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第一章 『始まり』

プロローグ

 私はいつも特別扱いされていた。

 一度たりとも友達と登下校したことないし、気軽に外に出れないし、何するにしても常に使用人やら監視係やらボディーガードやらが近くにいるから変なこともできない。

 一度くらいは友達とだべりながら、自分でお店を選んで、好きなメニューを注文して、そんな放課後をしてみたい。

 でも、それは一生できないことだ。 そう断言できる。

 だって私は、現天皇の孫なのだから。



 

 4月8日 学習館高校入学式

  この高校は昔から私の親戚や国家の中枢を担う大企業の御曹司やらそんな感じの家系の人たちが通う、いわゆるエリート高校だ。

  「ねぇ、あの子可愛くない?」

  「ほんとだ!すごく綺麗。」   

  「あれだよ。今の天皇様の」

  「えっ。あの子が!」

  「今のうちに友達になっておこうよ!」

  「え〜 でもちょっと怖くない?天皇様って世界で最も偉いんじゃなかったっけ? そんな人の孫の前でちょっと変なことしたら消されそう」

  「え〜そんなことされないよ!でもそれもそうだね。うちらだって各々の企業の未来背負っているしね。」

  「日本のトップとコネができるのはいいことだけど怖いよね〜」

  「ねぇ〜」

 ………………うるさい。

  いつもそうだ……小学校の時も中学校の時も周りから天皇様の孫だからって怖がられて畏れられて、

  いつも私の周りは友達じゃなくてボディーガード。

  でも高校からは友達を作りたい。

  気軽にお話できるような友達を。

 

  翌日

 担任 「これで最初のホームルームは終わります。皆さんこれから有意義な三年間を過ごせるように頑張りましょう。」

…………まず隣の人から仲良くなってみよう。

  お隣は…………男の子

  うわ、結構顔整ってる。この子も他の子と同じでどこかの会社の御曹司とかなのか?

  ちょっとハードル高いかな。今まで恐れられてまともに同世代の子とお話ししたことないからちょっと怖い。

  でもそうは言ってられない。大丈夫。この前、外交官の人と南北問題の話で盛り上がった!

  私のトークスキルは既に日本トップレベルとも張り合えている!

  話題さえあればきっと話は繋げられる!

  何か話題…………

  いやまずは自己紹介からだよね。

  ……「あの……」

 男「ん?」

「私、秋篠佳代と申しま

「知ってるよ。有名人だからな。」

 この人私のこと知ってるんだ、

 そりゃそうだよねあんだけ周りで騒がれてたし

 この人も、今までの人と同じなのだろうか 

 怖がったり恐れたりするのだろうか。

「こ、これから三年間よろしくお願いし

「やだよ」

「えっ」

「なんでアンタとよろしくしなきゃならんのだ。」

 やっぱりこの人も今までの人たちと一緒で私を特別扱いするんだ

「俺とよろしくやっていいのは俺が認めた人間、つまり……俺より優れた人間だけだ。」

「えっ」

 初めてこんなこと言われた。俺より優れた人間ってアンタどんだけすごいの!?

 いや冷静になれ私、あんまり同世代の子と喋ったことないけど多分この子は他の子と違う。

 でもお母様は言っていた。

 学習館高校の人たちは礼儀正しくて話しやすい人たちが多いと。

 まさか……

『変遷』

 日本を含め世界は変わり続けている。

 この前話した文部省の大臣政務官の方だって

 『最近若者の本離れがすごいんですよ。時代と共に人は変わっていくものですね。』って言ってたし。

 やっぱりお母様のいた頃の学習館と今の学習館とじゃ変わってるのかな。

 このままじゃ私、また三年間一人なのかな。

「そ、そうですか。ど、どうも話しかけてすみません。」

「別に話しかけたことを責めているわけではない。よろしくやっていくのは無理だと言っている」

 なんかイライラしてきたな。今の人って本当にみんなこんな感じなのか?

 もしそうなら私これからやっていけるかな?

 ちょっと不安になってきた。って不安になる前にこの人に一言言ってやりたい!

「ず、随分と自分に自信があるようですね。」

「そうだな。俺より優れた人間はそういないと思っているしな。」

「そうですか。私も幼少期から色々なことを学ばされてきましたし、ある程度のことなら人よりも上手くできると思いますよ。」

「人より少し秀でているくらいでは俺に勝つことはできない。勉強でもスポーツでも芸術でもな。」

「ふ〜ん、そうですか、そうですか。なら今週の入学記念テストで勝負しませんか?」

「そんなものがあるのか。なぜ会ったばかりのお前と勝負をしなくてはいけないんだ。」

「あれ?自分より優れた人間はそういないのでしたよね?それとも私に負けそうだから勝負をしないのですか?」

「会ったばかりのやつの勝負をなぜわざわざ買わないといけないんだという話だ。まぁ勝手に順位を比較するくらいなら構わない。」

「そうですか。それで構いませんよ。」


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