維新の会が自民党に要求した12項目の政策評価
藤田共同代表は連立政権発足の際には「維新から2人以上を入閣させる意向が示された」と10月16日に明らかにしました。
自民党と公明党の連立政権では、公明党からの入閣は1人のみでしたが、公明党の2倍も議席がないために「好待遇」ともえいるでしょう。
そんな中で維新の会が自民党に要求した12項目が日本経済新聞の10月16日の記事でで詳しく記されていたのでそれについて個人的な解説も簡単に加えつつ見ていこうと思います。
⇒ の先に僕の意見が書いてあります。
【1.経済財政政策】
・ガソリン暫定税率の廃止
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軽油が含まれるかどうかがまず焦点。他に財源を求めるようでは全く意味が無く減税とは呼ばないです。
・電気ガス料金の補助をはじめとする物価高対策の早期実施
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実は即効性のある補助はこれが一番だったりもします。ただ、電力会社が儲かるシステムなら予算規模に合わないですが……。
・給付付き税額控除の制度設計を行う
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ただの給付をややこしくするだけか、維新のブレーン竹中氏が以前提唱していたベーシックインカム化して生活保護や年金制度から移行させる可能性あるためかなり要注意の政策です。
・租税特別措置及び補助金の総点検(政策効果の薄いものは大胆に廃止)
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ほとんどが大企業しか使えない補助金ばかりです。
「やれば法人減税」ではなく「やらないと法人増税」といったシステムに切り替えるべきだと思います。それなら「財政規律」も守れますよ。
・行政効率化を一元的に推進する体制を構築するため、政府効率化局(仮称、日本版DOGE)を設置する
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人省化や省庁そのものを減らさなければあまり意味が無いです。大阪でやってしまった正社員でやっていたのを派遣にやらせるようなら最悪の展開が待っています。
・食品消費税の2年間ゼロ(免税)
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海外の例から食品減税には物価を下げる効果は薄いです(財政出動額の3割ほど)。価格決定権が店側にあるため。
消費税は「賃下げ効果」があるため一律減税又は廃止が望ましいです。財源というのなら実は性質が近い法人税1択です。
・2万円の現金一律給付策は行わない
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「実質バラマキ給付の減税」も望まれていないと思います。恒久的な減税、増税をしないことを宣言しなければ根本的な社会・将来不安の改善には繋がらないです。
【2.社会保障政策】
・令和7年通常国会で締結した「三党合意」を確実に履行する
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内容は「教育の無償化」と「現役世代の社会保険料負担軽減」でした。
教育無償化(高校に給付)よりも、相当分を家庭に給付の方が使い道としては様々な選択肢が広がると思います。
そうしないのは「学校利権」「官僚の天下り先確保」のためなのでしょう。
・協議体の第2ステージについて、以下の項目を含めて幅広に検討し、社会保障改革項目の骨子について合意し、具体的な制度設計を行う
▼保険財政健全化策推進(インフレ対応)
▼保険者機能の強化(再編統合)
▼中医協改革(病院機能の強化、創薬機能の強化、患者の声の強化、データに基づく制度設計など)
▼医療費窓口負担等の真に公平な応能負担の実現
▼「高齢者」の定義見直し
▼公的保険の在り方及び民間保険の活用に関する検討
▼大学病院機能の強化
▼高度機能医療を担う病院の経営安定化と従事者の処遇改善
▼第3号被保険者制度の見直し
▼医療の費用対効果分析の推進 等
⇒
いきなり項目が増えましたが『「高齢者」の定義見直し』が怖いですね。
「年金受給年齢の強制切り上げ」が待っていそうです……。
年金は自己積立制度、社会保険は「税金カウント」にして累進制度にするなど根本構造の改革が必要だと思います。
【3.皇室・憲法改正・家族制度等】
・旧宮家の男系男子の養子縁組を実現する皇室典範の改正
