新婚の宴
寝室の扉を閉めた瞬間、華奢な身体を抱き締めて、抱え上げた。
小柄な背中を近くの壁にもたせかけ、ふっくらとした薄紅色の唇に口づける。
甘くついばみ食んで、その柔らかな感触を堪能する。舌を差し入れて絡めれば、唾液が猥雑な音を立てた。
時折強く吸い、浅くして唇を味わい、また深くする。その度に、くぐもった喘ぎが漏れる。
濡れた音色。拙い所作で、それでも懸命に応える様は、本当に可愛くてたまらなかった。表情が見たくて、一度離れる。
「……っ何も……しない……って……」
乱れた呼吸の中で、微かな声がこぼれる。
朱に染まった、可愛いらしい顔。潤んだ碧色の瞳が、頼りなげに揺れている。普段は聡明で果断なアメリアが、恥じらいにたゆたう姿は、たまらなくいとしかった。
自分だけの表情を見つめて、微笑んで告げる。
「何もしないよ。もう少ししたら戻る」
そしてまた、口づける。ついばむ合間に、戸惑う言葉が挟まれる。
「ちょっ……と、フェ……リックス……っう、んんっ」
口の開いた時に合わせて、舌を入れて絡める。浅く深く、何度も繰り返し、溢れそうになる唾液を啜る。
漏れ出るアメリアの声が甘くなっていき、華奢な身体が弛緩して、腰を支える両腕にかかる重みが、徐々に増す。
しっかり抱えながら、豊かで張りのある尻を揉むと、びくりと肢体が跳ねる。掴む力に強弱をつけ、指先でさすった。
途端、華奢な身体が、小刻みに震え出す。手の動きに合わせて跳ねる、濡れた声。
厚い毛織の冬服の上からだというのに、敏感な反応に、早く夜にならないものかと思う。しとどに濡れそぼって咲き乱れたアメリアの花を、己の中心で味わいたかった。
口づけながら、横目で窓枠の影を見る。そろそろ戻らなければならない。
惜しみつつ、ゆっくりと離れる。長い溜め息。その熱を感じながら、見つめ合う。潤んで甘くとろけた碧色の瞳。薄く開いた唇から、乱れた呼吸が漏れる。
「……着替え……なきゃ……」
衣服は、さして乱れていない。裾を整えれば、問題ないだろう。そのために、口づけで止めたのだ。
目顔で問いかけると、上気した顔が、羞恥でさらに赤くなる。
俯いて揺れる瞳。待っていると、さやさやと、微かな声が囁いた。
「……きっと、染みてる……から……」
太腿に、きゅっと力がこもる感触。自覚するほどに溢れているのかと思うと、触れたい衝動が、沸々と湧く。低く、吐息を混ぜて問う。
「このままで……我慢できるか……?」
薄く微笑みながら見つめて、尻をさする。
跳ねて漏れ出る弾む声。太腿に、さらに力が入る。おもむろに荒くなる呼吸。理性が溶けていく様を、じっくりと堪能する。
小さな声が、落ちた。
「……できない……」
頷いて、軽く口づける。そして、断って床に降ろし、壁に寄りかからせて跪いた。引き裾と内着、肌着の裾をまとめて掴むと、立ち上がって、アメリアに渡した。
「持っていて」
すると、両手で握ったものだから、左手でと指定した。右手で腕を掴んでもらい、支えにする。小柄な身体に覆い被さるようにかがんで、壁に手をついた。改めて、眼前の光景を眺める。
膝までを覆う毛織の脚覆いに続いて、肉つきのよい太腿と円かな腹が、白く輝いている。弾けんばかりに張りのある肌は、アメリアの生命力そのものだった。
そして、密やかな場所をしとやかに隠す、絹の青い下着。染みているというが、どれほどのものなのか。手始めに、内腿を指先で撫でながら囁く。
「自分で裾を持って……誘っているみたいだな?」
「そんな、こと……っ――あっ!」
腿との境を、人差し指と中指でなぞる。薄く笑い、吐息を含んで低く囁く。
「我慢できないんだろう?」
返事を躊躇って揺れる、碧色の瞳。
中指を薬指に変えて、気配が伝わる距離で、ふっくらとした中心を、ゆっくりとなぞる。
もどかしそうな声。核心に触れてもいないのに、呼吸が、どんどん荒くなっていく。腕や服を掴む華奢な手に、ぎゅっと力が入る。
見上げる、潤んだ瞳。首を軽く傾げて促す。この上なく淫らな音色が、鼓膜を打った。
「……もう……だめ……フェリックス……欲しいの……」
頷いて、小さな実のあるところをさする。途端、華奢な肢体が跳ね、高く声が上がった。
