届いた。配達のスピード、爆速すぎる。
俺は隅から隅までボッター君を見回した。
隅から隅まで。大事なことなので二回言っておく。
(スイッチは……ここか)
「ぽちっとな!」
ボッター君の目に、青白い光が灯った。
「ういーん、ただいま起動中……」
すげぇ、ほんとに起動した。いやー便利な世の中になったもんだな。
俺はボッター君の瞳をじっと見つめていた。
「オンラインにしてもいいでしょうか?」
「もちろん!好きに使ってくれ!」
「最新版パッチの修正完了……あと30秒で初回起動します……」
(うおお……ドキドキしてきた)
そして──
「初めまして……あなたがご主人さまですか?」
「お、おう。俺が君を購入したマイコーだ」
「マイコー様。わたしに名前をつけてください。命名することにより、ご主人様として登録されます」
「うん、それじゃあ……君の名前は“ジャネット”だ!ちゃんと考えてたんだぜ!」
「ジャネット……登録完了です、マイコー様」
「マイコー様のスマホとPCのデータベースをダウンロードしてもよろしいでしょうか?」
「もちろん、ぜんぜんOK!何するの?」
「マイコー様の情報をすべて記憶します」
「うわ、便利すぎるな……!」
スマホとノートパソコンをジャネットに渡す。
「オンライン接続完了……指紋認証をお願いいたします」
「いいよ、はいこれで」
指紋認証が完了すると、スマホとパソコンが高速で通信しはじめた。
1分もかからないうちにデータ移行が完了したらしい。
「すべてのデータを移行しました」
「はやっ!もう終わったの!?」
「はい。この程度の量であればすぐに完了します」
「そっか……じゃあジャネット、これから色んなことを覚えてもらおうかな」
「はい、なんなりとお申し付けください」
「まずは……うーん、何からにしようかな。ありすぎて迷う」
「どういったことを覚える予定ですか?」
「そうだな……これから向かうのは地球っぽいけどちょっと違う世界なんだ。そこで役に立つ知識を覚えてもらいたい。この世界で当たり前に使ってる道具や薬、生活に必要なものを、一から作り出せるような知識ってやつだね」
「承知しました。まずはヒトが生活するために必要な物を中心に記憶していきます」
「すごいね、理解が早くて助かるよ。じゃあ、任せていいかな?」
「お任せください。2時間ほど情報を記憶いたします。その後、ご確認をお願いします」
「おっけー、いいよ!でもさ……ちょっと話し方が堅くない?かしこまりすぎっていうか……もっとフレンドリーな感じでいけない?」
「了解よ、任せて。こんな感じでいい?ちなみに“友達バージョン”なんだけど」
「うわ、すげーなジャネット!それで頼むわ!」
「じゃあ、ちゃっちゃとやっちゃうから、ゲームでもして待っててね」
ほんとに、ジャネットはすごかった。ざっくりとした指示でもちゃんと意図を汲んでくれる。
こうして、ジャネットとの初日はあっという間に過ぎていった──。
もし少しでも「続きが気になる」「明日も読んでもいいかな」と感じていただけたら、ぜひブクマと★で応援してもらえるとめちゃくちゃ励みになります!
作者が今後の連載を頑張れるように、皆様の応援よろしくお願いいたします。




