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オオエドパンツァー  作者: えいとら
1章 パンツァー
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パンツァー2

 月影シノブのパンツを見たことにより、俺の超感覚「パンツァー」が発動し時間が停止した。


 しかし、ここからが勝負だ。


止まった時間の中で、効率的に時間を使って、有利な状況を作らなければならない。


 ”看護師のお姉さん”の、パンツを見たときの時間停止は、体感1秒間だった。


あの時は、時間停止の体験がはじめてだったから、「レースの肌色」を見ているだけで時間が過ぎてしまった。


 だが今回は、命がかかっている。


そんなことは許されない。


丸腰の俺にできることは、たかが知れているが、慎重に動かねば……。




 俺は、状況を整理する。敵は全員で6人(・・・・・)だ。


【※以下、覚えなくても問題ありません。サラッと読んでください】


「前の3人」

 武器 : 全員拳銃

 距離 : 最も遠い

 備考 : 月影シノブのパンツに魅入っていて人質から目を離している


「隣の1人」

 武器 : 拳銃

 距離 : 最も近い

 備考 : コイツも月影シノブのパンツに目を奪われている


「背後の1人」

 武器 : 不明

 距離 : そこそこ近い

 備考 : 俺の後ろに居るので、姿を見ていない


謎の1人(・・・・)

 武器 : 不明

 距離 : 不明

 備考 : 最も不安な敵だ(・・・・・・・)



【0.2秒経過】



 俺は行動を開始する。


 振りかえり、走る。


未確認の敵が先だ。まず最初に「背後の1人」をねらう。


 そいつが、どんな武器を持っているのかは分からない。


 だから、一種の賭け(・・)になるが、そいつの武器を奪う。


マシンガンとかなら最高だが……。


 できれば同時に、「謎の1人」も処理したい。



【0.6秒経過】


 しかし、「背後の1人」の武器はバットだった。


 なぜバットなんだ!アホか?


軍用ヘリで乗り込んで来たくせに、マシな武器は無かったのかよ?


 そして、コイツも月影シノブのパンツに目が釘付けになっている。


お前ら、どれだけパンツが好きなんだ????



【0.8秒経過】


 しかし、その――「バット野郎」と同時に、「謎の一人」も確認できた。


思ったより近くにいて良かったが…


「謎の一人」は拳銃を持っていた。


お前らどんな配置してるんだ?


 こうなったら、「バット野郎」よりも「謎の一人」のほうが脅威だ!!


しかし、このままでは、時間が足りない。


だが、ここまで来て引き下がる訳にはいかない。


クソ!!!もうヤケクソだ!!!!!


 俺は、「謎の一人」がいる通路の奥に向かって走る。



【1.3秒経過】


 「謎の一人」から拳銃をうばう。殺す時間なんてない。


俺は急いで、ひきかえす。


しかし… 変だな? 前より時間停止が長くないか?



【1.8秒経過】


 拳銃を持って、「バット野郎」の横を通過。


とにかく走る。

いつパンツァーが終わるか分からない。



 そして、最初の場所にもどり、月影シノブの横に立つ。


 俺は拳銃を構えて、「前の3人」にねらいをつけた。


俺の左偽腕(ぎわん)の”照準プログラム”が、敵をロックオンする。


 ここで、俺の心臓が「ドクン」と大きな鼓動をする。


どうやら、これがパンツァー終了の合図のようだ。


状況は最悪だが、なんとか準備はできた!!


これでいけるはずだ!!!!



【ジャスト2秒。パンツァー終了】



 時間停止が終わり、すべてが動き出す。


闘いのゴング代わりに、月影シノブの絶叫が響きわたる。


「いやぁあああああああ!!私のスカート!!!!!」



 俺は「前の3人」を射殺する。

月影シノブが、まくれ上がったスカートを抑える。


 俺は驚いている「隣の1人」も射殺する。

月影シノブも、拳銃を持っている俺に驚く。


 振り返り、「バット野郎」に発砲。当たらない!?

月影シノブが、死んでいる敵を見て驚く。


 「バット野郎」に再び発砲。頭に命中。

月影シノブが、俺を涙目で睨みつける。


 丸腰の「謎の一人」が、異変に気付いて走り寄ってくる。

月影シノブが、拳を振りかぶる。


 「謎の一人」を射殺。6人全員の死体を確認する。

月影シノブの拳が、俺のアゴを捉える。


 そして俺の電脳は、はげしく揺れた。



 こうして俺は、病院に乱入した敵を全員射殺し、そのお礼に美少女アイドルのパンチを、アゴに貰うことができた。


 月影シノブの「ごめんなさい!顎じゃなく、お腹にすれば良かったですね!」という、謝罪か暴力かよく分からない言葉を聞きながら、俺の意識は遠のいていった。


―――――


――――


―――




 俺が気を失っている間に、あらためて俺のことを話そうと思う。


 名前はナユタ。29歳の浪人で元軍人だ。

訳あって無職のニートだ。


 「ニート」と言っても俺のばあい、軍にいた頃の貯金がそこそこあったので、それで食い繋いで生きている。


まあ……その貯金も、もうすぐ尽きるが 。


 それと、「電脳」って何?っていう人がいると思うから、説明する。


 ヒノモトって国の人間は、過去に行った遺伝子改良の結果、ほぼ100%の人間が「電脳化」している。


「電脳」とは簡単に言ってしまえば――大昔の「携帯電話」ってやつを脳みそに入れたようなヤツだ。


 だから俺たちは、「電脳」っていう遺伝子改良の結果、いつでもどこでも「サイバーネット」に繋がることができる。


それにより、

――検索したり……

――snsに投稿したり……

――VRゲームしたり……

――ホログラムを出したり……

――遠隔で機械を操作したり……

そんな感じのことが、誰だっていつでも、出来るようになっている。


 要は、かなり便利な世界になっているわけだ。



 しかし、その「電脳」のせいで色々な犯罪が起こっている。


 たとえば、ネットを使って電脳をぶっ壊したり、人間の電脳が勝手に売られたり……

俺みたいに電脳をイジられてしまったり……。


 つまり、「個人の知識や思考回路。魂までもが売買される社会」が、

このヒノモトって国であり……


くそったれ電脳社会(ディストピア)――オオエドシティって訳だ。


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[良い点] こういう‘ばえる’感じの街はさぁ…漫画にしたいよね…したくない…?(遠い目) [一言] 応援してるよー(*ノˊᗜˋ*)ノ
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