プロローグ
なあ、お前どこでその携帯電話拾ったの、と気だるそうに同じアルバイト先の女子大生が話し掛けてきた。
「いや、拾ったんじゃなくて買ったんですよ!ゼロ円機種でしたっけ?機種代そのものにお金がかからないやつ、まあ、型は古いですけど高校生で携帯電話持ってないのまわりで俺だけなんで、古くてもあった方がいいかな~、と思って買ったんですよ」
俺はちょっと誇らしげに携帯電話を購入に至った経緯をバイト先の女子大生に答えた。
女子大生は、マイルドセブンの箱から煙草を一本取り出し、慣れた動作で口に持って行き、煙草の先端に緑色の百円ライターで火を灯す。
「へ~、良かったじゃないか。だが、気をつけろよ」
「何がですか?」
「最近、街中で起きている猟奇殺人を知っているか?実はな、その事件の殺された被害者には、どうやら共通点があったらしい……」
「……共通点?」
「ああ、それはお前が持っている機種と全く同じ型、同じ色の携帯電話を所有していたらしくな、しかも、その事あってその機種は三日前から回収が出回っている。つまり……」
女子大生は、吸い終えた煙草を灰皿に放り込み、俺を見る。
「次のターゲットは……俺?」