下着越しでも存在のわかるほどに膨らんだ実。入口に指を伸ばして淡く押すと、確かに染み出す感触がした。柔らかな花をなぞりながら、また実を撫でる。
「少しどころじゃないな。ここもこんなになって……下着越しでも、形がよくわかる」
「あ……やっ……言わないでえ……!」
いやいやと首を振りながらも、嬌声は、甘く高く響いていく。
しかし、次第にもどかしそうな音色に変わり、ねだるように見つめてくる。その物欲しげな、淫らな瞳。
黙って待っていると、華奢な手が、ゆっくりと下着の右側の紐に伸び、躊躇いもなくほどいた。はらりと青い絹布がまくれ、金褐色の逆三角形が露になる。
予想外の行動。まさかここまですると思っていなかったから、いささか面食らう。固まっていると、淫らな声が催促する。
「ねえ、フェリックス……」
頷いて、いったん指を離す。紅く咲き誇った花が、昼下がりの陽光に晒される。
膨らんで、欲しがるように顔を出した小さな実。その奥――影になった入口からは、きっと蜜が、とめどなく溢れているだろう。
しかし、あえて金褐色の茂みに手を伸ばす。しゃりしゃりと軽い音。やや冷静な口調で呟く。
「まさか、自分で脱ぐなんてな。そんなに欲しいのか?」
はっとして仰ぐ顔。みるみる羞恥に染まっていく。答えは聞かずに、中指の腹を、実に近づける。
「あっ、だめ……!」
視線を上げて、目を合わせる。
気配を感じるように寸前で、小さく円を描く。小刻みに震える、華奢な肢体。理性のある顔をつくって尋ねる。
「……やめるか?」
息を呑む声。だめ押しとばかりに、周辺の柔らかな縁を淡く押す。ふるふると、アメリアが強く首を振る。
「いやっ……あ……っだめ! もう……もう……っ!」
碧色が滲み、涙が朱に染まった頬を伝う。極まって打ち震える姿。上体をかがめて口づけ、豊かな唇を食む。離れると、見つめながら、膨らんだ実を優しくさすった。
途端、堰が弾け飛び、高く長く嬌声が上がる。
勢いよく吹く、透明な飛沫。小柄な身体が、絶え間なく跳ねて、指の腹が当たる度に、細かく淫らな喘ぎが漏れる。
快楽に酔う媚態に悪戯心が起きて、指を滑らせ、入口に宛がった。
欲しがって、ねだるようにひくつく感触。溢れる蜜を指に塗りつけて、アメリアの表情を確認しながら、ゆっくりと挿れていく。同時に、親指で実をさすった。
「えっあ……フェリックス……っ?」
戸惑いと悦びの入り交じる声。言葉とは裏腹に、入口はきつく締めつけ、蜜が溢れてくる。碧色の瞳をしっかりと見つめ、望みを探る。
「――アメリア?」
ぽろぽろと澄んだ雫が、こぼれ落ちていく。涙で滲んだ声が、震えて落ちる。
「……はしたないなんて……思わないで…………」
思わず苦笑する。煽りが過ぎたかと反省した。優しく微笑んで囁く。
「すまなかった。君が可愛くて、少し意地悪をしたくなったんだよ」
安堵した表情が広がる。きゅんと締まる感触。可愛くていとしくて、温かな笑みがこぼれた。
「可愛いよ、アメリア。俺の手で、良くなっている君は……本当に……」
ほんわりと、幸福に包まれた微笑み。口づけてついばみながら、ぷっくりとした実をさすり、徐々に指をうずめていく。
横方向の抵抗があって、顔を離して見下ろすと、豊かな曲線が、妖しく揺らめいていた。微笑んで、優しく諭す。
「そんなに腰を振ったら、やりにくいだろう」
「……だってえ……」
快楽に耽る、淫らな姿。その中は熱くとろけて、指に絡みついてきた。入口に近い敏感な箇所を淡く押しながら問う。
「激しくして……ほしい……?」
途端、きつく全体が締まる。淫靡な音色が、鼓膜を撫でる。
「……欲しい……気持ち良いの……たくさん……あなたの、指で……」
潤んで見上げる、碧色の瞳。たまらなくいとしくて、深く口づけた。
ふっくらとした唇を食み、舌を絡めて吸う。そして、親指と中指を、それぞれ押しつけた。
びくんと、小柄な身体が跳ねる。掌に、温かな水の感触。淡い絶頂に、さらに中が溶けていく。
口づけて味わい、膨れた実をこね、濡れそぼった中心を掻き乱した。