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「愛子天皇派」の方々は反対しそうですけど、「女系天皇」になれば「王朝交代」になってしまうので、悠仁親王がご健在とはいえ将来的には皇族の方も減る可能性は高いので賛成できる内容ですね。
・憲法9条改正に関する両党の条文起草協議会設置
・緊急事態条項(国会機能維持及び緊急政令)に関する条文案の国会提出
・衆参両院の憲法審査会に条文起草委員会を常設
・憲法改正の発議のために整備が必要な制度について制度設計を行う
⇒
緊急事態条項が入っている段階で全ての憲法改正案は却下です。
「緊急事態の定義」が不明、「憲法裁判所」がないために最高裁が違法性を審査してくれるか不明でブレーキが利かないという欠陥が現状の自民党案にはあるために問題外と言えます。
・「同一戸籍・同一氏」の原則を維持した旧姓の通称使用の法制化
⇒
現行制度と選択的夫婦別姓の中間みたいな制度を構築しようということなのでしょうね。運用次第というところでしょう。
・「日本国国章損壊罪」の制定
⇒
「器物損壊罪」などでも対応できるので殊更国章を持ち上げる必要はないでしょう。
あまりにも国粋主義的な雰囲気作りは危険な気もします。
【4.外交安全保障政策】
・安全保障環境の変化に伴う戦略3文書改定の前倒し
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いわゆる「安保3文書」どう改定するのか具体的な内容は調べても分からなかったのですが、
次の
・反撃能力を持つ長射程ミサイル等のスタンド・オフ防衛能力の整備及び展開先の着実な進展と、次世代の動力を活用したVLS搭載潜水艦保有に係る政策推進
を見るに「敵基地攻撃能力」の具体化かなと思います。
敵基地攻撃能力そのものに問題があるのではなく、それを行う条件を明確化することが大事かなと思います。
・自衛隊の運用に係る組織の効率化(区域統合及び中間結節点の簡素化)
・防衛装備移転三原則の運用指針5類型撤廃
・国営工廠及び国有施設民間操業(GOCO)推進
・自衛官の恩給制度創設の検討
・自衛隊の「階級」「服制」「職種」の国際標準化
⇒
自衛隊の待遇改善は必須ではありますけど、「就職するぐらいなら自衛隊に入隊した方がマシ」ぐらいまで待遇を上げる(経済的徴兵)のはそれはそれで問題なので複雑ですよね……。
【5.インテリジェンス政策】
・総合的なインテリジェンス改革の推進
・「国家情報局」及び「国家情報局長」の設置(内閣情報調査室格上げ)
・対外情報庁の創設
・省庁横断的な情報要員要請機関の創設
・インテリジェンス・スパイ防止関連法制の制定
⇒
どれについても言えることなんですが、「海外対策」と見せかけた「自国民言論弾圧」にならないのか? が注目されるところだと思います。
【6.エネルギー政策】
・原子力発電所の再稼働の推進
・次世代革新炉及び核融合炉の開発加速化
⇒
原発は汚染物質の処分、廃炉まで含めたコストを考えると莫大なので「繋ぎ」と考えた方がいいでしょう。次世代炉も全く同様のことが言えますし、核融合は実践まではハードルが高そうなのであまりエネルギー源として考えない方がいいでしょう。
むしろ、クリーンな水素火力発電所を推進した方が総合的には環境負荷が無いのではないかとすら思います。
・国産海洋資源開発の加速化(エネルギー資源及び鉱物資源)
・地熱等我が国に優位性のある再生可能エネルギーの開発推進
⇒
これは賛同したいですけど、どの程度優先順位が高いかは不明ですね。
【7.食料安保・国土政策】
・食料安全保障向上のための投資促進
⇒
農家の個別補償しかないでしょう。物価高を抑えるのと農家の生計の両立にはこれしかありません。
ちゃんと作付けや耕作の実績を調査することも大事ですね。
・大規模太陽光発電所の規制
⇒
国民側が問題提起したためにどの党も対策を約束しつつあるのは良いことだと思います。ただ、そもそも木を伐採し、山を切り開いてパネルを並べるのは完全に禁止するべきでしょう。
【8.経済安保政策】
・南西諸島における海底ケーブルの強靭性強化策推進
⇒
これはこれで大事だと思いますけど「経済安保対策」でこれだけって寂しいような……。
他と被るところもあるなと思うならこの項目は他に吸収した方が見栄えがいいでしょう。
【9.人口政策・外国人政策】
・外国人比率上昇抑制及び外国人総量規制を含む人口戦略策定
・外国人政策担当大臣設置及び司令塔強化
・対日外国投資委員会(日本版CFIUS)創設並びに外国人及び外国資本による土地取得規制の厳格化
・外国人に関する違法行為への対応と制度基盤強化
・外国人に関する制度の誤用・濫用・悪用への対応強化
⇒
参政党が問題提起をしてくれたために政権側も動きつつあるということなのでしょう。