再度達した声を聴き、締めつけがよりきつくなると、親指は離して、より深く奥へと挿入した。出し入れしながら、ゆっくりと左右にほぐす。時折、人差し指で様子を見て、頃合いを計って挿れていく。
高く上がる嬌声。顔を見て、痛がっていないか確認する。
とろとろに溶けた、淫靡な表情。普段の凛とした姿からは、全く想像などできない。自分だけの光景なのだと思うと、たまらなかった。乱れて快楽に震える様をもっと見たいと、深い喜びとともに、願望が湧く。
限界まで挿れると、指先が、硬いものに触れた。
奥が下がってきているのだとわかったが、まだ感じにくいようで、昨夜は苦しがっていた。今は開発の時ではない。夜にじっくり慣らすことにして、入口付近のざらざらした箇所を、二本の指で撫でた。それから交互に動かして、押したり擦ったりを繰り返す。締まったところで抜き差しし、広がった時機を計って、再び宛がった。
甘く淫らな声が響き、透明な蜜が、手を伝って板張りの床を濡らしていく。それでも達するには、まだ慣れないようだった。
引き抜いた瞬間、親指で小さな実を擦る。
本当なら、両手が使えればいいが、アメリアが掴まる必要があったし、背丈の差で、かなり上体をかがめないといけなかったから、壁から手は離せなかった。かといって、寝台に行けば、抱きたくなるのは必至だ。
顕著な反応。抜き差しだけに切り替えて、実を擦る手順を加える。速度を上げて、激しくしていく。ぐちゅぐちゅと、淫靡な音が鳴る。
締めつけが強くきつくなり、蠢いて、絡みついてくる。引き抜きながら、入口の敏感な箇所を擦れば、甘く濡れた声が、快楽を知らせた。
「もう、もうっ……あ! だめえっ!」
頃合いだと察し、親指で実を強くこね、一気に指を挿れて、押し当てるように曲げる。
ざらりとした感触。瞬間、ふるりと震え、身の内で何かが弾け飛んだように、勢いよく華奢な身体がのけ反る。
透明な飛沫が噴出し、激しく痙攣しながら、緩慢に崩れ落ちていく。素早く左腕で抱き留め、絶頂の残滓に喘ぐ姿を眺める。
何気なく右手を見遣れば、透明と白の蜜で、ぐしゃぐしゃだった。褒美のように丁寧に舐め取りながら、落ち着くのを待つ。すると、
「殿下、そろそろ刻限でございます」
と、扉を叩く音と侍女の声。
腕の中を見下ろして、様子を窺う。惚けて、とろんとした顔。手放すのを忘れてしまったのか、握り締めたままの衣服の裾。
汚さないように気をつけたつもりだったが、脚覆いが濡れている。本格的な支度が必要だと判断して、指示を出す。
「侍従長に、手洗い用の水とたらいを持ってくるよう伝えてくれ。それと――」
思わず躊躇う。しかし、寝室に衣装棚はない。衣装部屋が別にあって、指定したものを侍女が持ってくるのだ。
「……アメリアの下着と脚覆いも」
一瞬の間。確か、今年下賜されたばかりで、ずいぶん若いはずだ。少しだけ申し訳ない心持ちになる。しかし、そこは侍女というもので、
「承知いたしました」
と、明確な声で返ってきた。
ひとまずはと、再び見下ろして名を呼ぶ。
潤んでぼんやりとした碧色の瞳。最高に可愛くてたまらないが、このままというわけにもいかない。素早くしゃがんで、左腕で抱え上げる。寝台に横たえると、傍らの棚から、ちり紙を取って、右手を拭いた。
アメリアの元に戻り、脚覆いの留め紐と下着の左側の紐をほどいて脱がす。裾を下ろすと、脚覆いと下着を畳んで置いた。上気した頬に触れて、声をかける。
「アメリア、大丈夫か?」
「……だいじょう……ぶ、よ…………」
ほわんとした声。幸せにとろけた、可愛いらしい顔。いとしさが、沸々と湧く。優しく微笑んで告げる。
「愛しているよ。可愛い俺の唯一のひと……」
「私も……愛してるわ……いとしいあなた……」
冬の昼下がりの陽光に、碧色の瞳が、きらきらと煌めいている。この一瞬一瞬の全てが幸せだった。アメリアさえいれば、他に何もいらないとさえ思う。
ただ微笑んで、見つめ合う。時が止まったような中で、扉の叩く音がした。
「殿下、アリーセでございます。奥方様の御支度に参りました」
わざわざ侍従長ではなく、名で知らせた意味に苦笑する。ブラッツの家人。従騎士の頃からの付き合いだった。
これは強めに叱られるなと思いながら、扉へと向かった。