ただ、「仮放免が就労が制限」されていることや「不法滞在者が中々強制送還されない」ことの問題については触れていないのでこれらの改善は絶対的に必須です。
【10.教育政策】
・高校無償化本格実施(令和8年4月)のための残る課題について令和7年10月中に制度設計を確定させる
・小学校給食無償化(令和8年4月)のための残る課題について令和7年11月中に制度設計を確定させる
・令和7年通常国会で締結した「三党合意」における保育料負担軽減等の子育て支援施策大幅拡充、高校教育改革グランドデザインを令和7年中に策定し全国での教育機会の確保と教育の質向上を実現
⇒
さっきも書きましたけど子育て世帯に直接給付してください。
給食については無償化も良いと思いますけど、内容を充実や地域格差を是正してくれないと気の毒すぎます。
・世界トップレベルの国際競争力を持つ大学(10校程度を目標)を育てる取組みの大幅拡充
・人口減少に伴う大学数及び規模の適正化
・科学技術立国の礎となる基礎研究のための研究費の大幅拡充
⇒
少子化が進んでいるのに大学数、学部数が増えているのは異常すぎます。
学校の延命のために外国人留学生を入れるという負のループが続いているので断ち切らなくてはいけません。
【11.統治機構改革】
・首都機能分散及び多極分散型経済圏構築に係る政策推進(副首都機能の整備に係る法案を制定)※令和8年通常国会で成立させる
⇒
いわゆる「副首都構想」ですが、今やネットや郵送などがあるためにそんなに国民にとってプラスになるわけではなく、大阪の財政負担なく公務員を雇いGDPが増やせるといった「身内の事情」に過ぎないと思います。
【12.政治改革】
・企業団体献金の廃止
⇒
政治改革の必須項目だと思いますが、逆に自民党が資金源としており、一番拒絶しているところでもあります。
「自維政権」が実現しないとしたらここで大きく揉めたケースだと思います。
僕はちなみにあらゆる献金の税額控除(税金が減る)を無くすことが意外と効果的だと思っています。
・政党法の制定
⇒
党のホームページによると政党法は、
『政党の定義、ガバナンスコード、資金管理、倫理規定などを包括的に定め、政治資金規正法や政党助成法などの個別法を統合することで、政党支部を含む政治団体の乱立を規制し、政党のガバナンスを強化』
とのことなので内容次第ではありますが見た目上はそう悪くはなさそうです。
・議員定数削減(国会議員の1割を目標に削減)※令和7年臨時国会で成立させる
⇒
最終的には現状の3割減らすことを目指すそうです。
現状無能な議員ばかり、ふざけた政党ばかりなので議員数を減らせ! という方が非常に多いです。
しかし、議員数が減れば新規参入する党の可能性を潰す(最低当選票数が上がるため)ことになるので実は結果として「既得権益強化」になります。
そのために僕は賛同しかねます。
・選挙制度改革(小選挙区比例代表並立制の廃止や中選挙区制の導入なども含め検討)
⇒
政治団体の相続非課税を禁止や親世代と同選挙区地域での出馬を禁止することも重要だと思いますが、中選挙区もやらないよりはいいと思います。
これらの政策のうち維新の会の藤田共同代表によると
「憲法、安全保障、エネルギーといった基本政策について価値観を共有していることを確認し、信頼関係が一段、上に進んだ」ようですが、
食料品の消費税率ゼロや企業・団体献金禁止などで折り合わず、10月17日に再協議することになったようです。
ただ、「(自民党が)全部丸のみするなら最初から同じ党だ」とも藤田氏は語り、連立の条件として、必ずしも全政策の採用を求めないとの考えを示しています。
対する自民党はこの12項目をどの程度呑むかについての政策協議について「高市総裁一任」という方針を小林政調会長が表明しています。
つまり、「企業団体献金廃止」という最もハードルが高い項目についても「やった感」を出すための「骨抜き妥協法案」にすればいいだけなので「高市自維連立政権」はもう100%に限りなく近いのかなと思います。
ただ、維新の会も公約として掲げている政策も多いので「あまり意味のない政策」ほど実現可能性が高いのかなと思います。
改めてイマイチ政策ラインナップで暗澹たる思いで見ていきましたが、
選挙・政治は「消極的選択」しかできない上に、選挙にお金がかかりすぎるために一般市民が立候補することも困難なので急激に良くなることはないです。
現状の評価が「保守的」や「積極財政派」と言われている高市氏が「大コケする」ことで自民党から完全に支持層が離れることが長期的に見れば理想的なのかなと思います(もちろん理想的な政策を高市氏がやってくれれば手っ取り早いですが現実的には自民党である限り難しいでしょう)。
日本の明るい未来のためには根気強く窮状や問題点を提起していくしかないと思っていますので、これからもやっていこうと思いますのでどうぞご覧ください。